チャン原トリ夫さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 今年の1月に、ハンブレッダーズが『着陸』というポエトリーリーディング調の楽曲を発表しました。この曲はバンドサウンドを基調としていますが、大吾さんやtotoさんのように、ヒップホップやサンプリングをルーツに持つアーティストとは、リズムの取り方や歌詞の配置にどのような違いがあるのでしょうか。
これはすこし説明しなくてはなりますまい。totoさんというのは僕とほぼ同時期にポエトリーリーディングを始めたレーベルメイトで、もちろん今もバリバリと活動している、僕なんかよりもはるかに吟遊詩人と呼べるし実際にそういう生き方をしている、文字通り無二のアーティストです。
そしてもうひとつ大事なことを補足すると、totoさんはヒップホップやサンプリングをルーツに持つ人では全然ありません。全然というのはほぼとかそういうレベルではなくて、完全にゼロです。言葉のありようとしての日本語ラップには敬意や憧れ、愛情を山ほど抱いているはずだけれど、ヒップホップであるかどうかは今も昔もあまり気にしていないんじゃないかとおもう。実際のところ、当時たまたま足を踏み入れたフィールドにラッパーがたくさんいたことから、自然とこう、ヒップホップ濃度が高く見えるようになっていったわけですね。下戸だったのに飲み会に付き合ってたら前よりちょっとだけ呑めるようになった、みたいなことだとおもいます。ほんとに。
なので逆に、totoさんとリズムの関係性はめちゃめちゃ興味深いものがあります。というのも、昔は体の外にあったリズムが、今は彼女の内にもある印象だからです。彼女が音楽に寄り添うこともできるし、音楽が彼女に寄り添うこともできる、その双方向性がすごい。これはもう、巡り合わせによる特殊な環境が育んだ結果でもあるので、真似したくてもできません。このあたりは僕もいちどゆっくり話を聞いてみたいですね。
ハンブレッダーズの「着陸」は僕からすると、音楽とスポークンワーズの正統な系譜に置かれる楽曲です。ポエトリーリーディングにしても昔はこのタイプのほうがずっと多かったとおもう。
というのも、言葉にとって音楽はまず情感のアンプ(増幅器)としての意味合いが大きいからです。言葉を朗読やシャウト、スポークンワーズの形で音楽に乗せようとすれば当然、情感が優先されます。リズムはその後です。すくなくとも朗読が先にあってそれを音楽に乗せる場合、リズムやBPMは絶対条件ではない。
だから違いがあるとすればたぶん、リズムの取り方や詞の配置以前に、BPMを前提としているかどうかですね。そしておそらく、音楽とリーディングという組み合わせにおいて「つんのめるギリギリまでガマンしたい」とか情感とはぜんぜん別のことを考えてるのは、僕以外にあんまりいないとおもいます。
A. アプローチというより、前提に最大の違いがありそうです。
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その487につづく!
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