2022年11月11日金曜日

「アグロー案内」の奥行きが変わる細部について少し


さて全世界、正確には関東甲信越を中心に100万(人中3)人くらいいると言われる熱狂的なフォロワーにとってはよく知られた事実ですが、KBDGの描く世界はそれぞれ完全に独立した別の作品でありながら、あっちに出てきたアレがこっちにも出てくるみたいなことがよくあります。具体的に例を挙げるなら「角の店で見たカッコいい靴」なんかもそのひとつです。これは「手漕ぎボート/helmsman says」「象を一撃で倒す文章の書き方/giant leap method」「ダイヤモンド鉱/hot water pressure washer」の3作に出てきます。ライブでしか話したことなかったかもだけどこれが「カッコいい靴三部作」です。

そしてこのアプローチはアグローという未知の土地を舞台にしているはずの「アグロー案内」にも、しれっと引き継がれています。何となればアグローもまた、MARVELで言うところのマルチバースの一部だからです。だいたい当事者のひとりが僕なのでそれは仕方がありません。

アグロー案内における新たなモチーフは「ラストノート/quod erat demonstrandum」に登場する「遠吠えの途中でむせて咳きこむ犬」です。これは「間奏者たち/interluders」に出てきた「大昔に絶滅した野良犬」のことであり、この犬によって導かれるその先にアグローはあります。

過去作からの連続性で言うと、わかりやすいのは「ラストノート/quod erat demonstrandum」に出てくる「国道15と7/10号線」です。これはアルバム「小数点花手鑑」に収録された「バニーズへようこそ!/storm in a coffee cup」でバニーズの所在地を説明する際に出てきます。

「ラストノート/quod erat demonstrandum」ではコーヒーを飲みながらノートを広げて四苦八苦する様子を描いていますが、この語り手がどこにいるかと言ったら、バニーズです。したがって、これは「バニーズへようこそ!」の続編ということになります。もっと言うとバニーズを思い浮かべながら書いた短い詩をインスタグラムに載せてあるので、今のところこれも三部作です。われながらどうでもいいことこの上ない。

今ひとつピンとこない例では「足元で喉を鳴らす招かれざる客人」もあります。足元にいるとすれば客人と言えどそれは人ではなく、喉を鳴らす生き物と言ったらそれはネコ科しかなく、KBDG作品における猫と言ったら一匹しかいません。重箱の隅をつつくように掘り返さないとわからない言い回しになっていますが、わからなくても一向に支障はないし、と言って僕が言わなかったら誰も気づかないと思うので、遺言のひとつとしてここに記しておく次第です。いろいろすみません。
 
つくづく野暮なことだとわれながらおもうけど、奥行きが少しでも違って見えたらいいな。

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