2008年1月30日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その9


私信:古川プロデューサー、古川プロデューサー。タマフルのポッドキャストは長過ぎてipodがすぐいっぱいになってしまうそうです。なんとかしてあげてください。

ipodがいっぱいになるって、いったいどれだけの容量なんだ?


 *


鼻泥棒さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)



Q: 「このなかでなら溺れ死んでも悔いなし」くらいの大好物は?



これはおともだちの「アンチョビに埋もれて死にたい」という名言にもとづく質問だそうです。たしかに名言ですね。イメージとしてはジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」でしょうか。缶詰あけたらこんな感じになってるわけですね。箸でつまんでいただくことができるかどうかで愛情を測る、一種の踏み絵です。恋のアンチョビ問題。

なんか話が横すべりしたな。

僕の話ではないですが、僕の知り合いは「パンツに埋もれて死にたい」といつか話していました。もちろん女性のです。部屋中にもさもさと不特定多数のパンツをつめこんで、そこにダイブすることができるなら、おれはそこで死んでもいいと言うのです。そのとき彼はすでに2児の父親で、愛妻家であり子煩悩でもあったから、フェティッシュな欲望というよりは、お菓子の家を夢見るのにちかい感覚でキラキラと目を輝かせていたのをおぼえています。どうしようもないですね。でも、たしかに、「大好物」みたいな話しぶりだったんだよな。変わった男です。

しかしまあ、そういうことでもないよな。

僕がいちばんさいしょに思いついたのは、つまようじが刺さってる感じで豆腐に埋もれて死ぬイメージです。人肌くらいにあたためられているとモアベターですね。なにかの儀式で生け贄になったとしても、生き埋めにされる先が温かい豆腐ならあきらめられる気もする。あとはアレ、野球場くらい大きな今川焼の真ん中で、ぱたっと倒れてホカホカ死ぬなら悔いはないです。おれホント生まれ変わったら小麦粉になりたい。

「そう、まったく、われわれフラワーズ(the Flours)としてはだ」と博士は言うのです。「埋もれて死にたい食べものは何かではなくて、どの粉モノと心中するかなのではないか?」
「そのとおりです」
「末端価格が値上がりするらしいよ」
「誤解されるからやめてください」
「われわれほどヘルシーな地下組織もないぞ」
「不健全ですけどね」
「博士といっしょにされるのは心外だな」
「ピス田」
「なんでしょう?」
「かさぶたはがすぞ」
「すみません」
「せっかくだからこの際小麦粉は脇によけませんか」
「なんだと!」
「だれだ?」
「ダイゴですよ!ひどいな!」
「あるまじき発言をするからだ」
「ちがうんですよ、どのみち僕ら小麦粉になっちゃうわけでしょう」
「小麦粉になるって…ならないよ」
「言葉のあやですよ!それを選んでしまうってことです」
「だってフラワーズだもの」
「そう、だから逆にね、せっかくだし、小麦粉以外のところで」
「じゃあおれ納豆」
「えー!」
「正気か!」
「正気ですよ。好きですもん」
「お前もう明日からこなくていい」
「なんでですか!別にいいでしょう」
「いや、納豆は僕も好きですけど」
「埋もれて死ぬとなると話は別だ」
「なんで?」
「ぬるぬるしてるし」
「きもちいいよ」
「まるで試したかのような口ぶりだ」
「葬式はひらかんぞ」
「博士はどうなんですか!」
「素数に埋もれて死にたい」
「それらしいこと言いますね。食べものじゃないし」
「食べものじゃなくてもいいって書いてあるじゃないか」
「ああ、ほんとだ」
「そういえば博士、アレ好きじゃないですか」
「なんだ」
「クコの実」
「そういえばこないだ薬膳料理食べたとき、クコの実ばっかりちまちま食ってた!」
「…」
「なんで照れてんですか?」
「クコの実に埋もれて死ぬのはどうです?」
「…」
「あ、笑ってる」
「なに?このリアクション」
「こんな博士みたことないな」
「ないですね」
「あっ逃げた」



A: ピス田助手→納豆 ムール貝博士→クコの実



穀物ばっかりですね、しかし



鼻泥棒さんが選んでくれた1曲は「饗宴/eureka」です。どうもありがとう!詩人の刻印のなかで、いちばん最初に生まれたのがこの曲でした。というのもこれ、そもそもフライングブックスの3周年記念にひらかれた、宴のためにつくったものだったんですよね。だからもう、2年くらいたってることになります。この曲、すごく短いんだけど、そこが好きです。


 *


さて、次回はいっきに4つの質問にお答えします。刮目して待て!


dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その10につづく!

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