2014年11月5日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その192

近所の店に昔からひっそりとあってあまり気づかれていない革命的なラーメン


オパキャマラドパキャマラドパオパオパンパンパンさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q: 大吾さんが詩を書く時、ひらがなと漢字をどうやって使い分けているのですか?


じつはこれ、質問箱にかぎらずときどき訊かれる質問です。前回のコメント欄にもありましたね。もともと次にお答えする心づもりだったので、脳内をハッキングされているかのようなタイミングにドキリとさせられつつ、サクッと軽い歯ざわりでお答えしましょう。

たしかに僕はひらがなと漢字をかなり意図的に使い分けています。詩にかぎらず、言葉を文として紡ぐときはいつもそうです。メールにしてもそうだから、癖というか習いみたいなものですね。たとえば「宜しくお願い致します」だったらまず十中八九「よろしくお願いいたします」でエンターキーを叩いています。変換後にほどくこともあれば、変換せずにそのまま確定することもある。そういえば「漢字に置き換えられるけどしない」ことを「ほどく」とか「ひらく」と呼んでいることにいま気がつきました。変換を前提にしたこの言い方からするとたぶん、ワープロ(!)を手にした25年くらい前からの習慣なのではないかしら。

ご存じない若人のために一言添えておくと、ワープロというのはテキストの編集に特化した機器のことです。今おもえばタイプライターと大差ないけど、それにしても隔世の感がハンパないな。

話を戻しましょう。「ひらく」といっても絶対ではありません。このときはこうする、という明確なルール付けがあるわけでもありません。表記としてひらがなが好きなものはひらがな、漢字でなくとも混乱なく伝わるものは変換しない、くらいの緩さです。同じ単語でもひらくときとひらかないときがあります。

どちらかといえば視覚的な問題かもしれません。ひらがなばかりだとしまりがないし、漢字が多くても窮屈です。日本語は音を表す表音文字(かな)とそれ自体が意味を成す表語文字(漢字)という、2つの異なる系統を同時に駆使する世界でも珍しい言語のひとつなので、それぞれの良さをいいとこ取りしながら、やわらかなひらがなと凛々しい漢字のほどよいブレンドを常に探っているようなところがあります。ちょうど豆大福におけるいちばん美味しい豆の比率を考えるようなものですね。

ブレンドの例をひとつ挙げるなら
A)寝癖が酷い
B)ねぐせがひどい
C)寝ぐせがひどい
という3つのパターンがあるとき、パッと見の視認性で(C)を選ぶ、ということです。

もうちょっと言うと僕はここにカタカナを加えて

D)寝グセがひどい

と表記しているような気がします。

しかしまあ、実際には「ねむい」と「眠い」だったらどっちでもいいけど「ねむい」のほうが可愛いわねとかだし、深くなんか考えてないですよ、ぜんぜん。鼻歌まじりでざっくりしたもんです。雰囲気、雰囲気。


A: おおむね雰囲気です。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その193につづく!

2 件のコメント:

チムチムチェリー さんのコメント...

ハッキング成功!とは言えないですが、偶然とはコワイですね。
ワープロ・・・懐かしい。パソコンに慣れ始めた頃にワープロを使う機会があったのですが、文字変換にイライラした思い出があります。僕には背伸びして買った電子辞書のザウルスが懐かしいですね。

ピス田助手 さんのコメント...

> チムチムチェリーさん

まったく、こんな偶然もあるんですね。
それにしてもザウルス、なつかしい……。
たしか電子手帳じゃなかったですか?
電子手帳が何なのかもよくわかってなかったですけど。