2022年7月15日金曜日

トラックリストもへったくれもないトラックリストのこと


告知の時点で全部まとめて済ませばよいものを、まだ聴いたこともない音源のトラックリストだけを話題にしていったい何になるというのだ、と訝しくお思いでしょうが、ことこのVOL.1に関しては、トラックリストがもたらす奇異な第一印象からして「ちがいます、そうじゃないんです、話を聞いてください」と先に弁解しておく必要がありそうに思われるのです。

ともあれ7月30日の配信が決定した「アグロー案内 VOL.1」、そのトラックリストがこちらになります。

 
皆まで言うなと、申し上げるほかありません。いやちょっと待てと言いたい、今すぐにでも怒涛の勢いで突っ込みたい、なんならクレームの電凸を入れたい、その気持ちはよくわかります。しかし落ち着いていただきたい。実際のところこれはもう、本当にこうするより仕方がなかったのです。

いかに無神経で無頓着で唐変木の僕とて、自分が何を求められているかくらいはわかります。その点に関しては何の心配もいりません。なんといってもこれは今後も継続が期待できるシリーズとしてのプロジェクトであり、VOL.2、VOL.3には「そうそう、これこれ」と頷いてもらえる作品の収録が予定されています。大丈夫です。待ち構えるだけの甲斐はあります。あるはずです。なかったらすみません。

にもかかわらず最初にこの、トラックリストからしてエキセントリックな作品を持ってきたのは、誰より僕自身が「何だこれは」と一聴してひっくり返ったからです。すごく良い曲に仕上げてもらえてうれしいとかならともかく、何これと目玉が飛び出るような驚きは未だかつて味わったことがありません。

何しろ朗読と音楽という組み合わせから容易に想像されるものとは明らかに次元が違います。アルバムの一部だったらこのインパクトは絶対に伝わらない、だからこそこの形なのであり、だからこそシリーズ一作目にこれだけを選んだのです。この形に落とし込んだ御大タケウチカズタケの、凄まじい異才っぷりとその鮮やかすぎる着地をまじで存分に味わっていただきたい。

4つに分かれた、いわば「組曲」になっているのは、元の朗読が15分あったからです。しかし組曲へと編集した結果、元々はなかったはずの起承転結が生じ、壮大なスケールで展開する一大絵巻に昇華されています。4編の曲調が明確に異なっているので、一定のテンポで同じように朗読しているにもかかわらず「疾走感」と「気だるさ」といったどう考えても相反するような印象が1編ごとに付与されているのです。このブースト感は筆舌に尽くしがたいものがあります。

おそらく一聴では味わいきれません。僕自身もう飽きるくらい聴き返していますが、どういうわけかその度に発見があります。何よりこれが繰り返し楽しめる音楽であり、聴けば聴くほどこのビートでしかありえないほどの調和っぷりに愕然とさせられるはずです。20年近く細々とつづけてきたその先にまさかこんな景色が広がっているなんて、想像もしていませんでした。

1曲数分の一般的な形式ではとても表現しきれない、それでいて紙芝居が始まる前にぜんぶ終わってしまう本末転倒の超大作です。あと、朗読と音楽が耳に対して完全に等価でどっちもガンガン迫ってくる、とんでもないミックスが施されている点も見逃せません。世界に届けるべき御大の超絶技巧をこんな場末で浪費して本当によいのか、冷や汗が流れるくらいです。

そしてさらに、これほど針の振り切れたテキストを自ら書いて自ら完璧に朗読することができるのも、僕だけであるとたまには豪語しておきましょう。

どうか多くの人にびっくりしてもらえますように……。

2 件のコメント:

黄色い花 さんのコメント...

ひえー!すごそうです!!
とにかくすごそうです!!!
とてつもない思いのエネルギーが伝わってきました。
\(^o^)/楽しみ!

ピス田助手 さんのコメント...

> 黄色い花さん

ちょっと盛りすぎたので少し差し引いておいてください。
いつもありがとうー!