2018年12月25日火曜日

傘とステッキ、またはそれに類する年賀状の話


いつだったか古書店で、イギリスにある百貨店の、それはそれは古いカタログを見たことがあります。たぶん、100年とかそれ以上前のものです。

帽子とか靴とか手袋とか、いかにも英国紳士が身につけそうなものが商品としてずらずら並んでいたのだけれど、今のじぶんには縁もなさそうだし、ふーんというかんじで見るともなくぼんやり見ていると、ある箇所でふと目が止まりました。

ステッキといっしょに雨傘が並んでいたのです。

ああ、そういえばステッキと同じ形だもんね、と思うかもしれませんが、ここで重要なのは、傘が雨具というよりむしろステッキの延長扱いだった、という点です。

いまは傘を買うのにステッキ屋に行くことはありません。雨具のコーナーか、でなければ傘の専門店です。ステッキのように使うことはあっても、それをステッキと認識して持ち歩くことはほとんどありません。

でもかつてそれはたしかにステッキの延長であり、身だしなみの一部としてその形状であることが大きな意味を持っていたのです。柄の湾曲が今でも便利かつ当たり前すぎてピンとこないかもしれませんが、イギリス紳士たちのウォントがなければ傘の柄は今も和傘と同じくまっすぐのままだったにちがいありません。

本来の意味が失われつつ、その名残が今もある、というのは物語として僕が大いに好むもののひとつです。

毎年のようにこの時期このブログでキャンペーンと銘打っている年賀状もまた、それに近いものがあります。

なんとなれば忘れもしない、元々は2枚目のアルバムリリースを機に展開した「聴いてくれてありがとうキャンペーン」だったはずが、気づいたら「ろくに活動してないのにそばにいてくれてありがとうキャンペーン」に切り替わっているからです。というかなんかもう、今となっては年賀状だけがぽつねんと残っている。

とまあそんなこんなで強引に話をねじ曲げつつ今年もまた、若干名の方に年賀状をお送りいたします。これといって得るものもない日々のあれこれにいつも付き合ってくれて、と去年も書いたしだいぶ以前からずっとそうなんだけど、ホントにホントにありがとう!



ご希望のかたは例によって例のごとく、件名に「昭和64年を語るヘビ係」と入れ、

1. 氏名
2. 住所
3. わりとどうでもいい質問をひとつ

上記の3点をもれなくお書き添えの上、dr.moulegmail.com(*を@に替えてね)までメールでご応募ください。

締め切りは12月29日の土曜日です。

応募多数の場合は抽選となりますが、実際のところ多数が来たためしはこの10年ほとんどありません。またいただいたメールには必ず返信しますので、気軽にお送りくださいませ。

今年もありがとうー!

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