2024年2月2日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その414


アラビアンな伊藤さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q.「日本料理」と「和食」の違いはなんでしょうか?


これはなかなか奥の深い質問です。僕も、というには視点が違うのでアレだけれども、このふたつの言葉には昔から関心を寄せています。というのも、そもそも海外視点でないかぎり自国の料理を客観的に表現する必要はないはずだからです。たぶん、もはやそれが基本というより選択肢のひとつにすぎないからだとおもうんだけど、そういう国って他にもあるんだろうか?

本題に戻りましょう。

最大の違いは文字です。漢字にしてもひらがなにしても、見た目と数がぜんぜん違います。読みで言ったらかろうじて「ょ」だけが共通していますが、だからどうしたというほかありません。こと文字に関してはまるっきり違うと断言してよいでしょう。書かれていないひらがなを引き合いに出して「ょ」はどうしたと野暮を宣う御仁もあるでしょうが、折しも明日は節分だし、欲しけりゃくれてやると豆もろとも投げつけてやればよろしい。何しろ小さいので、散らばった豆に紛れたら見分けがつきません。ことによると豆を拾ったつもりでぽりぽり食べてしまう可能性もあります。

そうなればしめたものです。再度「ょ」を問題にするには排泄を待たなくてはなりません。仮にうまいことぷりっと排泄できたとしてもそれを俎上に載せるのはさすがにもうむりでしょう。俎上の俎ってまな板のことですからね。

腸を旅する「ょ」の話はさておき、原則として日本でしかお目にかかれない料理であればそれらはすべからく日本料理で和食です。というか、そうでないと否定することは誰にもできません。その上で、個人的な解釈にすぎないことを踏まえつつあえて区別してみるなら、外国人主体が日本料理、日本人主体が和食です。わりと明快ですね。

これを前提にすると、若干の違いも見えてきます。たとえば海外由来とはいえ独自の発展を遂げたラーメンは今や明確に日本料理と認識されている印象がありますが、和食と認識されることはあまりありません。同じようにカレーライスは最も愛されている国民食のひとつでありながら、日本料理と和食のどちらにも与しない印象があります。海外由来であることが問題になるなら、イタリア料理におけるトマトなんかはそもそも南米由来で、おまけに食用になったのも19世紀以降(!)です。ソースなしには成り立たないたこ焼きや焼きそばはどうだろう?

とまあ、一品一品を検証し出すとキリがないので、このへんにしておきましょう。こうなると和食とは何かということについてアンケートをとってみたくなりますね。何なら伝統とは何かという剣呑な論点にまで足を踏み入れることになってしまいそうです。


A. 外国人主体が日本料理、日本人主体が和食です。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その415につづく!


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