2014年12月18日木曜日

ある日とつぜん発症するウェットな疾患について


ちかごろは行く先々で雨がふるのです。

何かだいじな用があって家を空ける日にかぎって、それを嗅ぎつけたねずみ色の雲が大群でいそいそと押し寄せてきます。電気的なネットワークがそれこそ毛細血管のように世界の隅々まで張り巡らされているご時世だし、僕の日々とその動向が雨雲に知られていたって別段ふしぎもないけれど、それにしてもちょっと露骨なのが業腹です。

とりわけ週に1度くらいの頻度で秋葉原に足を運ぶ日がひどくて、それはもう見事にピンポイントで雨がふります。どれくらいピンポイントかというと、行きがけは降らないのになぜか帰りしなになるとぽつりときて、自宅に辿り着くころにはきっちりとまんべんなくずぶ濡れになっているのです。この季節の濡れねずみは正直体にこたえます。

曜日は決まっていません。月曜だったり火曜だったり水曜だったり木曜だったりだし、帰宅する時間も昼すぎから宵の口までバラバラです。なのに秋葉原から帰路につこうとするとまるで送迎のように重たい雲がやってきて、「おまたせ!」と言わんばかりにハラハラハラと降りやがります。変だな、と思い始めてからはつとめて意識的に様子を窺っていたけれども、二ヶ月でだいたい7割くらいの確率です。

7割ですよ。

そんなに雨なんて降ってたっけ?とお思いかもしれません。しかし何よりそこが巧妙なところで、じっさいのところそんなに降ってはいないのです。何しろ僕が自宅に着くまでの1時間くらいしか降らないのだから、降水量としても多寡が知れています。むしろ気がつかない人のほうが多いかもしれません。はっきりしているのは、まちがいなく僕は濡れていたということだけです。雨雲の立場からみたらじつにいい仕事をしていると言わざるを得ない。

これまでの人生でじぶんを雨男と自覚したことはありません。でもこれはもう、どう控えめに見ても雨男の症状です。てっきり先天的なものだとばかり思い込んでいたけれど、どうやら花粉症と同じで、ある日突然発症することがあるらしい。すくなくとも僕は完全に罹患したとおもう。雨男の治療法や症状の緩和、そしてその改善について、もしくはそれを逆手にとって降雨ビジネスに発展させられないかどうか等、風呂につかりながらぼんやり考える今日このごろです。

2週間ほど前に秋葉原へ行ったときは、よく晴れました。すこんと抜けるような青空だったのでよくおぼえています。その日は直帰ではなく、そこから野暮用で長野に向かい一泊する予定だったのだけれど、同行者に「晴れてよかったですねえ」とニコニコしていたら案の定とちゅうからぼたぼたと降り出して、長野につくころには


晩秋の彩り豊かな林に囲まれて、正面にすっとそびえる山が美しい高原は、完膚なきまでにまっ白でした。「雪は毎年どっさり降るけど、この時期にこの量はちょっと珍しいね」と言われたので、原因はもちろん記すまでもありません。1日ずれていたら帰るどころかそもそも辿り着けなかっただろうし、レジャーというよりは半分仕事みたいなものだったから結果的にはたぶんオーケーなんだけど、それにしても何だかこう、釈然としないものがあります。取り立ててどうという話でもないから、余計に首をかしげてしまう。

というほどでもないんですけど。

6 件のコメント:

ちゃりお さんのコメント...

私も罹患したかもしれません。私の場合2、3カ月に1度のペースで、友達に誘われ出掛ける宝塚観劇に漏れなく雨がついてきます。出掛ける前から雨なので濡れ鼠になることはありませんが、同じレインコートに同じ長靴というコーディネートしかできないのが残念です。

ピス田助手 さんのコメント...

> ちゃりおさん

「宝塚観劇」という条件指定があるあたり、
その可能性はすごく高そうですね。
僕も折りたたみのカサを持ち歩けばいいんだけど
「ひょっとしたら大丈夫かも」との思いが拭えず
結果、濡れねずみになっています。

でもレインコートと長靴は
それだけで可愛いし、雨の日のスペシャルですよ。

ちゃりお さんのコメント...

きゃっ♪可愛いだなんて…
次から雨が振ることを祈ってしまうわ。

s8 さんのコメント...

ここ最近はそうでもないですが、幼少期は僕もひどいものでした。
遠足だったか運動会だったか、とにかく学校のイベントで、かなりの降水確率で延期まちがいなし!と 言われていた前日、それでも晴れることを信じてわくわくしていたら寝付けなくなって体調を崩し、翌日休んだら見事なまでに晴れたことがあります。

ちなみに余談ですが、そんな僕が嫌いなモノBEST3に毎年「傘」がランクインしています。

ちゃりお さんのコメント...

大五さんもカワイイ濡れねずみになれれば
気分が少し晴れるかもしれませんよ。

ピス田助手 さんのコメント...

> s8さん

そこまでテキメンだといっそすがすがしいですね。
見方を変えれば、みんなを笑顔にした
ハッピーな思い出と言うこともできそうです。

僕は傘、好きですよ。あまり持ち歩かないですけど。


> ちゃりおさん

どうもありがとう!
僕にもまだ可愛らしさがのこってるといいんですけどね…。