2021年2月19日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その313



寝てろグリセリンさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 一人暮らしをはじめて、気づくと部屋が散らかってたり、洗濯物がたまってたり、洗ってない食器がたまってたりします。やればいいのは分かっててもウダウダしてできず、より嫌になってしまいます。。家事をうまくやる、特に気持ち的にうまくやるコツがあったら教えてください…!


一人暮らしあるあるのオールタイムベスト5に常時ランクインする不動かつ永遠の問題ですね。ちなみに一人暮らしあるあるの23位は「輪ゴムとかS字フックとか台拭きとか実家にあるのが当たり前すぎて忘れてたちょっとしたものが揃うまでに意外とちまちま金と手間がかかってめんどくさい」です。

しかしこの問題について僕はある種のエキスパートと言っていいでしょう。なんとなれば僕は世にも珍しい、食器を洗うことがそれほど苦ではない奇跡のような男だからです。これがどれほど偉大かつスペシャルな属性であることか、多くの既婚者にはものすごくよくわかってもらえるとおもうし、じっさい若いころに認知してもらえていれば右から左から袖が破れるほどひっぱりだこのモテモテライフを送っていたはずですが、当時はそんなの僕自身を含めて誰も気づくことはありませんでした。ままならないものですね。

とはいえ苦にならないだけで別に好きではありません。むしろそんな僕でもめんどくさくてやる気にならないケースが往々にしてあって、ここがエキスパートである所以かつとても重要なポイントになります。

たとえば食器を洗うことに関してですが、僕がこれを苦にしていないのは、料理をすることや食べることだけでなく、その片付けまで含めて食事と考えているからです。なので今では、ただ食べるだけだとそわそわして落ち着きません。うんこのあと尻を拭かないようなものです

今の僕にとって料理もせず片付けもしない上げ膳据え膳と言えるのは、外食を除けば義実家でごちそうになるときくらいですが(実家はそうでもない)、ラッキーどころかやっぱりそわそわしてちょっと立つ瀬がないような気持ちになります。これが当たり前すぎるとそもそも上げ膳据え膳とすら感じないし、そりゃ不用な火種にもなるわと個人的にはおもいますが、それはまあこの際どうでもよろしい。要はべつに好きでもなんでもないけど、皿洗いが済んで初めて食事を終えた気になる、ということですね。

これほど強固な認識をもってしてもなお、クソめんどくせえとおもって全然やる気にならないとき……それは何らかの理由で別のことに気を取られてしまい、「完全に忘れて間を置いてしまったとき」です。食事の延長である時点まではまだしも、一度忘れてしまうとそれは「独立したタスク」に変わります。いくら皿洗いが気にならない僕でも、そこに皿洗いだけが独立してあったらそれは単なる労働です。しかもその楽しくもない労働のためだけに時間とエネルギーを費やさなくてはならないとなったら、さすがに馬鹿馬鹿しくて手がつけられません。だって皿が使う前に戻るだけなんだもの。ゼロじゃん。ただのリセットじゃん。もっと何かこう大きなことをやり直せるならともかく、皿を使う前に戻すためだけにかけがえのない人生の一部を差し出す必要性がいったいどこにあるというんだ?

したがって僕の結論としては皿を洗うまでが食事、家に帰るまでが遠足、尻を拭くまでが大、ということになります。別の言い方に置き換えるなら、やろうと思えばいつでもできそうなちょっとした家事ほど独立したタスクにはしないことです。

もし用を足したあとで尻を拭かなくても特に支障がなくて、あとで思い出したときに拭けばいいとなったらそれはやっぱりものすごくめんどくさいタスクのひとつになるはずです。断言してもいいけど、拭かないままですごす人も少なからずいるでしょう。

皿洗いを例にとってお話ししましたが、洗濯物でも同じです。洗濯機に放りこむことと乾燥させることと乾いた衣服を畳むことを個別のタスクに分けてしまうと、途端に全部クソめんどくさくなります。ぜんぶ一連の、大きなひとつのタスクにしてしまいましょう。

気持ち的にうまくやるコツ、はどうだろう……あるかもしれないけど、少なくとも僕はこうした家事関連で気持ちが特に上向くことはありません。いつだってそれは100%めんどくさい。となれば何も考えずに捌ける向き合い方(お尻を拭くようにです)に自分自身を誘導していくほうがよほど理にかなっている、とおもいます。

あとは、そうですね、「もっときちんとできたらいいのに」より、「できることをできる範囲でできるだけやろう」くらいのほうがたぶん、じぶんをイヤにならずに済むはずです。僕もじぶんを大らかに受け止めるようになってからのほうが、以前より大らかに捌けている、もしくは捌けているような気がしています。今もふつうにとっ散らかってますけど。(・ω<)☆


A. やろうと思えばいつでもできそうなちょっとした家事ほど独立したタスクにしないことです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その314につづく! 

4 件のコメント:

黄色い花 さんのコメント...

家事は、やらなきゃだけど面倒! と思った瞬間機械的に取りかかると脳の認識がバグるのか急にぐるんと楽しくなることがありました。
失敗もしますが(あと確定申告には通用しなかった…)上手くいったらラッキー、くらいでたまにやってみます。

SHO さんのコメント...

僕はその家事をする時間を、空想に耽る時間にしてそれなりに楽しんでるかな…

Unknown さんのコメント...

私も朝起きて家を出るまでに三つの家事をひとつのタスクにしていて、これを済ませないとそれこそ尻を拭かずにいる気分になります。
以前ブログでお話しされてたkeep leftの考え方には非常に共感しました。

ピス田助手 さんのコメント...

> 某さん

望む望まないにかかわらず、毎日やってきますもんね。
上手くいったらそれはちょっといい日ですよね。

> SHOさん

家事の時間を楽しめる、というのは
それだけでかけがえのない才能です。いいぞ!

> 某さん

そうそう、キープレフト、
日々には結構、有効ですよね。

KBDG