2024年3月22日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その421


このブログには不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描いていたらよほどマシだったかもしれない本ブログの特性に鑑み2024年当時の表現をあえて使用して投稿していますさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 大吾さんは、眼鏡を外すとどのくらい見えないんですか?


そうですね、たとえばどこからどう見ても幽霊でなんなら全体的にちょっと透けている、白い着物を着た髪の長い女性が恨めしい面持ちでこちらをじっと見つめながら暗い夜道にひとり佇んでいたとしても、メガネを外した僕がこれを幽霊と認識することはできません。ん?とは思うし、何かいることくらいは察知するはずですが、よくわからないので素通りしてしまう可能性が高い。つまり、異形の存在がほとんど意味をなさないくらいの視力です。

これは昔から僕が不思議に思っていることのひとつなんだけど、幽霊にとっては視認されなければ人のかたちで現れる甲斐がありません。気配があって何かがいることはわかるのにぼんやりしていてよくわからない、というのはおそらく幽霊にとって、気配すら感じられないことよりもよほど屈辱的なはずです。僕が幽霊ならこの至近距離で目を細めながら首を傾げてんじゃないよと言いたい。

もちろん、どちらかといえば肉体よりも精神に作用する存在だろうし、視力はぜんぜん関係ない可能性もあります。ド級の近視であっても、幽霊だけはその表情から細部まではっきりくっきり見えるのかもしれない。しかしそうすると視界のすべてが0.01の視力で描き出されているのに、幽霊の輪郭内だけが1.5とか2.0で映されるという気持ちのわるいことになります。度数のちぐはぐな視界ほど気持ちのわるいものはありません。というかその場合は幽霊に対する視力が1.2なのか1.5なのか2.0なのかもはっきりしてほしいし、その度数は何によって決まるんだという新たな問題が生じます。

そうなるとたとえ物質的には存在しない幽霊であっても、近視では家とか道とか電柱と同じようにぼんやりしてよく見えないと考えるのが自然です。見えているかどうかわからないのにとりあえず化けて出てみるというのもいささか非効率すぎるし、僕が幽霊なら夢に出るとか別のアピールを考えます。

いずれにしても幽霊の存在意義を根本から疑ってしまうくらいの視力である、とは申せましょう。どちらかというと僕はオカルトをわりと好むほうなので、そういう意味でもやっぱりメガネは必要だなと思います。疑わなくてすむからね。


A. 幽霊が舌打ちをするくらい見えません。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その422につづく!


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