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2008年11月15日土曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その71
前回「ほめてくれ」と書きましたが、一晩たってみると大草原のどまんなかでひとり「この指止ーまれ!」と叫んでいたようなきもちになってきました。プロップスは要求するものではない、と当たり前のことをしみじみおもう。要求して通るのはせいぜいサクマドロップスくらいのものだろうと、僕もわかってはいるのだけれど。
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質問箱 その9で登場してくれた鼻泥棒さんから2つめの質問です。どうもありがとう!
Q: そういえば一年の半分近くわたしは風邪っぴきなんですね。そんなわけで予防法を教えていただきたいのです。
1年の半分が風邪っぴきというのは、そうでない人からするとさすがに尋常ではありません。考えようによってはむしろ風邪をひいている状態が鼻泥棒さんにとって正常なのであり、一般に言うところの健康な状態がむしろ風邪にあたるのではありますまいか。人体における大多数の細胞がAという立場をとるのであれば、その体の基本的方針はAになるはずです。つまり鼻泥棒さんの体はしょっちゅう風邪を賛成多数で可決しているわけですね。そうなるとこれはもう、これでいいのです。一度決まってしまったことをくよくよしたところで賛成派が増えるだけだし、ここはひとつ地道に賛成派を説得していくしかありません。
それはまあともかく、僕としてはうがいをしたり、ビタミンをサプリで摂取したり、手洗いをしたりという小手先のあれこれよりもむしろ、朝ごはんをきちんと食べることのほうが1000倍だいじです。とくに少しでもいいから毎朝野菜と果物を摂ることで、免疫機能が高まって予防につながるばかりか、日々の体調が劇的にととのいます。栄養素がとれていればいいというのではなくて、もぐもぐと「噛む」ことにこそ意味があるのです。体調管理における焦点がみんなちょっとズレていると僕はおもう。
こういうことを言うとたいていの場合「まあ、そりゃそうなんだけどさ」という前置きのあとに「時間がない」と「食欲がない」のどちらか、あるいは両方が返ってきます。そのきもちは僕もよくわかる。でも時間がないと言ったってシャワーを浴びないということはないだろうし、ひげを剃ったり、髪をとかしたりもするでしょう?それは時間がないとは言わないし、「時間をかけたくない」というだけの話です。たぶんみんな、かける手間にくらべて見返りが少ないと考えてしまうんだとおもう。ムリして朝ゴハンを食べるくらいなら、ちょっとでも寝ていたいとかね。起きていきなり食べようとしたってそりゃ食欲なんか湧くわけないですよ。
でも僕からすると、それはムリをしてでも起こすべきアクションのひとつです。はっきり言っておくけれど、生きものである以上、理由なんていりません。時間や食欲の有無なんて知ったこっちゃないし、見返りがあろうとなかろうと、食べると言ったら万難を排してでも食らいつかねばならないのです。それにビタミンCをサプリで摂るのとくらべて、グレープフルーツをかじることがどれくらいの大仕事だっていうんだ?
「今日で世界も終わりだね、お母さん」
「そうらしいね」
「もう明日はないんだよ」
「そうなのかね」
「だってもう決まったことなんだよ!」
「そう、じゃしかたないね」
「悠長に朝ゴハンなんか食べてる場合じゃないでしょう!」
「いいから食べなさい」
これがつまり、正しい朝の風景です。たとえ数時間後に世界が消えてなくなるとしても、これだけは欠かしてはならぬ、朝食とはことほどさように絶対的なものなのです。ごらんなさい、ここに描かれた母の誇り高き姿を!世界でいちばん偉い王様がいるとして、それよりもさらに気高く偉大な存在があるとすれば、それが朝食です。万物の頂点に君臨すると言ってもいい。アレキサンダー大王と言えどもおいしい朝ゴハンの前には降伏せざるを得ないはずであると僕は考えるものであります。
極端な話、ここさえがっちりと押さえておくなら、夕食なんかとらなくたっていいのです。夜中にゴハンをいっぱい食べてしまうと、消化が間に合わなくてけっきょく朝も食べたくない、という悪循環に陥ります。われながらすごく理にかなっていることを言っている気がする。
とにかく、しっかりと朝ゴハンを食べてください。もっと言うなら、ただ食べるのではなくて、10分でいいから食卓について正面から向き合ってください。話はそれからです。でもそれだけでまちがいなく風邪はひきづらくなると僕はおもいます。もしとっくに食べてたらすみません。と最後にぽろっと言うことでもないな。
A: まず朝食からはじめよう!
質問に対する回答というよりも、朝はしっかりゴハンをかきこもう、というプロパガンダでした。またね!
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
ぶえっくしょい!ズズー。
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