2015年5月30日土曜日

世界に誇れる「カワイイ」のぴちょぴちょぶりについて


2014年のごくごく私的な企画展ランキングにおいて、その圧倒的な企画力から問答無用で首位をかっさらった「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」以来、決してその動向を見逃してはならないと脳裏に焼き付けられたサンシャイン水族館@池袋が次に打ち出した特別展がこれであることは以前さりげなくツイートでもふれました。


ネーミングも冴えてるし、グラフィックもキュートだし、マンジュウイシモチをイメージキャラに抜擢してその模様を「いちごパンツ」と表現する視点もすごくいい。いったいどなたがプロデュースされているのか、フライヤーひとつ取っても「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」と同じく他の水族館企画とは一線を画すクオリティであることは一目瞭然です。

しかしその一方で、一抹の不安がよぎります。何だかイイかんじにまとめられているけれども、結局のところこれは「カワイイ魚あつめました」というだけなのではないのか?どちらかというと感嘆すべきはシンプルな下地を華やかに仕立てるスゴ腕のメイクさんみたいな演出であって、企画それ自体は「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」と比べて若干のぬるさが否めないのではないか?とまあそんな気がして、3月初旬から開かれていたにもかかわらず、カワイイカワイイ!と騒ぐだけ騒いでそれきりなんとなくうっちゃっていたのです。期待値が高かっただけに、しょんぼりしたくなかったのかもしれません。

とはいえそろそろ期間も終わりも近いし、近所で歩こうとおもえば歩いていけるし、そもそもそんな過大な期待を抱くほうがどうかしていると話のタネにてくてく足を運んでみたところ、その不安は杞憂どころか「なぜもっと早く行かなかったんだ」という後悔にスパンとひっくり返りました。

結論から言うと、主旨としてはやはり「カワイイ魚あつめました」でまちがいありません。したがって特筆すべきは演出であるという点もまたなんとなく抱いていた印象のとおりです。違いがあるとすれば「まさかここまでとはおもわなかった」という一点に尽きます。演出の力をここまでまざまざと見せつけられたことはかつてありません。意匠の細部まで凝りに凝りまくって観る人の度肝を抜くその突き抜けっぷりたるや、感動的ですらあったと申せましょう。はっきり言って鼻血がぶーと吹き出すレベルです。

だって一歩足を踏み入れたら、こんなことになってるんだよ!


お忘れかもしれませんが、ここは水族館です。企画展なんだから好きにしたらいいようなものだけど、それにしたってこれはと放心させられます。BGMもきゃりーぱみゅぱみゅだし、隅から隅までつくりこまれた「カワイイ」の徹底ぶりには一分の隙もありません。つまらない早合点で高をくくって本当にゴメン……!!サンシャイン水族館はやっぱり期待を裏切らなかった……!!

鏡の部分が水槽です

藻くずを背負うモクズショイ







がちゃがちゃのケースからちっこさがわかるミナミハコフグ




「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」において他所とはひと味ちがう企画力を見せつけたサンシャイン水族館は、このたびの「ぴちょぴちょカワイイ展」でその抜きん出た演出力を証明したと言ってよいでしょう。前者では若干の物足りなさにつながっていたコンパクトな規模が、今回は逆にカワイイの説得力を高めていると感じられるくらいです。今後の特別展が一見いかにピンとこないものであってもスルー厳禁であることがこれではっきりしたので、たぶん次のジュラシック水族館にもいそいそと出かけることになるとおもいます。

それはそうとちびっこがいっぱいいるなか、ひとり中年のおっさんがジャマくさい動きばかりして申し訳ありませんでした。

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