追伸にタイムリーな一言をいただいたので取り急ぎお答えしましょう。
コーヒー・ルンバ(掃除機)さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. コーヒー豆を焙煎する際のチャフの処理はどの様にされていますか?
自宅で網をフリフリ直火で焙煎しているのですがチャフは飛び交うに任せているので豆を冷ましている間にいそいそと台所中を掃除しています。「え!そんな所にまで飛んでたんだ?!」と節分の豆を片付けているような気分になれて割と嫌いじゃない作業なのでこのままでも良い気はしますが、効率的な掃除法などございましたら御教授ください。もし可能であれはお気に入りの豆の品種や炒り加減なども教えていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
p.s. 今年も年賀状の募集はありますか?
コーヒーの焙煎について質問をいただく日が来るなんて、時代は変わったとつくづく感じ入るものがあります。べつにコーヒーの専門家でも何でもないのに、ちょっとうれしいですね。
チャフというのは、コーヒーの生豆についている薄皮のことです。焙煎時に剥がれてなくなるのでご存じない方のほうが多いかもしれません。米の籾殻みたいなものですね。僕が焙煎を始めた30年前は確かシルバースキンと呼ばれていました。
さてその薄皮であるチャフですが、これはもう本当に薄くて軽いので、直火で焙煎すると熱で大量に舞い上がることになります。またその器具が網である場合は何しろ網なので、網目からも小さなチャフがハラハラ落ちまくります。網で焙煎するときの最大の難がこれですね。僕なんかはもう30年やっているので気にもなりませんが、これから始めようという人には確実に大きなハードルのひとつです。
僕が昔から今に至るまで一度も買い替えずに使いつづけているのは、大豆その他の豆を煎るための手網です。網と言っても同じ網の蓋がついているので、焙煎中にチャフが舞い上がることはありません。掃除が必要なのはむしろ網目からコンロに落ちたチャフのほうですね。
また焙煎後の豆を冷やすときもザルに移し替えてからベランダに出てパタパタとうちわで煽るので、チャフが舞い上がるとしたらここです。でもだいたい、風に乗ってどこかに飛んでいきます。
なので、僕のケースと異なるのは、「チャフが飛び交う」ことと、「冷ましている間に掃除をする」ことですね。蓋があれば飛び交うことはまずないし、急速に冷却する必要があるので掃除をするのは豆を冷ました後になります。さすがにその心配はないと思うけど、もし仮に自然に冷めるのを待っているのだとしたら、余熱で豆の中心から焦げていくので、気をつけてください。冷めたあと指先で豆を割ってみるとよくわかります。
もし手網に蓋がないなら蓋があるものに切り替えること、蓋はあるけど焙煎の度合いを見るために開きっぱなしにしているなら焙煎中はそれを閉じてしまうことで、チャフが飛び交うことはなくなるはずです。ありがたいことにコーヒー豆は焙煎するとパチパチと爆ぜるので、視認せずとも音で状態を判断できます。大きくパチパチと爆ぜた時点が浅煎りで、その後しばらくしてもう一度プチプチと小さく爆ぜた時点が中煎りから深煎りです。僕自身は2度目に小さくプチプチと爆ぜ始めたあたりで火を止めています。
それからコーヒーは豆の洗浄工程の違いで「ナチュラル」と「ウォッシュド」に分けられますが、ナチュラルのほうが断然チャフが多いので、なるべくウォッシュドを選ぶ、というのもひとつの手ではあるかもしれません。とはいえ風味がかなり異なるし、チャフのために変えるわけにもいかない気はしますけれども。
掃除はコンロに落ちた大量のチャフを濡れ布巾で拭き取るだけです。コンロ外に飛び散ることはほとんどありません。もし僕とまったく同じやり方で広範囲に飛び散っているとしたら、何が違うんでしょうね?
また、僕がふだん家で主に飲んでいるのはブラジルとマンデリンです。お気に入りというよりはとにかく圧倒的に安いという理由でブラジル、苦味が長所なのでモカなんかと違って焙煎しやすかったという理由で、マンデリンです。たまたま苦味に強くて好きだったから、ちょうどよかったというのもあります。そもそも以前はそれこそコロンビア、ブラジル、グァテマラ、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテンくらいのざっくりした選択肢しかなかったから、その中から選んで今もそのまま、という感じですね。バリエーションも、あってせいぜい豆の形(例えばピーベリー)」と豆のサイズ(スプレモとかAAとか)くらいでした。それに比べると今は種類もめちゃめちゃ多いし、農園(!)も選べるし、ロブスタ種みたいな本来は缶コーヒーなんかに使われていた工業用の豆まで手に入るんだから、いい時代です、ホントに。
そして追伸に記されたこの時期最も重要な案件についてですが、年賀状キャンペーンはもちろん今年も実施されます。ぎりぎりになってしまうかもしれないけど確実にやるので、今しばらくお待ちくださいませ!
A. なるべく蓋をしたまま焙煎することです。
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質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その356につづく!
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