2015年10月30日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その230


前回は「恋に落ちたことがない人」の質問にお答えしたので、今回は「恋に落ちすぎる人」の質問にお答えしましょう。このふたりを足したらちょうどいいじゃないかとおもいますが、ままならないものですね。


ひょっとこはつらいよさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: ずばり惚れっぽくて困っています。数ヶ月に一回くらいのペースで「あぁ、この人がきっと運命の人だ!」と思える人が現れて本気で好きになってしまうのですが、相手の立場になってみるとちょっと悪い気もして罪悪感を感じてしまい、最近ではアタックすべきなのかも迷ってしまってあまり行動を起こせません。私はこのまま突っ走ってアタックして良いのでしょうか?もしくは少し気持ちを落ち着ける方法が何かあるでしょうか?知恵をお貸しください…


これは多くの大人が同意してくれるとおもいますが、人は社会に出ると異性と接触する機会が激減します。数が減るというより、学生のときほど人間関係が流動的ではなくなるのです。極端な例を挙げると僕なんかは20代前半の数年間、周囲に還暦以下の女性が1人もいませんでした。そしてその結果、人生最初で最後のナンパに挑み、あろうことか玉砕する前に気の毒な結末を迎えています(結末だけ記すと、床を掃除するためのモップが必要な事態に陥りました)。あれはまああれでよかったのだと今ならおもえますが、このときほど強烈にバツの悪い思いをしたことはありません。多くの人にとって、惚れっぽくなれるほど異性に囲まれた環境は、それだけで得難い宝のひとつなのです。

したがって、個人的にはこのままでちっともかまわないようにおもわれます。猛烈なアタックの結果さんざんな目に遭ったとしてもせいぜい刃傷沙汰で死人が出るくらいのものだし、ヒトにかぎらず生には死がつきものです。光の速さで飛んでも一周するのに10時間かかる星があるという宇宙的観点からしたら何てことはありません。気にせずガツガツモリモリと貪っていきましょう。アタックできる機会の多いうちが華です。そして人生、たいていのことはどうにかなります。

とはいえそうしょっちゅう恋に落ちていたらそりゃ骨も折れるだろうし、あんまりポキポキ折れても困るというのであれば、すこし踏みとどまって考えてみましょう。僕がおもうのは、「本当に運命の人なら特にアタックせずとも自然に結ばれることになるのではないか?」ということです。ですよね?

彼氏彼女がいるのはステキなことだけれど、それは互いに思いやれるからであって、単純に「いるからステキ」なわけではありません。だとすれば今、胸の内の大半を占めている「いかにして手に入れるか」というきもち(アタックというのはそういうことです)を半分にして、空いた半分に「その人のために何ができるか」を割り当てるのもひとつの手です。その2つがじつは同じものであるということに気づいたとき初めて、今までとはちがう色のちいさな花が咲くと僕はおもいます。

あとはえーと、そうですね。数ヶ月に一度、好きな人が入れ替わるというのなら、数ヶ月待ちましょう。そこで入れ替わったらまた数ヶ月待てばよろしい。本当に運命の人ならその後の年数のほうがはるかに長いし、数ヶ月くらいあっという間ですよ。


A: とりあえず数ヶ月待ちましょう。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その231につづく!


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