2008年5月23日金曜日

アフロと花魁と蟹工船のおしらせ


6月の夜話のチケットはどこで予約できるのであるか、という質問をいただきました。パンドラ的質問箱にまかせていてはいつになるかわかったものではないので、これだけとりいそぎお答えします。夜話オオサカにかんしては、nrecordsの通販サイトのほか、チケットぴあ、ローソンチケット、あるいは会場のsunsuiでも直接お求めいただけるもようです。



夜話オオサカ
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チケットぴあ tel : 0570-02-9999  (P-コード  293-799 )
ローソンチケット tel : 0570-084-005 (L-コード 55617 )

sunsuiにて前売りチケットの電話&メール予約受付中。
TEL (06)6243-3641 info@sunsui.net
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そして夜話ナゴヤですが…これは会場となるK.D Japonに直接お問い合わせいただくことになるみたいですね。そのへんのふしぎな仕組みは僕にもよくわからないのです。世間知らずですみません。



夜話ナゴヤ
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K.D Japon 6月のスケジュール
※「予約・当日」の料金設定がしてあるイベントに関してのご予約はメール、お電話にて受け付けております

TEL (052)251-0324←KDハポン

メールの場合は、
・日程
・イベントタイトル
・お名前(カタカナフルネームでお願いします)
・予約枚数
・連絡先(メールアドレス、または電話番号)
を明記の上、kdjapon@gmail.comまでメールを送信してください。
なお、ご予約はイベント前日の12時締め切りとさせていただきます。
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よろしくおねがいします。もうすぐですね。



 *



「すまんがちょっとマヨネーズを貸してくれ。おや」
「あれ、博士」
「ダイゴくん、頭がクエストラブみたいになってるぞ
「マヨネーズはいまウチも切らしてるんです」
「頭がクエストラブ」
「ルーツの新譜を聴いてたんです」
「また極端な反応だな」
「僕が求めていたのはこれです」
「きみアフロ似合ってないぞ」
「いいんです、寝れば戻るから」
「ああそう。じゃ借りてくよ」
「マヨネーズって言ってたじゃないですか。なんでルーツ持ってくの」
「アフロ類として抛ってはおけん」
「マライアもありますよ」
「マラリア?」
「マライアです」
「ああ、あの牝ネコか」
「ひどい言い草だ」
「いちどしみついた偏見はぬぐいがたいものだよ」
「返り咲いて今や花魁ですよ!」
「マライアが?」
「そうです」
「言いすぎじゃないか?」
「そんなことないですよ」
「よかったね」
「なんか前とずいぶん歌いかたちがうから誰かとおもいました」
「へー」
「相当いいですよ、ほんとに」
「ふーん」
「むちむちぷりんでいいかんじです」
「なんだと」
「貸しますよ」
「いい。経費で買ってくる」
「おちるんですか?」
「栄養ドリンクみたいなものだからな」


 *


最果ての地まで行って蟹工船にのることになったので、1週間ほど留守にする予定です。その間ブログを更新することができないので、しばらく忘れて放置しておいてください。ケータイで蟹工船の様子をリアルタイムで中継できればいいんだけれど、あいにく僕はケータイでインターネットをしたことがないのです。奥手ですみません。

いただいた質問はきちんと箱にしまってあります。もうしばらくお待ちくださいませ。

もちろん、質問その他おたよりは年中無休の24時間態勢でお待ちしています。



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



今年はもう、ルーツとマライアでお腹いっぱいです。マドンナも期待してたんだけれど…ムムム。

2008年5月21日水曜日

あるものを奪われる奇妙な小部屋の話


そういえば先日、ヒマとヒマの合間を縫ってもうひとつヒマをつくり、東京は北の丸公園にある科学技術館へ社会科見学に行ってきたのですけれど、あるフロアの一角に設置された小部屋から、1年生くらいのちびっこたちが、興奮したサルのようにギャアギャア奇声をあげているのが聞こえてくるのです。外からでは何が起きているのかちっともわからないし、気になって仕方ないから、彼らが立ち去ったあとにドキドキしながら部屋をのぞくと…


何もない。


何もないのです。うす暗いただの部屋というか、ガランとして見るものもない。いったいヤツらは何にあれだけ大騒ぎをしていたのだ?と訝しんでいると不意にどこからかカウントダウンがはじまり(3、2、1…)


え?


うわッすげえ!これすげえ!何コレどうなってるの!と予想外の事態に仰天して血圧がはね上がるそばから、追いうちをかけるようにふたたびカウントダウンがはじまり(3、2、1…)


今度はこっちだ!なんで!なんで!ふしぎ!キャアー!


という具合にイイ年こいてたいへんな驚きを心ゆくまで堪能したのでありました。予備知識ゼロであんなの体験したら、興奮したサルにもなろうというものです。いやまったく、アレにはほんとうに驚いた。


まさかじぶんの影を奪われるとは…


また今度だれかを連れて、それだけのために入場料を払いたい。というかあの部屋、持って帰りたい。科学ってすごい。



 *



表向きはパンドラ的質問箱50回突破記念として組まれた数日前の古川耕特集…しかしすべてはこの一冊の書籍のために打たれた、小癪な布石にすぎなかったのです。

古川耕のアナザーサイドお仕事、「FREEDOM フットマークデイズ 3」がほんじつ発売であります。


スリル!サスペンス!そして!もなくはない、もぎたてのサクランボのような夢見る男子必携の一冊、波瀾にして万丈なるジュブナイルアドベンチャー、ここに堂々完結と相成るわけでございますぞ、おのおのがた!

物語のカギをにぎると思われる人物「ダン」は通称ダンプカーの「ダン」でもあるということなので、そのへんのどうでもいいような豆知識も合わせて、ぬかりなくお手に取りくださいますよう心からお願いもうしあげる次第であります。

表紙左に描かれているのがダンです、おそらく。



 *



そしてもうひとつ、古くからのファンには8つのアルファベット表記でおなじみ、タカツキ率いる新生Samurai Troopsのニューシングル、「Re: El Carnaval」も、本日はつばいです。




ドス黒グルーヴ界の大御所MURO師の名曲に、サムライの健やかなラップをのっけたエスプレッソとスチームミルクの出会い=カプチーノ的ヒップホップに仕上がっています。が、ここだけの話、タカツキ本人はむしろカップリングとして収録されている「YOU」に深い思い入れがあるようです。じっさいこの曲はサムライの良さがこれでもかというくらい目いっぱいつめこまれたじつに魅力的な楽曲なので、骨肉の争いを繰り広げながら奪い合うようにしてぜひぜひ聴いてみてください。僕もすごく好きです。ほんとうに。

そういえばこないだのSUIKA夜話ではこの「YOU」がライブの転換時にエンドレスでえんえんと流されていて、どんだけ好きなんだと呆れ果てました。

なんか買う場所によっては特典でトートバッグ(!)がついてくるらしいのだけれど、僕そのへんよく知らないので、くわしくはタカツキ本人をつかまえてちょくせつお尋ねください。しかし、不可解なおまけだなあ。

いまTOWER.JPをのぞいたら「オールタイムベスト・エコバッグ」と記してありました。よけいわからない。オールタイム何のベスト?

しかしこの迷走感はよく考えたらじつにサムライらしいという気もします。

おかえりセミー!

2008年5月19日月曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その51


以前職場の先輩だった前田さんが自転車の読み方を「じてんしゃじゃないよ、じでんしゃだよ!」とつよく主張していたことをさっきふと思い出しました。なんとなく否定しきれない説得力を感じてうやむやにしてしまったことを覚えています。


 *


洗濯機さんからのしつもんです(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。たまにはこういう潔いペンネームもいいものです。



Q: 「keep left」という歌詞についてです。安全な方を走ってろ(於・日本)、逆走しかないだろ(於・どこか異国)、保守にだけは走るな(党派のはなし)、いったいどんな意味なんだろうね、という会話をしました。それ以来、keep leftが出て来るたびに気になっています。どれもありうる…。「keep Left」は、どんな精神の表れですか?



キープレフトとはこの場合、「無用な混乱に陥らないようあらかじめ設けられた、最低限のルールにしたがう」という、わりとそのままの意味です。それを守ったからといって何かが保証されるわけではまったくないし、逆にないがしろにしたからといって切符を切られるわけでもないけれど、すくなくとも自分自身の平衡を保つ気の持ちようとしては、ある程度有効であると僕は考えています。そこから派生する具体的なアクションを挙げるなら、朝決まった時間に起きるとか、玄関では靴をそろえるとか、たとえばそういうことです。

習慣といってもいいけれど、厳密に言うともう少し意識的なものですね。起床にかんして言うなら、「7時にはしぜんと目が覚める」ではなくて「どんなにくたびれていても7時には起きることにしている」というかんじです。自分が自分であるためのゆるやかな拘束と言ったほうが近いかもしれません。「ゆるやかな」というのは、「これをしないと気が済まない」というほど頑固なものでもないからです。なんというかそれだと、罰則がつきそうな気がしませんか?そんなにきびしくはないのです。

この例でまとめてみるとこうなります。

A. 7時にはしぜんと目が覚める
B. 7時には起きることにしている
C. 7時に起きないと気が済まない

Bがつまり、キープレフトです。

だからここでは、外に向けてのメッセージというよりもむしろ、自分に対するおまじないみたいな意味合いで使われているわけですね。

ただこれは、「こう聴いてほしい」という意味ではありません。それこそ、「安全なほうを走ろう」だってぜんぜんかまわないのです。どんなに細かく言葉を規定したって解釈の余地は必ず(必ずです)のこるし、もともと与えられた意味よりもずっとしっくりくる場合だってあるとおもいます。僕もメールをいただいて、「なるほどなあ」と新鮮な気持ちになりました。僕にとっては、100パーセント伝わるかどうかよりも、こんなふうにして真摯に言葉と向き合ってもらえることのほうがずっと大事です。

どうもありがとう!



 *



洗濯機さんが投票してくれたことで、詩人の刻印(ほぼ)全曲レースがひさしぶりに更新されました!「アンジェリカに、特大の1票!」ということなので、コロッケをひとつおまけにつけましょう。うれしいです。ありがとう!


バミューダ 9
ボート 8
蝸牛 7
話咲く 7
アンジェリカ 4(とコロッケひとつ)
紙屑 4
ユリイカ 4
腐草為蛍 3



 *


とうとう数字以外のものまで加わって、レースからますます目がはなせません。質問だけでなく、もちろん投票もお待ちしています。というか、いつまでやる気なんだ?



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その52 につづく!

2008年5月18日日曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 (特別編 2)


では前回のつづきで古川プロデューサー、通称ダンプカーさんからのしつもんです。(この別名の由来はじつは僕も知りません。こないだの質問できいとけばよかったな)



Q: 『詩人の刻印』の中で一番気に入っている一節ってなに?その理由も教えて



しかし発売から半年以上たって今やほとぼりもすっかり冷めているというのに、いまだに自分たちの作品について語り合っているのだから、つくづくおめでたい連中です(もちろん僕を中心に)。見ようによっては「君ってすてきだ」「いいえ、あなたこそすてき」「こいつゥ」「ウフフ」という気持ちのわるいなれ合いに見えなくもない。しかし今のところ僕の存在理由はほとんどこの一点のみにかかっていると言っても過言ではないので、アイデンティティ保護のためにもまだまだアピールしていく所存であります。この世の終わりが来るまでガンバレ!

 *

こないだもすこしふれた気がするけれど、僕がいちばん気に入っているのは「女と紙屑」の最後をしめくくる、「風呂場では飼いならされたシーラカンスが/口から出る泡の数をかぞえている」という一節です。

じつはこの曲、アルバム制作の最後の最後でトラックを差し替えた唯一の曲だったのだけれど、差し替える前のバージョンは詩もその構成も今とはだいぶ異なるものでした。先に挙げた一節も、元々のバージョンにはたしか含まれていなかったはずです。どうしてそれを作り直そうと思ったのかはもうおぼえていないけれど、とにかくこの一節が出てきたときにやっと「できた!」という実感が湧いたのをおぼえています。

ラップで言うパンチラインとちがって、とくべつインパクトのあるフレーズではないし、目に見えてつかみやすい教訓や皮肉が含まれているわけでもありません。けれどもこの一節には、僕がつねに描きたいと思っているところのものがかなりコンパクトにすっきりとまとまっているのですよね。

言葉を扱っておいてこう言うのもなんだけれど、僕は言葉をそれほど信用していないし、百聞は一見に如かずであることを経験上身にしみて感じています。視覚や嗅覚、聴覚といった直接的な感覚から得られる情報量にくらべたら、1000の言葉もゼロにひとしい。その代わり、かぎられた言葉で情景を描けば、言葉それ自体のもつ意味よりも視覚的な印象が優位に立つぶん、じぶんで想定するよりもはるかに多くの情報をそこにおさめることができるのです。

だからなんというか、思ってた絵が上手に描けた、という感慨がいちばんちかいんだと思います。

でもそんな大きなことを言っておいて、ひとりよがりだったら意味ないし困るな、だれにも伝わらなかったらどうしよう、じっさい誰もここに触れないし…と気弱にもなっていたのも事実です。スペードのAを叩きつけたつもりが、よく見たらハートの2でした、というようなことになっていたら目も当てられない。だから御大ロバート・ハリスに「あの部分、いいね」と言ってもらえて、こないだは心底ホッとしたのでした。(だいたいこの曲、あんまり人気ないし)



A: 「女と紙屑」の最後の一節(思ってた絵が上手に描けたから)



しかし、じぶんのどこが好き?みたいな質問をしれっと投げかける、これが通称ダンプカー先生のこわいところです。5月20日に「FREEDOM フットマークデイズ3」が出たら、僕も同じことを聞き返そうとおもいます。(宣伝)



質問、もうひとつありましたね。前の質問に精気をごっそり吸い取られて、へとへとです。



Q: 好きな野菜はなに?



あっコレ前にも答えた!よかった、じゃあくわしくはそっちを参照してください。ちなみに僕も里芋は好きです。正月の食卓に八ツ頭とか出てくると大きくてとてもうれしい。ていうかせめて古川さんはブログ読んでよ!他に読者がいなくなったとしても!世界を敵に回しても!私がオバサンになっても!



A: ズッキーニです。(2回目)



 *



2回に分けてお送りした特別編、"古川耕のフライングサーカス"はおたのしみいただけましたか。次回からは通常どおりの質問箱に戻ります。

そういえば「ハムスターの回が好きです」という感想をいくつかいただきました。どうもありがとう!照れくさそうに笑う藤吉郎さんの姿が目に浮かびます。



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その51 につづく!

2008年5月16日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 (特別編 1)


「風邪がなおんねーよ!」という無情な捨てぜりふとともに、古川Pに送った質問が返ってきました。ムール貝博士のパンドラ的質問箱50回おめでとう記念、当のムール貝博士をねぎらうこともなく、特別編と題して古川耕特集です。いいかげんに考えた質問のわりには、なかなかリアルな「古川耕」像が浮かび上がっているのではないかとおもいます。

では小林大吾から、プロデューサー古川耕へ10個のしつもんです。



 *



Q1: プロデューサーとは具体的にどんなお仕事なのですか。



一般論としてはわかりませんが、こと小林大吾に関しては

1 SSWSで観て即ナン
2 CDつくらない?
3 ほうら、マイクを買ってあげるよ
4 こんな曲も聴きたいです
5 じゃあ俺ちょっとお菓子買ってくる
6 出来たワーイ
7 (サンプルCDを送りまくって)取材とかよろしくワーイ

という感じ。
正確にはプロデューサーというより、小林大吾という才能の「紹介者」という呼び方が適切かな。一番最初のレールのパーツをちょこんと置くと、あとは周りの馬車馬たちが勝手に走り始めるのでこんなに楽な仕事はありません。



Q2: 羊のように温厚な性格で知られる古川さんですが、これまでにもっとも腹を立てた出来事はなんですか。



これでも怒る時は怒るんだゼ! 気をつけな!

過去の出来事でパッと思いついたのは、忘れもしない高校3年生の時、あたくしはほぼ毎日遅刻しているような生徒だったんですが、ある1時間目の授業中にこっそりと教室に入っていったところ、英語教師(若い女)に『古川くんはなんでそんなにしょっちゅう遅刻してるの?お母さんが夜の仕事でもしてるの?』と言われたこと。

今だったらビンタだよ!



Q3: 無人島に持っていくレコードを1枚おしえてください。



Roberta Flack『Chapter Two』

二十歳ぐらいのとき、部屋をまっ暗にしてこのアルバムをかけながら涙をこぼしていたものです(歌詞の内容を勝手に想像しながら)。

キモイ!

でも、素朴でいい曲しか入ってない最高にくつろげるアルバム。



Q4: これまでに観た映画や読んだ小説の中で、もっとも印象にのこっているセリフをひとつ挙げてください。



「見えないのか!? 感じないのか!?
 伝説はここにある。黒い風は吹いてる!
 これがカスケードだ! これがカスケードだ! 」

『みどりのマキバオー』12巻より。
俺号泣。



Q5: 詩人の刻印(ほぼ)全曲レースに1票入れるとしたら、どれにしますか。



“手漕ぎボート”。

この曲を初めて聴かせてもらったとき
「このアルバム、行ける!」と確信したから。



Q6: 身長が1ミリと100メートルならどっちをえらびますか。



1ミリ。
他人のプライバシーを心ゆくまで観察したいです。



Q7: 口癖はありますか?



「美味い食べ物は基本、甘いものだ」



Q8: ゲレンデが溶けるほど恋したことはありますか。



ないと言えばない。



Q9: 人生でいちばんの衝動買いはなんですか。



まさに「詩人の刻印」制作の真っ最中、ホーチミンスタジオ@タカツキLabに向かう山手通りで乗っていたチョイノリがぶっ壊れ、たまたま近くにあったバイク屋で新しい原付を「これ下さい」したこと。



Q10: 今後の予定をおしえてください。



5月20日に「FREEDOM フットマークデイズ3」巻が出るYO!

あと、なんとか年内にオリジナル小説を上梓する予定。
その合間を縫って小林大吾3rdアルバムのためのレールを敷く予定。

頑張れよ!(大吾と俺)



 *



「そんな口癖、きいたことないよ」という気もしますが、この際それはよしとして、個人的にはRoberta Flackが意外な回答でした。そうなのか。たしかにチョイノリ、壊れてましたね。今は白くてつるんとしたいかにも今っぽいスクーターに乗っています。

それからオリジナル小説は僕もちょっと前に聞いてびっくりしました。いよいよ本格的に作家への道に足を踏み入れるわけですね。膨大なプロットを用意することから始める研究家肌なので、文体からして相当意識的なものになると僕は踏んでいるのだけれど、こういうこと言うと怒られそうだからナイショにしといてください。(ひそひそ)

すごくたのしみです。小林大吾の3rdのことなら、気にしないで!

「FREEDOM フットマークデイズ3」もお忘れなく。


さて、古川Pにはもうひとつ、はげましのおたよりとともにひとつ質問がきています。質問箱 その2で登場してくれたひよこ豆さんからです。どうもありがとう!さいしょはわりと潔いペンネームをつけていたんだなあ。



 *



Q: 古川さんへ質問です。古川さんが質問箱へ入れる ダイゴさん宛の質問は何でしょうか?



「Q 『詩人の刻印』の中で一番気に入っている一節ってなに?その理由も教えて」

かな。
一言一句抜かりのない言葉の羅列の中で、それでもさらに思い入れのあるフレーズがあるなら一体それはどういう理由で?という好奇心からです。

あとは

「Q 好きな野菜はなに?」

好きなんだ、野菜の話が。
俺は里芋。



 *



なんだかずいぶんややこしいことになっています。質問の、質問による、質問のための質問です。まさか僕に矛先が向くとはおもいませんでした。こんなふうにつないでいくやりとりも良いものですね。ただここで僕が答えてしまうと、どれが誰の回答だかわかりづらくなってしまうので、僕のぶんは次回に回しましょう。今回質問に答えているのは、すべて古川Pです。


最後の最後に放たれた「俺は里芋。」というフレーズが印象に残りました。



特別編 その2につづく!
もったいぶるほどのことでもないですけど。ここまででも十分長いから。

2008年5月14日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その50


和解が新聞の記事になる親子なんて、海原雄山と山岡四郎のほかにはあとカストロ議長とその娘アリナ・フェルナンデスくらいのものですね、たぶん。



 *



いざとなったらうっちゃってしまえばいい、という明快かつ乱暴な方針ではじめたブログを、いつのまにか屋台骨として支えるまでにのしあがった期間限定企画、ムール貝博士のパンドラ的質問箱がとうとう50回をむかえました。どうもありがとう。

だいたい質問箱どころかブログ自体、こんなにきちんとつづいていることがすでに驚きです。古川Pとはいまだに会うたび「よくつづいてるね」「まったくです」とお互い感心し合っています。完全に世間と没交渉になってしまったアルバム1枚目のときとくらべればまったく雲泥の差だし、息災ですとシンプルにお伝えする意味でも、これはじつに驚くべき進歩であると言えましょう。

50回というのはしかし、これまでに何を答えたかまるでおぼえていないくらいの回数です。ぜんぶテキストで整理しておけばよかったという気がする。ぜんぶに目を通してくれている人ってどれくらいいるんでしょうね?

ともあれこのさきも細々と長くつづけられることを願いつつ、今日も質問箱のふたを開けましょう。



 *



ハイファイ弁当さんから、ふたつめの質問です(ペンネームはいつもムール貝博士がてきとうにつけています)。たしか前にこれはこういう弁当のことですよ、という説明をした気がするけれど、案の定忘れてしまった。なんだっけな?




Q: 紙の端っこで指を切ってしまったときに出る言葉とたんすの角に小指をぶつけてしまった時との悔しさの比較



これは……質問というより誰がどうみたって論文のタイトルです。困った人だなあ。前にも詩人の刻印を知らないのに質問をくれた奇特なかたがいたけれど(あれから本当に聴いてもらえたんだろうか?)、50回目にしてこれほどアクロバティックなものを持ちこまれるとは思いもしませんでした。知恵の輪をわたされたサルみたいなきもちです。どうしたらいいんだ?

これはつまり、考察してほしいということなのですよね、おそらく。

前にもお話ししたとおり、小指とタンスの角との間で全面戦争が勃発した場合は、タンスを5番アイアンで完膚なきまでに叩きのめす僕ですが、紙で指を切られてもとくべつ声を上げることはありません。

なんとなればかつては紙ばかりいじくる仕事をしていたからだし、そもそも紙そのものに対する偏愛もあって、仮に指を紙の端でスパリとやってしまっても、もの言わぬ紙の愛情表現と思えばむしろ愛おしいというか、僕にとってはだから猫の甘噛みみたいなものなのです。

一方タンスの角に対して言うならば、これは悔しさというよりも屈辱であり、強者による弱者への軽はずみな挑発であり、硬いものからやわらかいものへの挑戦であり、控えめにみても赦しがたい暴挙です。席に着こうとする転校生に足を引っかけて知らんぷりをするのにも似た、あのふてぶてしい態度には思い出すだにはらわたが煮えくり返ります。怒髪天を衝いてメデューサになるとはこのことです。

花粉症だからといって杉を切れという論調には賛同できないけれど、タンスの角を駆逐するというのならよろこんで署名するし、必要とあればその先鋒に立って民衆を鼓舞し、革命のためには刺し違えてでも正義をまっとうする、そういう覚悟を持ってわたくしは今日までこの問題にとりくんできたのであります。

つまり、紙が僕の味方なら、タンスの角は不倶戴天の敵です。

カミソリより鋭い紙の切れ端を武器に、今こそたちあがれ小指たち!革命だ!革命だ!やわらかいものが硬いものに勝つときがきたぞ!



タンスの角革命予想図





敗れる小指軍







A: 革命はしっぱいに終わりました。




よく切れるとおもったのに、ざんねんです。



 *


次回は特別企画と銘打って、詩人の刻印の立役者であり、一部で絶大な人気をほこる古川Pに他愛のない質問をぶつけてみたいとおもいます。ここをお読みのみなさまも、古川Pに聞いてみたいことがあったら気軽にメールください。急な冷えこみにやられて風邪をひいているらしいので、励ましのおたよりもお待ちしています。



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その51 につづく!

2008年5月12日月曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱(一服中)


なんとなく先延ばしにしている感のあるパンドラ的質問箱ですけれども、往生際のわるさをみかねてか、またぽちぽちと質問をいただきはじめているので、ゆっくりと再開していきます。もうすこしお待ちくださいませ。

もちろん質問は年中無休の24時間態勢でお待ちしています。


dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)


しかし5月だというのにこのさむさはいったいどういうわけでしょうね?

世界でいちばん過酷な現場とは




6時間昼寝をしてもその6時間後にはまたふつうに眠れる睡眠的大食漢が、じつに34時間の断食(不眠)という気の毒な苦行をへて、ようやくおとずれた凪をしみしみと味わっています。

土曜の夜はまったく、ホストであるSUIKAはもちろんのこと、SONPUBもALOHAもドカンドカン爆音をぶっぱなして山火事みたいな騒ぎでした。勢いよく燃えさかる山火事のうちがわで、ちょろちょろと花に水をやる立ち位置のわたくし。SUIKA自身は「まだまだ」とどこまでも貪欲な意気込みを口にしていたけれど、家庭的な温かさに、それとはそぐわぬ破壊力、プラス職人的向上心で彼らにかなうものなんかいやしないんだ。夜話とは、いつわりなく、太陽のようにまぶしいイベントです。名古屋や北海道(!)からもわざわざ足を運んでくれた人がいましたね。でも、来た甲斐はあったでしょう?

どうもありがとう!

夜話バッジにしても、おまけCDRにしても、すこし多めにつくって余ったのをもらうつもりでいたら、スッカラカンになってしまってメンバーのぶんなんか全然残りませんでした。なのでけっきょく僕はまだ、おまけCDRの実物を目にしていないのです。どんなかんじだったんだろう?



多くのパフォーマーとちがって僕のばあい、絵を描くつもりで教室に行ったらヌードモデルをやる羽目になったというのにちょっと似ているので、合計400個ちかくの目玉に見つめられるなんて、考えるだけで目まいがするし、しぼんだ風船のごとくしおしおになってしまうのだけれど、ものすごくファミリアな雰囲気のなかで、どうにかつつがなく終えることができてホッと胸をなでおろしています。

ちなみにSUIKAの演奏による夜話限定セッションは、「手漕ぎボート」でした。ぜいたく!しあわせ!



まだ小学生の桔梗ちゃん、直筆のお手紙をどうもありがとう。SUIKAのライブを、最前列で食い入るように観ていましたね。桔梗ちゃんのご家族は、4月のFNSR感謝祭@渋谷フライングブックスで僕が、「お客さんをじゃがいもだとおもえば緊張しないですむかしら」うんぬんと話した(こうして書き起こしてみるとずいぶん失礼な話だな)ことをおぼえてくれていて、野菜が描かれた手づくりのお面をライブ中に一家でかぶってくれたのです。ワハハ!馬鹿だなあ。なんて愛おしい家族だろうと、あんまりうれしくて、草葉の陰でぽろりと泣きました。

たとえばSUIKAにこんな素敵なエピソードがあったって驚きゃしないけど、相手が小林大吾となると話はべつです。ですよね?ありがとう。ありがとう。

手紙と言えば、さかのぼることちょっと前、献上したアルバムについて丁寧な自筆のおたよりをしたためてくださった印刷屋さんの社長夫人(!)も、遊びにきてくれて感激しきりでした。詩人の刻印の初回限定パッケージの印刷に力を尽くしてくれた印刷屋さんです。僕もお会いするのは初めてだったのでご挨拶できてほんとうによかった。ライブハウスに足をはこぶのは人生初とうかがいましたが、だとしたらよろこびもひとしおです。すごい!

それから、御大ロバート・ハリスが「女と紙屑」をしめくくる最後のフレーズに耳を留めてくれて、血圧上がりました。まさしくあの一文があるゆえにこそ、僕は「女と紙屑」をとても大事な作品ととらえているのです。それにくらべたら、この曲で描かれる男女のやりとりなんて何でもない。だって実際とくに何も起こらないし。

そのほか、多くの人に声をかけてもらいました。ほんとうにありがとう!

次回のSUIKA夜話は9月です。ゲストはステルスなので、きっとまた会場はホモサピエンスで埋め尽くされることでしょう。僕は出演者としてではなく、町を歩けば警官に呼び止められるごくごく普通の観客として足をはこびます。

いい夜であった。



眠りについたのはそれから15時間もあとのことですが、それはまたべつの話。


ダブルヘッダー後半、渋谷NEOでのライブは、曲出し担当・古川Pの勇姿を観にきたライムスター宇多丸さんに「こりゃあ(小林大吾にとって)世界でもっとも過酷な現場ですよ!」と耳打ちされた心温まるエピソードからなんとなく察してください。

2008年5月9日金曜日

ウマいこと尻馬にのる馬車馬の話


明日、5月10日の土曜日はSUIKA夜話です。みんなニコニコでおいでませ。



ちなみにこの日はわたくし驚愕のダブルヘッダーであり、真夜中に渋谷でもちょっこりライブをしたのち、そのまま睡眠もろくろくとらずに朝イチから千葉で祖母の一周忌という非常にドープな流れとなっております。どんなスケジュールだ。

■5月10日(土)「W.I.T
@渋谷 Lounge NEO
TIME: 23:00 OPEN
PRICE: 3000yen / 1drink
GENRE: ALL DANCE MUSIC



…ALL DANCE MUSIC…?そんなところになぜ小林大吾が



 *


SUIKAがカッコいいアルバム「カッコいい」を引っさげてカッコよくツアーに出るというので、僕もこっそり馬車の幌に身をひそめて、同行することにしました。6月中旬、名古屋と大阪の2箇所です。





6/13(金)名古屋 鶴舞KD Japon
スイカ夜話ナゴヤ 〜第1夜
OPEN: 18:30/ START: 19:00
ADV: 2,500/ DOOR: 3,000 (drink別)
ホスト:SUIKA
LIVE:小林大吾、ATOMソロ、タカツキソロ、タケウチカズタケソロ
GUEST LIVE:コトナ


6/14(土)大阪 心斎橋鰻谷Sunsui
スイカ(昼間っから)夜話オオサカ 〜第2夜
OPEN: 13:30/ START:14:00
ADV: 2,500/ DOOR:3,000 (drink別)
ホスト:SUIKA
LIVE:小林大吾、ATOMソロ、タカツキソロ、タケウチカズタケソロ
+ SECRET GUEST有り(5/22よりWEBにて発表!)




「おいしいスイカが食べられます」という具合に、さまざまな解釈が可能な言い回しでどしどし言いふらしてもらえるとうれしいです。そうした噂が最終的に「ヤミ米の配給があるらしい…」という情報にすりかわっていたとしても、このさい大したことではない。

とくに僕のばあい知名度もへったくれもないので、これを機会に数十人でもふれてもらえたらとてもうれしい。でもここに目を通してくれている名古屋や大阪の人ってどれくらいいるんだろう?5人くらいはいる?



しかし今日の告知はミュージシャンぽいなあ。5年前のじぶんが今の状況を知ったら腹を抱えて笑いそうな気がする。

2008年5月7日水曜日

安田タイル工業の慰安旅行


本日はあるかなきかの零細企業、安田タイル工業の慰安旅行と称して、タカツキ専務、ATOM常務、スパンコール秘書とともに埼玉は春日部にある首都圏外郭放水路管理支所へ、社会科見学に行ってまいりました。

ここでは洪水時に河川の水をよそへ逃がす巨大な放水路が、地下50メートルの深さに築かれているのです。

いい年をした大人たちが平日のまっぴるまからはしゃぎ回るようすはあまり見られたものでもないので割愛しますけれども、地下神殿の圧倒的な存在感にはみな一様に心をうばわれ、ただ呆然と立ち尽くすばかりでありました。

いまは一介の町工場にすぎない安田タイル工業も、いつかはこれくらいビッグな国際的企業に成り上がりたい。林立するコンクリートの柱を見上げながら、口には出さずとも固く心に誓います。




驚きで言葉を失うATOM常務


指で柱に落書きする小林大吾


すみっこで壁をけるタカツキ専務


その後、放水路の終着点である江戸川にくりだす安田タイル工業の面々



まだ5月だというのにおもむろに泳ぎ出すATOM常務。ガンジス川で沐浴する僧侶に見えますが、ここは江戸川です


流される小林大吾







「世界にブリリアントなタイル革命を起こそうじゃないか」
「屋根より大きいタイルをつくりましょう」

好物の餃子をつつきながら明日への抱負を熱く語りあう男たち。




安田タイル工業の挑戦はまだまだつづきます。

次回はより良いタイルづくりに欠かせない長石を求めて日本を北上する予定です。

2008年5月6日火曜日

ホホ町ガレーヂと夜話限定セッション


しかしまあ、ホホ町ガレーヂはこの際ぜんぜん関係ありません。


ごぞんじのかたもいるとは思うけれど、SUIKAのウェブサイトにはスイカレイディヲという、しまりのないラジオ企画が不定期にアップされています。

こないだメンバーが鍋をつつきに(タケウチカズタケは生クリームをスプーンで掬いに)ゴロゴロとウチに集まった際にも、じつはさりげなくラジオを収録しており、その音源がこのほどあちらでポロリと公開されました。ウチで録ったものだし、とうぜん僕も参加しています。


ココ


べつに自分がしゃべってるのなんて聴いてもしかたないから、わりとほったらかしにしていたのだけれど、ふと思い立って聴いてみたらこれが思いのほかおもしろかったので、ここでもおすそわけです。和気藹々のふんいきがホントに楽しそうで良いのです。

よく考えたらただでさえ露出の少ない小林大吾がこんなにしゃべくる機会もそうそうないと思うので、好事家の方のみお楽しみください。SUIKAに対する僕の馬車馬的隷属関係がいかにして築かれていったのか、その道のりが、意外なこぼれ話もおりまぜながらひどくとっちらかった感じで語られています。とちゅうで「僕もいちおうアルバムを出しているのです」とアピールする必要に駆られるくらい、「詩人の刻印」の影のうすいこと、うすいこと。


 *


そして今週末はいよいよSUIKA夜話です。入場者にはもれなく夜話限定缶バッジに加えて今回のみ「カッコいい解説CDR」が太っ腹特典としてついてくるわけですけれど、このCDRでも小林大吾はしゃべくっています。アルバム「カッコいい」の馬車馬的デザイン秘話(のはず)です。僕も何を話したかすっかり忘れてしまいました。かなりユニークな編集をしているということなので、たのしみにしています。ていうかフラインスピンでまだ聴いてないのは僕だけです。たぶん。


それで、えーとじつはここからがいちばんだいじな話なのですが、SUIKA夜話には恒例ともいうべきセッションが用意されています。あの曲が、SUIKAの演奏で!?


ということを僕もきのうの夕方はじめて知らされました。




Date: 2008年5月5日

From: タケウチカズタケ
  To: 小林大吾

件名:言うの忘れてた!

本文:夜話の日に×××をセッションでやろう!
   リハんときに確認で合わせてみよう。
   ちなみにけっちゃんは「ユリイカ」に飽きたらしい・・・





さりげなくショッキングな一言が紛れこんでいますが、それはともかく肝心の曲名が伏せ字になっているのは、僕のばあい土壇場でひっくり返る可能性がなきにしもあらずだからです。今までに何度かいっしょにやらせてもらっているユリイカではないのです。でも本番でユリイカになってたらそのへん慮ってやってください。

ただこれを逃すと、東京では次の予定がぜんぜんないので、うまくいったらたぶんすごく貴重な機会になるとおもいます。きちんとできたらとてもうれしい。


 *


どうでもいいけど、さいきんSUIKAとキーを叩いているつもりがときどきSUKAになっていて焦ります。

スカはさすがにマズいとおもう。

2008年5月5日月曜日

エラ・フィッツジェラルドの酸素ボンベ


いくら僕でも「エラ呼吸ができたらいいのに」というようならちもない夢想はとうに卒業したけれども、現代の科学力をもってすればその仕組みから、半永久的に潜水できる酸素ボンベがつくれるのではあるまいか、という現実的な期待なら今もしっかり抱いています。

魚とホモサピエンスの代謝量のちがいくらい何でもない!人類がかつてあれだけ憧れた空だって今じゃスイスイ飛べるようになったことだし、どのみちエラを移植できないならそれくらいなんとかしてよとおもう。

いつかじぶんの子どもがサンタさんへの手紙に「エラください」って書いたとき、僕はいったいどうすればよいのだろう?「おれも欲しかったけどダメだった」って答えなくちゃいけないのか?たったそれっぽっちの望みと引き換えに、人生の苦味を早くも手渡さなくちゃいけないのか?「ままならないこともある」って?

さんざん悩み抜いたあげく、枕元にそっとエラ・フィッツジェラルドのCDを置いてお茶をにごすような大人にはなりたくないんだよ!

いいじゃないかエラくらい、ケチケチすんなよとおもうんだけど、神様は聞いてくれるかね?



「エラがほしい」の巻 (完)

2008年5月4日日曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その49


タンクタンクベイビーさんからのしつもんです(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。以前バイトで使っていた削岩機用の小さなガソリンタンクには、こんな可愛い名前がついていました。むさ苦しいおっさんしか使わないような道具なのに、健気なことだなあ。



Q: 小林大吾さんの次の詩集の発売予定はあるのでしょうか?



そういえば詩集のことを聞かれたのってこれが初めてです。何しろ所有者が地球上に100人ちょっとしかいないので、「持っている」と聞けばそれだけでその日いちにちがちょっと豊かな気持ちで過ごせます。どうもありがとう!



小林大吾の公式(?)プロフィールをみると、冒頭に「17歳から真剣に詩を書き始め…」というあんまり重要ではなさそうなことがさも重要であるかのように書かれていますけれども、これは文字どおりただ「真剣に」というだけであって、「積極的に書くようになった」という意味では全然ありません。この際もっと思い切った告白をしてしまうと、僕はおそらく「詩人」と自称する人種のうちでもっとも書くことをしない詩人です。

とても大きな声で言えたものではないですが、たかだか70数ページしかないくだんの詩集も、ほとんどあれですべてと言っても過言ではないのです。すくなくとも、書きためていた分の2/3…3/5…いや4/7…くらいはあの一冊(のなかにある「ch.2 詩人の遺書」)に収められています。

というのも、埃みたいな極小の思いつきがポンと生まれでるまで1週間でも1ヶ月でもひたすら待ちつづけ、出たら出たで今度はそのあと頭の中で延々ところころ転がしつづけ、最後の1文字にいたるまで確定してからここでやっと鉛筆を手に取る、という異常にのんきなやりかた一本槍だったため、たった数行のものをひとつ書き上げるのにびっくりするくらいいちいち時間がかかっていたのです。待ちの時間がとにかく長い。これで待ち時間がゼロになればビギーとかJAY-Zになれるのに、残念ですね。

じっさい、「声に出して曲にする」という行為に手をつけるまで、僕は一度も推敲の経験がありませんでした。「2/8,000,000」の「ch.2 詩人の遺書」に収められた詩片には、どれひとつとして推敲したものはありません。さんざん時間を食いつぶした上でようやく書き上げても、それを1週間くらい寝かせて、もう一度見直して、ダメだと思ったら問答無用でゴミ箱行きです。清々しいくらいポイと捨てます。僕のばあい推敲して良くなったためしがないというのがその唯一の理由なんだけれど、10年以上も書きつづけていながら、呆気にとられるほど数が少ないのはそのためです。それだけ手間をかけてもあの程度かよ、と言われてしまえばそれまでなんだけど。

その代わり、いま読み返してもじぶんでハッとする驚きがあります。まるで誰か別の人が書いたものであるかのように、自分の作品から刺激を受ける、それが僕にとっていちばん大事なことなのです。自惚れよりもはるかに確たる自信として、みずからを「天才だ!」と心からおもえるよろこび以上に得がたいものって、ないですよ、本当に。

そういう意味では、推敲に推敲を重ねるアルバムのリリックはそれと真逆のベクトルをもった作品と言えるし、いまだにその落差を埋める手立てを見つけることができません。確たる自信どころか、盲目的に自惚れる領域さえ目まいがするくらい遠い。1枚目にくらべて、ようやく「好き」と言えるくらいにはなっただけでも、今のところは良しとしたい。前のほうが好きだった、と言ってくれるひとがいるのもわかっているし、もちろん大いに喜ばしいことではあるのだけれど、ここまでくるとこれはもう、100%エゴイスティックな話なので、本人でさえどうにもなりません。

えーと、何の話だっけ?

つまり、あんないいかげんに見えるうすっぺらな詩集でも、いろいろと骨の折れる舞台裏があって、うんぬんということです。(飛躍する結論)

でもやっぱりこんなふうに望んでくれるのは身震いするほどうれしいので、そうですね、ひょっとしたら部屋のあちこちに埋もれているものをひっかき回して、寄せ集めてみたら案外できないこともないかもしれません。すくなくとも、捨てられずにあるということはじぶんのOKが出ているということでもあるし、やってみる価値は…あるんだろうか?現時点ではそういう予定の気配すらないので、気長にお待ちいただけると助かります。

一から書き始めるとなると…モノになるのはまた10年後になりそうでこわい。



A: 今のところ予定はありません。



いっそ、パンドラ的質問箱をまとめてしまうというのはどうでしょうね?



 *


詩人の刻印(ほぼ)全曲レース、タンクタンクベイビーさんが選んでくれた1曲は「饗宴」です。どうもありがとう!


バミューダ 9
ボート 8
蝸牛 7
話咲く 7
紙屑 4
ユリイカ 4
アンジェリカ 3
腐草為蛍 3



 *



とうとう質問箱が50回目に突入です!と同時に質問が残りあとひとつになりました。いつかはこんな日がくるとおもっていたけれど…



dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



最終回なんて言わないで!その50 につづく!

2008年5月2日金曜日

5月のわたくし


気がついたら5月なのですね、もう。どうりであちこちから「ゴールデン、ゴールデン」というかけ声が聞こえてくるとおもいました。


そのころ僕がどこで何をしていたのかというと



相模川のほとりでコップを拾っていたのです。



一度こういうのをみつけ出すと家に帰るタイミングをすっかり逸してしまうので困ります。おかげで2日も過ぎてしまった。


来週は地底にもぐる予定です。



あと、タケウチカズタケ生誕記念月間がはじまりました。5月いっぱいは彼に会うたび「おめでとう!」と祝福することが義務づけられているようです。期間中は彼も選挙活動中の候補者のように、手をふりながら支持者の声援を待ちかまえているので、町でみかけたら声をかけてあげてください。僕も生クリームをもって応援に駆けつけます。

そういえば中学のころ、「おれにとってのバレンタインは前後1週間なんだ」と宣言してトータル2週間チョコレートを待ちつづけたあげく、毎年お約束どおりの結果に終わる友だちがいたけれど、考えかたとしてはこれとだいたい同じな気がする。