2008年6月10日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その55


モンマルトルの岡っ引きさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。どうもありがとう!



Q: ネーミングセンスを磨くにはどうしたらよいですか?



ネーミングセンスというのは魚の食べかたが上手というのにちょっと似ていて、とくべつ大きく役に立つわけでもないけど、持っているとなんとなく株が上がるような気がするスキルのひとつです。できることなら僕も身につけたいものだし、太平洋のとある島に行けば確実に手に入るとかそういう類いのものなら、こんなに苦労しなくてすむのにとおもいます。

ネーミングでもファッションでも料理とかでもたぶんそうなんじゃないかとおもうんだけど、センスを磨こうとするならとにかく数をこなさないことにはどうにもなりません。素敵なネーミングセンスを身につけている人をみつけたら、獲物を狙う鷹のまなざしでよく観察してみてください。そういう人はそもそも、何かにつけてしょっちゅう名前をつけているはずです。さらに注視すれば、百発百中のヒットメーカーではないことにも気がつくはずです。(←ここがたぶんポイントだとおもう)

とりあえず、ふつうならこんなものには名前をつけない、というようなものにかたっぱしから名前をつけていくのはどうでしょう。ドアノブに「信子さん」とか、おいしくできた煮豆に「アメリ」とか、寝ぐせに「月面宙返りをするカズヒロ」とか、あたらしい趣味みたいにして日々の愉しみにするのです。他人には言いづらい趣味って誰でもひとつくらいは持っているものだし、退屈な日々に彩りを増やすこともできてイイことだらけです。

きのうみた夢にタイトルをつけて記録していくのもたのしそうですね。「湯けむりの罠」とか、「パラダイス銀河」とか、「つばぜり合いからはじまる関係」とか、「つっけんどんと呼ばれて」とか、なんだかわからないけど、そういうのです。

そういえばずいぶん前の話ですがいぼ痔に「ジム」と名前をつけたことがあって、へんな親しみをおぼえたことがありました。薬を塗って徐々にちいさくなっていくジムが、ある朝僕の目の前から完全に姿を消したときは、さすがにちょっとしんみりしたものです。また会いたいとはまったくおもわないけど。あいつときどき、忘れたころに顔を出そうとするんだよな。帰れ帰れ!いぼ痔なんかと腐れ縁を築く気はないんだ!


話がまた横滑りしている気がするな。


しかし下手な鉄砲も数打ちゃ当たるというのは、人生における揺るぎない真理のひとつだと僕はおもいます。ほんとうに。



A: 身の回りのものにかたっぱしから名前をつける



健闘をいのります。



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dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その56 につづく!

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