2013年1月23日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その117


数百キロの荷を積んだカゴ台車の小さなキャスターが右足の指にピンポイントでゴリッと乗り上げて、経験したことのない激痛を味わったのです。タンスの角に小指をぶつけたときの痛みが甘噛みなら、これは本気で噛みちぎりにきたような凄まじさといっても過言ではありません。おもわず叫んでしまったし、床にたおれこんでしばらく動くこともできなかったことからして、ふつうに考えて骨折、よくてヒビ、さいあく指がもげて血まみれになってるんじゃないかと腹を括らないわけにはいかなかったんだけど、痛みが落ち着いた頃おそるおそる靴下をぬいだら薬指がほんのり赤くなってただけで目を疑いました。

なんで?

おかげでだれも信じてくれません。というかいちばん信じられないのは僕自身なので、なんだか狐につままれたようでもあるし、ある種の奇跡を体験したような敬虔なきもちにもなってきます。あの言語に絶する痛みはいったいなんだったんだ?



七人のさむがりさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)


Q: 中学生の時に好きだったアーティストを何名か教えて下さい!


シンプルだけれど何となくギクッとさせられる、するどい質問です。とにかくいろんなものに手を伸ばして影響を受けまくるお年頃なので、ルーツという意味ではまさしくこの時期がいちばん根っこにあたるとおもうし、口にするのがちょっと憚られるような気恥ずかしさもあって、振り返ると落ち着かなくなります。

思いついた順に挙げるなら、1)ジュリア・フォーダム、2)フィル・コリンズ、3)ボビー・ブラウン、4)レベル42、5)遊佐未森、6)ブライアン・アダムス、7)エイミー・グラント…というかんじです。節操がないな。リアルタイムで追っていたものもあれば、後追いしたものもあります。ヒップホップと出会うのはもう少しあとなので、あんまり共通点が見えないような気もしますね。


1)はすごーく好きだったはずだし真っ先に名前を思い出したわりに、曲は"Talk Walk Drive"と"Happy Ever After"しか思い出せません。なぜだろう。でも好きでした。"Happy Ever After"は音楽の嗜好が変わった今でも好きです。"Lovin' You"はミニー・リパートンより先にジュリア・フォーダムのカバーを聴いていたような気がしますね、そういえば。




2)は母親の影響で、たぶんすべてのアルバムを聴いています。シュープリームスの「恋はあせらず」はフィル・コリンズがオリジナルだとおもっていたくらいです。それからジェネシスを後追いしたりしてました。"Land Of Confusion"のPVが強烈だったのを覚えています。だからというか何というか、数年前に復帰したフィル・コリンズが全曲モータウンのカバー(!)という企画アルバムをリリースしたときは興奮しすぎて泣きました。今ならわかるんだ、いろんなことが!




3)は"Every Little Step"をPVを観てひっくり返り、生まれて初めてCDを買うことになったアーティストです。中学生だと"Bobby"という次のアルバムのほうがリアルタイムなんだけど、先に買ったのはその前の"Don't Be Cruel"でした。ボビー・ブラウンがソロになる前にメンバーだったニュー・エディションを知るのはさらにずっとあとのことです。いま現在のボビーにはふれずにそっとしておきましょう。




4)も大好きで、たぶんこれもほとんどのアルバムを聴いています。たぶん後追いです。"Something About You"という曲のPVを観たのが最初だとおもう。このバンドから「フュージョン」というジャンルを知ったんだけど、いまだにそれがどんな音楽を指すものなのかいまいちよくわかっていません。ひょっとすると、このなかでいちばん長くその後も聴きつづけたのはレベル42かも。どういうわけかレコード屋さんのソウルカテゴリにときどき安値で放り込まれていてびっくりします。




5)は…曲というよりたぶん非日常すぎる世界観が好きだったとおもう。本も買いました。「塩茹でしたブロッコリーの緑色がきれい」というドリーミーな話をラジオで聞いた記憶もあります。あと、かっこいい姓があるもんだなァ…と自分の姓とくらべてしょんぼりしたことをおぼえてる。この数年後にAkinyeleを好んで聴いたりするようになるとはとてもおもえません。そこには少女マンガと日活ロマンポルノくらいの差があります。不思議ですね。




6)これはケビン・コスナーの「ロビン・フッド」がきっかけですね。このころすでにブライアン・アダムスは円熟期にさしかかっていて、80年代から知る人にはリバイバルの印象がつよかったかもしれません。そうでもないのか?さかのぼって聴いたアルバムもみんな好きでした。アルバムジャケットがどれもこれもモノクロだったので、色のついたブライアン・アダムスがいまだに想像しづらいです。

印象に残ってるのはこの曲…なんだけどこのビデオは何だ?




7)恋にちかいような意味でも好きだったのはたぶんこの人くらいです。週替わりでアーティストがナビゲートを担当するユニークなチャート番組があって、たまたま観た週のナビゲーターがエイミー・グラントでした。可愛い人だなあ…とおもいながらぼんやり観てたんだけど、番組の終盤で「今週の1位は…わたしの曲です。"Baby, Baby"」とちょっと照れくさそうに紹介するのをみて、あまりの可愛さに息が止まって気を失いかけました。もうそれからずっと毎日この曲ばっかり聴いていた気がします。80'sの余韻が感じられるPVもキュートで大好き!



A: 遠い!何もかも遠い!




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その118につづく!

2 件のコメント:

七人のさむがり さんのコメント...

イカ天のバンドを想像していたのですが、見当違いで本当にすみません!
80’s〜90’sの変わり目あたりが中学生だったんだなとわたくし推測しております!

ピス田助手 さんのコメント...

> 七人のさむがりさん

イカ天!仰るとおり、たしかにその頃ですね。言われてみれば詩人て何となくそんな印象あります、僕も。