あこぎのアンさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. うまれたてのひよこがすぐ歩けるのはなぜなのでしょうか?私は生まれてから歩けるようになるまで結構苦労した覚えがありますが。
日々の糧を狩猟でまかなっていた大昔ならいざ知らず、天下一品でこってりラーメンなんかを啜る現代の人類はどうしてもこのことを忘れてしまいがちですが、基本的にこの世は食うか食われるかです。そしておよそすべての動物は、この世に生を受けたその瞬間から、捕食の対象となります。例外はありません。
動物たちにとって、生とは一貫して試練と至難の連続です。「あら〜笑ったわ〜」「ハイハイができた〜」「いないいないばあ〜」とかのんき極まりない子育てをしている動物はヒト以外にありません。普通はそんなことをしている間に他の動物に食われます。
成獣よりも幼獣のほうが圧倒的に狙われやすいことを考えれば、生まれてすぐ歩けるというのはその後を生き抜く上で最低限の必要条件である、と言ってもいいでしょう。したがってひよこがすぐ歩けるのは至極当然かつ真っ当なことであり、僕に言わせればむしろ生まれてから半年以上たってもろくすっぽ歩けないヒトだけが例外かつ異常、ということになります。もしヒトに天敵となる捕食者がいたら、こんなちょろい獲物も他にないはずです。
しかし今でこそ野獣に食われる心配のないヒトもまた、かつては他の動物たちと同じように弱肉強食の食物連鎖に組み込まれていたわけだから、ひょっとするとそのころのヒトは今とちがって生まれてすぐにヒョイヒョイ歩けたんじゃないかと個人的には思います。なんなら2、3ヶ月で喋りだして自ら身を守る術を学び、天敵との体格差を知恵で補い、ブービートラップを設置して闘わずとも勝利を収めるようになり、1歳になるころにはいっぱしのハンターになっていたかもしれません。
今ではちょっと想像しづらいかもしれないけど、数百年前の大人は今よりずっと若い14、5歳だったわけだし、そこからさらに数万年遡るとしたら、あながち荒唐無稽とも言い切れないですよ。より切実に、生き抜く必要のある時代ですからね。
A. 歩かないとすぐ食われるからです。
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その392につづく!
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