2014年9月9日火曜日

月刊MdN10月号のこと、とその具体例をもうひとつ


ことの経緯と要旨はいかにと申せば、「フォントの扱いとその実例を紹介する連載企画にて『小数点花手鑑』のデザインを取り上げたく候、云々」とレーベル経由で打診をいただいたのです。

……フォント?

こはそもいかにと顎をなでつつ、聞けばタイトルである「小数点花手鑑」、「しょうすうてんはなのてかがみ」、「sounds great in STEREO」、「ROUTE」、「15.6843…」についてのことであると申されます。要はジャケットに置かれた文字すべてというわけです。

むむ、なるほど……それはたいへんすてきなお話です。かような切り口でアルバムをご紹介いただける機会もそうはあるまいし、僕からデザインを請け負った僕としても僕にそこそこ大きな顔ができることになります。異存があるはずもありません。しいて難を挙げるとすれば、ジャケットのどこにもフォントは使われていない点です。何しろそのほとんどが書体データではなく、必要な分だけをデザインから作り起こしています。企画の趣旨にぜんぜん沿っていないこと以外はもちろん是非なくウェルカムですけれども、しかしまあなんというかやはり、そんなわけにはまいりますまい。


ということで推辞と謝辞あわせてなるべく丁重にお伝えしたところ、豈図らんや「制作過程が面白そうなのでぜひ」というとても明るいお返事をいただきました。文字の作り起こしが格別珍しくもないことを考えると、あるいは「英数字の由来」なんかが新鮮に映られたのかもしれません。

すがすがしいほど懐が広い!

てな次第でアルバム「小数点花手鑑」、月刊MdN 10月号「フォントのショーケース」にまるまる1ページ掲載されております。この号、巻頭の特集「イラスト表現の物理学 爆発+液体+炎+煙+魔法」が評判を呼んで飛ぶように売れてるそうなので、気になる方はお急ぎあそばせ。最後まで一貫してまったくほころびのない、丁寧で誠実な対応をしていただいたことからしても、心から信頼できる雑誌です。



さて、作り起こした文字、そして抽出した英数字をタイポグラフィとしてフル活用した典型例をここにもうひとつ挙げるついでに、タケウチカズタケ feat. STERUSSによる「Switch On Turntable(Remix)」の7インチ、200枚限定リリースのお知らせです。





ちなみに抽出した活字をクリアなHelveticaに置き換えると、こうなります。

ひどく手間のかかることをする理由がこれで……全然伝わってこないな。


7インチは10月中旬発売の予定ですが、なにしろ200枚限定なうえに、取り扱いはdisk union新宿クラブミュージックショップの1店舗のみです。もちろん通販は可能なので、お早めのご予約をおすすめします。B面には "Don't Cry To Me" (下の動画参照)が収録されているし、個人的に黄色い声を上げたくなるのはアルバムよりもこっちかもしれません。ご予約は電話かメールで、こちらから。

こう言っては身もふたもないけれど、「処方箋/sounds like a lovesong」がお好きな方は、「より良い転落のためのロール・モデル」あたりで本領を発揮する男なんかよりもむしろ彼をこそ追うべきだとおもいます。

<参考資料>


2 件のコメント:

mo さんのコメント...

グラフィックの仕事しています。
大吾さんリスペクトです。

ブログを拝見していたら、なぜか仕事ではなく、マンガ描いてたときのことを思い出しました。
絵をスキャンしてフォトショでトーン貼ってたけど、そんなデジタル化はだめだ!やっぱトーンは手で貼らな!と思い直し、試行錯誤した末、
刷り上がりはどっちでやっても97%ぐらいは同じだったことを、、。
しかし微妙な味わいの差が大事!ですよね。(´ω`)

ピス田助手 さんのコメント...

> moさん

そうですね、えーと
縮小してさらにディスプレイで見るとたしかに微妙ですが
印刷すると土とアスファルトくらいの違いが出ます。

アナログにこだわっているというよりも、
むしろ印刷後の反省からきてるんですよ!