2021年12月3日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その352


おやゆび悲鳴さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 眠れない時に「羊が一匹、羊が二匹…」と数えると良いと言いますが、犬に置き換えるなら、どの犬種が良いと思いますか?


ふむふむ、たしかにそういう話は昔からよく聞くし、何なら今でもふつうに通じますよね。

しかし言い伝えとして道ばたのガムくらいがっちり定着しているわりに、実際に羊を数えて眠れたという話はとんと聞きません。なぜそう言われているのか、誰がそう言い出したのか、そもそもこの話のいったいどこにそんな説得力があるのか、そしてもうそろそろいいかげんはっきりさせておいたほうがいいのではないかとおもうから言いますけれども、この程度で眠れるならそれは眠れないとは言いません。ただ眠れない夢を見ているだけです。

だいたい思い浮かべるその羊が3次元(実写)なのか2次元(アニメ)なのかも判然としません。でも牧草地でもくもくと草を食むリアルな羊を頭の中でぞろぞろ歩かせる人がいるとも思えないし、ほとんどの人がデフォルメされたイラストをまず思い浮かべそうです。リアルじゃなくてもいい、もしくはせいぜい羊的な何かでよいのだとすれば、工場でベルトコンベアを延々と流れてくる肉まんを数えたって同じことじゃないですか?羊じゃないからダメだというなら、この肉まんの肉が羊であるとムキになって反論する用意もあるし、白くて温かいふわふわしたものに包まれた羊の肉ならそれは見た目からしても実質的にもほぼ羊です。これが羊でないなら一体何が羊だというのだ。

そうしてどうにかこうにかほかほかの肉まんもまたある種の羊であるとその筋の権威に認めさせて、心置きなく布団をかぶり、満を持して工場のベルトコンベアを流れてくる無限の肉まんを思い浮かべながら、肉まんがひとつ、肉まんがふたつ、肉まんがみっつ……まあ、ひとつくらいは食ってもいいだろう、どうせ無限に流れてくるんだし、また数え直すとして、もぐもぐ 、今流れていった20個くらいはカウントしなくてよいのかな、こうしている間にもどんどん流れてくけど……

何しろ本質的には羊でありつつ実質的には肉まんでもあるから、飽きてきたらあんまんとかピザまんとかキン肉マンに置き換えることもできるし、それはそれで汎用性が高くていいけれど、いずれにしても安眠どころか不眠をこじらせるだけなのはわかりきっています。なぜおれは肉まんを食いながらキン肉マンを数えているのだと至極当然の疑問を抱くことなく眠れる人は、どう考えても初めから羊なんかいなくたって眠れる人です。

したがって文字通り、目を覚まさなくてはいけません。羊は数えるより毛を刈るべきものだし、肉まんは数えるより寒い冬に湯気を立てつつコンビニの前なんかでひとりもふもふと食むべきものだし、キン肉マンはマンガ史における不朽の名作です。

そうして真の意味で目覚めたとき、わたしたちは真の意味で新しい朝を迎えているでしょう。

それはそれとして犬についてですが、個人的にはシーズーなんかいいとおもいますね。飛び越えるべき柵の手前で「?」みたいな顔したりしてね。


A. シーズーです。




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その353につづく! 

2 件のコメント:

SHO さんのコメント...

飛び越えるべき柵の前で渋滞を起こし、そのうちじゃれあう子シーズーを数えてたら眠れませんでした。

ピス田助手 さんのコメント...

> SHOさん

ですよね。これはもう、「どうせ眠れないならどの犬にする?」
みたいなことなんだとおもいます。たぶん。