2010年6月3日木曜日
誤解を解きそこねた居心地のわるさとは
火曜日の昼はSHIBUYA FMの "Village Voice" という番組でちょっとだけおしゃべりしてきたのです。ULEEさんどうもありがとう!
右がDJのULEEさんで、左が…
まちがえた。(撮影:古川耕)
*
(とてもだいじな本編はここから)
過日のポッドキャストをお聴きくださったリスナーの方からたいへん心温まるおたよりをいただいたのですけれど、じつはそのなかに思いもよらない一言があって、今なおその衝撃から立ち直れずにいるのです。
「わたしもダイゴさんの言う"ちょろい大人"のひとりなんでしょうか…」
(椅子から派手に転げ落ちる)
ええー!
お
お待ちなさい!
僕が今なお「ちょろい大人」に向けて詩を書いている、とおもわれている…。
ちがいます。そうではないのです。それはかつて僕が小中高と授業で書かされた非常にあざとい(大人の気に沿うように書いた)詩を「素敵だわァ」と手放しにほめる「大人」のことを言っていたのであって、
そこから詩というフォーマットに好奇心をもって自ら一歩踏みこんだ今現在、アルバムに耳をかたむけてくれる人に対してそんなふうに考えたことは(あたりまえだけど)一度もありません。あるわけないじゃないか!と泣いて訴えたい。…というかそんなよこしまな思いで「ジャグリング」なんて書けるわけがないですよ!
つまり僕は、自分がそもそも詩に対してひどく懐疑的だったスタートラインの話をしたかったのです。詩が好きだなんてちっともおもっていなかったし、今だってふかく愛しているとはお世辞にも言いがたいし、だからこそ今の視点やスタイルがあるのかもしれない、という話をしたかったのです。
よくわからないけど、つまりいま僕は一部(あるいは大多数)の人々の間でものすごーくイヤなやつとして記憶されているわけですね?極度の緊張からくるふてぶてしさと足りなさすぎた言葉のために?
しかもすでに取り返しのつかないかたちで保存されているわけですね?
本意どころか意図のベクトルがまるで逆になるなんて、どこまで話下手なんだ僕は?
(布団にもぐりこむ)
*
(ふと思い立って布団から出てくる)
もうすこし踏みこんだ例を引き合いに出してみましょう。
大人の「ちょろさ」というのはたとえば、民主党が谷亮子を擁立するという一見すると愚にもつかない行為にさえ如実にあらわれているのです。
みんな民主党とか谷亮子に対してブーブー言うけれど、多数の人が投票すると思われているからこそこんなことになっているのだし、そうして実際多数の人が投票したりするわけですよね、おそらく?(でなければ絶対こんな戦略は立てられない)
だとすれば僕らが怒るべきは民主党や谷亮子ではなくて、むしろ盲目的に投票する人に対してです。何でだれもそのことを言わないんだろうとおもう。ひとりひとりが隣の人の盲目的投票をやめさせればいいだけの話じゃないか!
僕の言う「大人」とはつまり、「有名人というだけで盲目的に投票するような人」のことを指しているのです。そんな大人たちの気に沿うことがいかに簡単な話かも、なんとなくわかるでしょう?
そうして、そういう「ちょろさ」はあらんかぎりの言葉を尽くして取り除くべきだと僕はつよくおもっているのです。
*
よくしゃべるわりに話下手な僕がこれまで幾度となく背負ってきた「誤解を解きそこねた居心地のわるさ」をこんなかたちで検証することになるなんて、因果なことです、われながら。
誤解させてゴメンね。そんなつもりじゃなかったのです。
もぞもぞ
(布団にもどる)
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7 件のコメント:
この間のタマフルにもメールしたNEKと申します。
カズタケさんには何回かメールしてまして、お返事もらったりしているのですが
大吾さんのブログにコメントするのは初めてです。
大吾さんの詩が、僕が生きてきた中で所謂「詩」と言われていたものと全く異なるものであることに非常に感動を覚えます。
だから、前回のタマフルの放送も、大吾さんなりの‘かまし’なのかなぁと思って聞いておりました。
だって、「ちょろい大人」に向けて書いた詩で無いことは、聴けばすぐに分かりますからね。
でも、確かに分からない人には誤解されかねないかなと思っておりました。
ですので、今回の記事のように、動揺なされているのは意外でしたし、「大丈夫ですよ!」と言いたくて、偉そうかとは思いましたがコメント書かせて頂きました。
1stアルバムに入っていた「棘」の情景を思い浮かべれば
そんな誤解生まれるはずもないと思うんですけどね。
「ジャグリング」を聴いて何で力が出るのか未だ分かりません。
でも、きっと言葉とかを越えた響きがあるのかなと思って、毎日、ひたすら耳に流し込んでいます。
ぜひ、ポッドキャストを聴いたすべての方が、この記事を読んで、
万が一でも誤解しないことを僕も心から願っております。
P.S.いつも大吾さんの言葉に包まれるような勇気をもらっております。感謝!
2枚目の写真、暗くてほとんど見えません。
どんな言葉でも人それぞれ解釈の仕方は違うし、誤解は生じるものだと思います。
「ジャグリング」に関しては、僕は間接的に(?)励ましの言葉が散りばめられてるように思います。
「悩み多きウェルテルの〜」からの言葉が大好きで、そこで元気が溢れ出します。残念ながら僕は彼の末裔ではないし、彼ほど仕事や恋に悩まされてはいないですが、ハニーにあんな風に宇宙に誘われたら行きたくなっちゃうじゃないか!!
そういえば、ウェルテル自身が「奸計や悪意よりも、誤解や怠惰のほうがよっぽどいざこざのもとになる」って言ってました。僕自身、話し下手でシャイで言葉足らずな人間なので、しばしば誤解されるんですが、誤解を解いてもなお、自分の心のどこかにしこりが残って、どちらにせよ居心地がわるいこともあるし、誤解が解けたことで深まる関係もあったり…。
人間関係ってむずかしいですね。
長文のわりに何の解決策も講じていない駄文、失礼しました。
初投稿です。はじめまして。
先日の新宿インストア、素敵でした。
言葉の温度を直に受け取ることができて、とても幸せな夜でした。
ラジオ行脚もお疲れ様でした。渋谷だけ聞けず、切ないなあ・・とCDを聴いてやり過ごしました。
そして、前のお二方に加えて大して言うほどのことも持たないのですが、布団の中でしょんぼりする大吾さんを思うとどうも心が痛むので、少しだけコメントを。
オンタイムで聞いていた時は、そういう少年時代を経て今のスタイルになったんだなという程度の認識でしたが、確かにポッドキャストでじっくり聞くと「今も昔も~」のあたりが引っかかると言えば言えなくもないかなぁ・・とは思います。
ただ、それは本当に些細な引っかかりであって、それによって本質を疑うようなものではないんじゃないでしょうか?
というか、「ジャグリング」から溢れ出る優しさを疑うなんてバチが当たりそうだ。。
たぶんメールを送られた方も、「そんな意味ではないですよね?」と確かめたかっただけではないかと。たぶん。
やはり顔の見えない言葉だけのやりとりは難しいものですね。
そんな訳で、ご本人とそのパフォーマンスを
目にすればそんな類いの誤解は生まれる余地も無いはずなので、お体に障らない程度にライブを増やして頂ければと切に願います。
布団に戻ったのは、眠りたかったからでしょうか。
それとも、「打ちひしがれ」の続きでしょうか。
どちらにしても、また気が変わって布団から這い出して来て、詩を書くのですね。
不特定多数に対して発信してらっしゃるのだから、今後も誤解されることもあるかもしれませんが、
あの痛みにはいずれきっとまたふれる
でも次はたぶんうろたえずにはすむだろう
小林さんの優しさ、強かさ、繊細さは詩の詳細を読まなくとも伝わってきますよ。
> NEKさん
> s8さん
> sykさん
> ぽいこさん
どんなに言葉を尽くしても、誤解の余地がなくなることはまずありません。ただ、わかってくれようとしてくれているのに、それでもなお不安にさせてしまうことがあるならば、それはやはり全力で取り除かなくてはいけないともおもっています。「そりゃまァ、しかたないよな」と肩をすくめてばかりでもいけないし、癒せる傷ならあらゆる手段を講じて可及的速やかに癒すべきだと僕は考えているのです。そのついでにというか何というか、僕はしょっちゅううなだれていますが、それは「そこで開き直ってしまったらおしまいだ」という基本的なスタンスのあらわれだとおもってください。
もし僕が受けとったのが「抗議」だったならば、ここまで言葉を尽くそうとはしなかったはずです。(←ここが重要)
あとまあ、やっぱり多少は、高山病をひきずってるんじゃないかとおもいます。おそらく。
いただいたおきもちは尽きることのない糧として、僕のなかでだいじにだいじにしまってあります。本当にどうもありがとう!
ピス田助手様
ありがとうございます。
何にありがとうって、まずはいつもお返事を頂く事に、もう一つは、小林さんの傷を治そうとする姿勢が、私を勇気づけてくれる事に、です。
ライブも是非拝見、拝聴させて頂きたいのですが、なかなか行けず、歯噛みしております。
家で小林大吾をかけると長女は「トカゲも溺れそうだって」と言葉の端々に喜び、次女は音楽に合わせて踊ります。
家族で楽しませて頂いております。
あと、一つ、質問させて頂いて良いでしょうか?
Sから始まる賞金首って、アンジェリカが探してたヤツですか?
いや、答えを聞かずに、謎のままの方がいいのかな…。
> ぽいこさん
こんばんは。こちらこそどうもありがとう!溺れるトカゲを想像してよろこんでくれる可憐なご息女に僕も元気づけられます。言葉に血が通うようで、とてもうれしいです。
Sからはじまる賞金首の件ですが、これはもちろん、ご推察のとおりです。すくなくともこの時点ではエジプトにいたんですね。
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