2008年5月14日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その50


和解が新聞の記事になる親子なんて、海原雄山と山岡四郎のほかにはあとカストロ議長とその娘アリナ・フェルナンデスくらいのものですね、たぶん。



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いざとなったらうっちゃってしまえばいい、という明快かつ乱暴な方針ではじめたブログを、いつのまにか屋台骨として支えるまでにのしあがった期間限定企画、ムール貝博士のパンドラ的質問箱がとうとう50回をむかえました。どうもありがとう。

だいたい質問箱どころかブログ自体、こんなにきちんとつづいていることがすでに驚きです。古川Pとはいまだに会うたび「よくつづいてるね」「まったくです」とお互い感心し合っています。完全に世間と没交渉になってしまったアルバム1枚目のときとくらべればまったく雲泥の差だし、息災ですとシンプルにお伝えする意味でも、これはじつに驚くべき進歩であると言えましょう。

50回というのはしかし、これまでに何を答えたかまるでおぼえていないくらいの回数です。ぜんぶテキストで整理しておけばよかったという気がする。ぜんぶに目を通してくれている人ってどれくらいいるんでしょうね?

ともあれこのさきも細々と長くつづけられることを願いつつ、今日も質問箱のふたを開けましょう。



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ハイファイ弁当さんから、ふたつめの質問です(ペンネームはいつもムール貝博士がてきとうにつけています)。たしか前にこれはこういう弁当のことですよ、という説明をした気がするけれど、案の定忘れてしまった。なんだっけな?




Q: 紙の端っこで指を切ってしまったときに出る言葉とたんすの角に小指をぶつけてしまった時との悔しさの比較



これは……質問というより誰がどうみたって論文のタイトルです。困った人だなあ。前にも詩人の刻印を知らないのに質問をくれた奇特なかたがいたけれど(あれから本当に聴いてもらえたんだろうか?)、50回目にしてこれほどアクロバティックなものを持ちこまれるとは思いもしませんでした。知恵の輪をわたされたサルみたいなきもちです。どうしたらいいんだ?

これはつまり、考察してほしいということなのですよね、おそらく。

前にもお話ししたとおり、小指とタンスの角との間で全面戦争が勃発した場合は、タンスを5番アイアンで完膚なきまでに叩きのめす僕ですが、紙で指を切られてもとくべつ声を上げることはありません。

なんとなればかつては紙ばかりいじくる仕事をしていたからだし、そもそも紙そのものに対する偏愛もあって、仮に指を紙の端でスパリとやってしまっても、もの言わぬ紙の愛情表現と思えばむしろ愛おしいというか、僕にとってはだから猫の甘噛みみたいなものなのです。

一方タンスの角に対して言うならば、これは悔しさというよりも屈辱であり、強者による弱者への軽はずみな挑発であり、硬いものからやわらかいものへの挑戦であり、控えめにみても赦しがたい暴挙です。席に着こうとする転校生に足を引っかけて知らんぷりをするのにも似た、あのふてぶてしい態度には思い出すだにはらわたが煮えくり返ります。怒髪天を衝いてメデューサになるとはこのことです。

花粉症だからといって杉を切れという論調には賛同できないけれど、タンスの角を駆逐するというのならよろこんで署名するし、必要とあればその先鋒に立って民衆を鼓舞し、革命のためには刺し違えてでも正義をまっとうする、そういう覚悟を持ってわたくしは今日までこの問題にとりくんできたのであります。

つまり、紙が僕の味方なら、タンスの角は不倶戴天の敵です。

カミソリより鋭い紙の切れ端を武器に、今こそたちあがれ小指たち!革命だ!革命だ!やわらかいものが硬いものに勝つときがきたぞ!



タンスの角革命予想図





敗れる小指軍







A: 革命はしっぱいに終わりました。




よく切れるとおもったのに、ざんねんです。



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次回は特別企画と銘打って、詩人の刻印の立役者であり、一部で絶大な人気をほこる古川Pに他愛のない質問をぶつけてみたいとおもいます。ここをお読みのみなさまも、古川Pに聞いてみたいことがあったら気軽にメールください。急な冷えこみにやられて風邪をひいているらしいので、励ましのおたよりもお待ちしています。



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その51 につづく!

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