2010年10月26日火曜日

馬車馬オブザイヤー受賞記念式典その後



すでに2日がすぎてしまいましたが、小林大吾の馬車馬オブザイヤー受賞記念式典@代官山UNITは、万雷の拍手と地鳴りのような喝采に包まれながらぶじ幕を閉じました。フラインスピンに対する長年の貢献を高く評価いただき、まこと欣喜に堪えません。ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

ステージ上で祝福とともに首にかけられた3つのレイのうち、ひとつはレイではなく祭壇の装飾品(金具付き)だったことなど、誰が気に留めましょう。首がチクチクするほど身に余る光栄に浴して、今はただこのよろこびを噛みしめながら襟足のあたりをぽりぽりかくばかりです。物販に「オーディオビジュアル」が置かれていなくとも、それはこの際たいした問題ではありません。

今後もこの栄誉にあぐらをかくことなく、馬車馬として更なる高みをめざし、精進をかさねてまいりたいとの思いをより一層つよくした次第です。


ありがとうございました。ありがとう。ありがとう。


(パチパチパチ)


キリキリ働く受賞後のダイゴくん

 *


ハッ。


(目がさめる)


何だかわれながら気の毒な夢を見たような


オヤ、これは




(大団円のうちに終幕と相成ったスイカ夜話@代官山UNITの顛末についてはSUIKAブログをご覧ください)


 *


本来なら夜話でスポットを当てる必要なんか全然ない馬車馬のことはさておき、日曜に会場でお買い求めいただいたみなさま、ならびに特設サイトからご予約いただいたみなさま、アルバム「スイカ夜話」はおたのしみいただけておりますでしょうか。

みんなを笑顔にしたいというただその一心から、FLY N' SPINクルーが総出で丹精こめてつくりあげた、僕らにとっては最上の1枚です。より多くの人のもとに届くことを心から願っています。

そしてもしアルバムに心動かされることがあったなら、彼らにそのきもちを伝えてあげてください。ちいさく短いことばでも、それは流れる星を目にしたときのように、彼らの胸にのこるはずです。

僕個人としても、空を埋めつくすくらいの流星群を彼らに見せてあげたい。


(僕からはとりわけ、誰よりもSUIKAに対する思い入れがつよく、時として先走りすぎるきらいのあるタケウチカズタケに、ひときわ輝く太陽クラスの暑苦しい星を贈ります)


ちなみにこのアルバム、SUIKA6人がそれぞれ手売りで20万枚ずつさばいて水面下で人知れずミリオンを達成する予定です。

2010年10月21日木曜日

アルバムに仕掛けられた馬車馬のちいさな罠



FLY N' SPIN RECORDSが健気な馬車馬にピシピシと鞭をふるいながら総力を挙げてお届けする、SUIKA乾坤一擲のニューアルバム「スイカ夜話」発売に向けて、心のこもった店頭用POPをこしらえました。言わなきゃ誰にも顧みられることのない、ナイチンゲールもビックリのこの献身ぶりにどいつもこいつも目頭を熱くしていただきたい。(いつもおもうけどこのブログは詩人としてよりも馬車馬としての活動記録のほうが群を抜いて多いです)



リリースに合わせたフライヤーもつくりました。(オーディオビジュアルのときはつくり忘れています)


ステッカーもつくりました。(どのタイミングで何に使われるものなのか、じつは僕もよく知らない)


そして気づいたら製品版が出来上がってました。


ここだけの話ですがじつはこのアルバム、フラインスピンオーナー以外のSUIKAクルーにはたしか知らせていない、ちょっとしたイタズラがパッケージに施されています。(さっきまでじぶんでも忘れてた)


でもこれ、SUIKAのみんなにはないしょですよ(ひそひそ)。


そんな馬車馬の愛らしいイタズラをいち早くたしかめることのできる機会が今月24日、次の日曜にUNITで行われる音楽的どんちゃん騒ぎ、「スイカ夜話十六夜」です。ゲストは環ROYと降神!

僕は例によって例のごとく、物販席にちょこんと座ってひっそりと売り子をしているとおもわれます。詩人としての面影はおそらく微塵もありません。というか僕たぶんフラインスピン内でさえ詩人だとは思われていない気がするんだけどそういう切ない現実にはこの際目をつぶるとして


来てね!

2010年10月15日金曜日

それを聴くと今もパブロフの犬みたいに




Roots と Q-Tip のライブが昼間っから USTREAM で配信されると聞き、そいつァ素敵だ…とのんきにかまえていたら、あまりの展開に度肝を抜かれて、観終わるころには頽れてむしろシクシク感涙にむせぶ羽目になった Hennessy Artisty 2010




Black ThoughtがODBの「Shimmy Shimmy Ya」やその他ヒップホップクラシックスをカバー(!)しまくっても、Erykah Badu が出てきて "You Got Me" を歌っ(!)ても、そこに Eve が絡んで(!)ライムをキックしても、まだ余裕を持って「豪勢だなァ!」とニコニコ観ていられるのだけれど、


Q-Tip の "Bonita Applebum" から Isley Brothers の "Between the Sheets" へ繋いだところへ、ひとりの紳士が身のこなしも軽やかに登場したときはさすがに仰天して口にふくんだコーヒーを霧吹きみたいに噴射するところでした。


ろろろろ


Ronald Isley その人じゃないか…


忘れようったって忘れられない、特徴的すぎるあのまゆ毛は見紛いようもないよ!

"Between the Sheets" → "Footstep in the Dark" → "For the Love of You" というヒップホップ世代が泣いてよろこぶ名曲を次から次へと披露するものだから、ディスプレイの前で硬直してほとんど気を失いかけました。艶かしいあのファルセット!


 *


ああ、もうこのまま誰にも気づかれずに部屋で白骨化しても悔いはないな…とぼんやり放心していたショウの終盤、今度はさらに個人的な琴線をかき鳴らす懐かしいイントロが…

"Every Little Step"だ!


Bobby Brown だ!


またずいぶん太ったな…


僕にとっては20年前に生まれてはじめて買った洋楽のCDが Bobby Brown の "Don't Be Cruel" であり、そのきっかけが "Every Little Step" だったので、これはもはや善し悪しとか好き嫌いをすっ飛ばして深く深く耳の奥に刻みこまれている曲のひとつなのです。パブロフの犬みたいに、この曲が流れると自動的に泣くよう涙腺がセッティングされているのです。

それを…それを The Roots の演奏で!


(気を失う)


(気がつく)



(Mary J. が "Real Love" を演ってるのを観て)


(気を失う)


(気がつく)


(顔を洗う)


(顔を拭く)


ゴシゴシ


ふー


しかしあれは一体何だったんだろう?10年前に MTV Unplugged で Jay-Z のバックを Roots が演奏してるのを観たときもドキドキした記憶があるけれど、今日のはまた…


 *


そういえばこのブログ、あんまり音楽の話をしないですね。

2010年10月10日日曜日

消えかけていた火がまた燻りはじめる話



僕は基本的に科学をかなりつよく支持するほうなのだけど、くだんの「2位じゃだめなんでしょうか」発言以降の科学者の態度にはホトホト呆れ返っているのです。

「2位じゃだめなんでしょうか」というのは「2位でもいいじゃない」という意味ではなくて、「みんなのお金をつかうのだから、なぜ1位でなければならないのかを感情論抜きできちんと説明してください」というじつにまっとうな要請であり、夢なら夢でせめて誰もが唸って支持したくなるくらいの熱烈なプレゼンをすべきだということであり、だいたい子供じゃないんだからフニャフニャした曖昧な理由で億単位の金を使おうとすんなよ!他人の金でロマンを語るな!という意味です。そんなの財布のひもをにぎる会計係なら至極当然の疑問だし、僕だってその立場に立ったらそこを聞きたい。

科学のことを何も知らないとか、プンスカ腹を立てている時点で見当違いもいいとこだと僕はおもう。じぶんたちが何のために何を追求しているのか、正面から向き合った上でわたしたちにそれを伝えてくださいという話をしているのに、アンタらブーブー言うばっかりでけっきょく何も説明してくれてないじゃないか!それとも学者にそんな義務はないっていうのか?

ノーベル賞受賞者だろうと誰だろうと、そんな態度は不誠実です。成熟した大人の態度でもありません。「わからないならわからなくてもいいから、金だけよこせ」と言っているように聞こえる。科学のことを何も知らない僕らにもわかるように、きちんと説明してくれた人はどれだけいただろう?事業仕分けはその正当性を目いっぱいアピールできる、絶好の機会だったというのに!それをふいにしたのも結局じぶんたちじゃないか?準備不足を悔やむならともかく、納得のいく反論や滾る熱意をアピールできなかったから逆ギレするなんてどうかしている。

口下手なのはいい。言葉が足りないのもしかたない。でもその責任を相手に転嫁するのは控えめにみてもいただけません。うまく伝えることが苦手ならなおのこと、ひたすら愚直に言葉を尽くすべきだと僕はおもう。10分文句をたれるなら、おなじ時間をプレゼンに使ってほしい。科学者の舌は愚痴るためにあるわけではないのです。


そして科学が話題にのぼるたびにいちいちこの発言を引っぱりだしてあげつらうメディアにも困ります。報道とゴシップをいっしょくたにするのはおよしなさいったら!忘れかけてたのに、また頭に来ちゃったじゃないか!

2010年10月6日水曜日

なんだかよくわからない大きな缶詰の話



もう長い付き合いになる友人が誕生日だというので、ラベルを剥がしたら何だかわからなくなってしまった大きな缶詰をプレゼントしてきたのです。


※比較のために玉ねぎを置いています。


いちおう食料なんだけど、あけたら最後いろいろな具材が飛び出してきて、最後にちんまり美味しいものが残っているとかそういう仕組みになっているとおもう。

総重量は2.5キロです。


 *


そういえば2ヶ月前につくった馬車馬謹製スイカ夜話フライヤーの自慢をし忘れてました。当のSUIKAクルーからも太鼓判を押してもらえたし、目立たなくともいい仕事をしたとおもう。


その一方で、アルバムのジャケットデザインをみたSUIKAのほぼ全員がノーリアクションだった事実についてはあまり深く考えないようにしておきたい。

「きっと筆舌に尽くしがたかったんじゃないかな…」と近所の犬になぐさめられながら、暮れなずむ西の空をながめる秋です。虫の音が耳に涼しい。


 *


いつもいつも口をすっぱくして言っていることだけれど、夜話に招いたゲストと一夜限りのセッションを繰り広げる、というのは「演奏する」SUIKAの真骨頂であり、ヒップホップという側面からみればなおさら他と一線を画す、大きなアドバンテージのひとつです。彼らのバックグラウンドにあるのはむしろヒップホップ「以外の」音楽であり、それゆえにこそ彼らの音楽にはジャンルに囚われることなく支持され得る豊かな色彩がちりばめられています。そこから生まれるヒップホップ的表現がユニークにならないわけがないのです。

今回のゲストである「環ROY」と「降神」もまた、ヒップホップを身にまといながら単純なカテゴライズにはおそらく疑問符がつくラッパー…というかラップを駆使した多元的なアーティストだし、彼ら自身がすでに音楽的な相乗効果の結晶であることを鑑みるなら、SUIKAとのセッションがどれほど胸躍るものになるかも想像に難くありません。


それで、えーと…


いいたかったのはつまり、ぼくはこんなだけど、でもすいかはすごいですよ、ということです。

くわしくはだいじなことがいっぱいかいてあるこちらをごらんください。


 *


あとそうそう、馬車馬から発信できる情報がもうひとつありました。前売りだとこんなバッジがついてくるはずなのです。


もうもらった人いますか?僕も実物を見ていないからよくわからないんだけど、ホントにこんなのでしたか?


 *


身内のこととなるとだれだって10割増の主観評価になるし、僕自身そういうのに辟易しているほうだからあんまり大きなことは書きたくないんだけれど、すくなくとも僕は彼らのレーベルメイトであることが何よりの自慢です。

そうだ、それが書きたかったんだ。

2010年10月3日日曜日

にわとりと牛と料理人はどこにいったのか?



※長いこと書かずにいると文章の書き方を忘れるなァ…という、数ヶ月ごとにやってくるいつもの反省から、リハビリもかねてちまちまと更新しています。


 *


これをおやつに食べたのです。

たまごとミルクのふんわりシフォン(とろとろカスタード入り)


僕もそろそろいい大人なので、いまさら「ふんわりシフォン」という語感だけで鼻息を荒くしてキャッキャとはしゃいだりするようなことはないのだけれど、とろとろカスタード入りとなれば話はべつです。


オホン


とろとろカスタード入りとなれば話はべつです。



アンブローズ・ビアスが1911年に著した「悪魔の辞典」にはこうあります。

カスタード【custard】
鶏と牛と料理人という三者の悪だくみから生み出された不愉快な混合物
A vile concoction produced by a malevolent conspiracy of the hen, the cow, and the cook.


然り、麻薬的・蠱惑的とはまさしくこういう物質のことを指して言うのであり、いわんや「とろとろ」ともなればこれはもう、看過すること能わぬ一品であるとキャーキャーはしゃがねばなりますまい。

それでまァニコニコしながらパクッとやったら意外にも


清楚な感じでとても愛らしい、ふわふわのホイップクリームがまず顔を出したのです。アラやだホイップまでいっしょだなんてちっとも存じ上げませんでしたわ!それならそうと仰れば良いのに、小粋な演出をなさいますのね!ええ、ええ、カスタードとホイップの神々しくも稀なる調和についてはいまや世界に広く認められた事実ですから、サプライズゲストとしてこの白く儚く甘やかな伴侶をフィーチャリングするのは、ある意味当然の帰結と申せましょう。

パクリ


まだお顔を見せてはくださらない…


なんて奥ゆかしい…




……。


……。






何かがおかしい。




明らかに一方通行なんだから出会わないはずはないのに、いったいどこですれ違ってしまったんだろう?行けども行けども出会うのはふわふわと可憐な純白のクリームばかりじゃないか。


……。(立ち尽くす)


まさか…いや、そんな…そんなはずはない…あれはホイップだ!まちがいない…ホイップだって大好きなんだ、万が一にだってまちがえるはずがない…


(首をふる)


だいいちクリームは白かったじゃないか…この絵にも描かれている、流れるような美しい曲線をもった黄金色のクリームは一瞬たりとも視界には入っていない…


だとするとこれは…


(よろめきながら立ち去る)


 *


おまけ:じぶんの目と舌が信じられなくて検証しまくった跡

2010年10月1日金曜日

公共交通機関における乗車券としてのキュウリ



電車の切符が紙ではなくキュウリの千切りという決まりになっていて、めんどくさいなァとおもいながら駅員さんに両手いっぱいのキュウリの千切りを渡して改札を出る夢をみた。

青くさいし手もぬれるし、そりゃみんなpasmoにするわけだよ…と妙に納得しながら駅を出たところで目がさめました。

いい夢でしょ!


 *


ふたたび、話のつづきです。えーと詩人の刻印【改訂版】、その中身ですが


アップデートされたのはもちろんブックレットだけではありません。




ハッハッハ!(発作的に)
つくった本人さえその顔が紅潮してくるこの可愛らしさ。何のCDだこれは。


という具合に肉食系B-BOYにはたいへんお求めづらい仕様になっています。
しかし満足です。思い残すことはない。