2012年9月25日火曜日

電気的アスパラガス、あるいはプラグ氏の災難について 前編


数日前まで自他ともに認めるほどのアツアツぶりだったのに、どういうわけか一夜明けたらいきなり冷めていて、取りつく島もありません。おねだりするような上目遣いが、今や部屋の隅に転がるわたぼこりでも見下ろすような目つきです。心変わりの理由がちっともわからないまま、うすっぺらい布団にくるまって何となくちぢこまっています。戻ってほしいとは言わないし、終わりなら終わりでそれはしかたがないけれど、せめてきちんと話し合いをもって円満に別れを迎えたい。いくらなんでも冷たすぎるじゃないか?


季節の話です。唐突に秋ですね。


世の中には終わりたくても終われないねじれた関係もあるというのに、じつにあっさりしたことだとおもう。


それはそれとしてある日オーディオインターフェイスからヘッドホンの端子(というか変換プラグ)を抜いたら、先っちょがこんなことになっているのです。



わかる人にはこれだけでその恐怖(文字通りその一端)がおわかりいただけるとおもいますが、しかしやはりひとこと説明申し上げておかねばなりますまい。

オーディオインターフェイスというのは音響機器と編集機器(たとえばPC)を仲介する機械のことです。いろいろな種類とグレードがあるにせよ、楽器の演奏や声をPCに取りこむ場合はまずこの機械を介して行われます。残念ながらというべきかむしろ必然というべきか(←このへんに葛藤が感じられる)、僕にとっての主な用途はレコードの録音とその保存ですが、これは設備の整ったプロの厨房でお茶漬けをこしらえるような使い方であって、あまり大きな声では言えません。

ともあれよほど特殊な大家さんでないかぎり、住居の賃貸には不動産屋を介すのとだいたい同じ構図と言ってよいでしょう。この例で言うと、大家さんがPC、住人が外部音源、インターフェイスが不動産屋、ということになります。

また、こうして取りこんだ音を鳴らすときも、同じようにこのインターフェイスを介して出力されます。ヘッドホンを挿していたのは、つまり取り込んだ音をそこから鳴らしていたためです。

ヘッドホンやイヤホンを音楽プレイヤー等に差しこむ端子(先っちょ)はわりと多くの人が日ごろ目にしているとおもいますが、あれはミニプラグと言ってほぼ再生機器専用の規格です。一般的な音響機器に使われるプラグはもうちょっと大きくて、もやしとアスパラガスくらいのちがいがあります。先に示した画像はアスパラのほうなのですね。

それがこれ。



おわかりいただけましたか?

ではあらためてもう一度、先の画像を見てみましょう。




…おわかりいただけましたか?



じわじわっとこの恐怖が伝わりはじめたかしら、というところで次回につづく。

5 件のコメント:

Roman さんのコメント...

さぞかし小気味よく、
芋づる式に引っこ抜けた恐怖なのでしょうね

もよよ さんのコメント...


頭の悪い私はまだ恐怖がなんなのかわかりません。でもとりあえず大変なことに間違いはなさそうですね。続きが気になります。

ピス田助手 さんのコメント...

> Romanさん

引っこ抜けたほうよりも、残された芋のほうに問題があるのです。


> もよよさん

そうですね、いつも風呂敷を広げすぎるきらいがあるので、そのへん差っ引いて読んでください。

名無しの職無し さんのコメント...

プラグ氏の災難を先っちょだけだから論に変換して考えてみました。奥まで入る事の許されたプラグ氏と先っぽだけのお預けな日々を過ごすプラグ氏。本来の機能を果たし尽きるか、将又生きずして生きながらえるか。どちらを選ぶのが本望かという、これはもう根源的なプラグ氏個人の哲学、生き方の選択の問題だ。などと考えていたら一日が終わりました!仕事探します!

ピス田助手 さんのコメント...

> 名無しの職無しさん

プラグ氏自身に選択の余地があればまだよかったんですけどねえ。あと、個人的には職より名が先だとおもいますがいかがですか。