2022年2月11日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その361


マリー・あんたは熱湯さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 来年に出産を予定しています。名前を考える段階になり、聞きなれないワードにぶつかりました。最近では、キラキラネームとは別にシワシワネームと言うものにも気を配らなければならないらしいです。シワシワネームとノーマルネームの境目はなんだと思いますか?また、ご自身の名前はどちらだと思いますか?


やあそれはおめでたい。世界のどこかに咲いているはずの麗しい花を探して、とにかくひたすらてくてくと歩き回る、そんな日々なわけですね。

今はシンプルに古風であるとか、具体的には日本固有の類型に則っているような名前を、シワシワネームというカテゴリで括ることがあるそうです。その頂点に君臨するのはたぶん、日本全国ありとあらゆる記入例に用いられる「太郎」と「花子」でしょう。

ただシワシワと言ってもキラキラに対する嫌気からきている側面もあるらしいので、むしろ積極的に名付けるケースも多くあることに注意してください。つまり、気を配る必要などそもそもないということです。でも、そうですね、権兵衛とか田吾作とかあんまり古いのまで含まれるかどうかはわからないけど、しいて言うなら昔から好まれてきた名前らしい名前かどうかがひとつの境目になるとおもいます。

僕も今はキラキラだろうとシワシワだろうとフワフワだろうとカチコチだろうと、それが周囲に与える印象よりも、名付けられた本人に親の思いが伝わっているかどうかのほうがはるかに重要であると考えるようになりました。仮にKFCと書いて「けんた」と読む名前があったとしましょう。かなり先鋭的だとおもうけど、名付けられたKFC君が誰に何を言われても「いいでしょ、自慢なんだ!」と胸を張れるとき、周囲がその名を非難することなどできるものだろうか?

もちろん限度はあるし、どうとでも名付けていいことにはなりません。あくまで良識(常識ではなく、良識です)の範囲内での話です。KFCを良識の範囲内と言っていいかどうかは意見が派手に分かれそうなところではありますが、それはまあ実際にKFCと名付ける段階になってから考えればよろしい。

ちなみに僕の祖母は名を「ウラ」と言いました。僕の親とその兄弟の誰も由来を知らなかったから、ハテ変わった名前だと幼心に首をかしげていたものです。ところがだいぶ大人になってから、うらは裏と同じで表には見えないことから心を意味する、と辞典か何かで知ってポンと膝を打ちました。「うらやましい」とか「占う」も同じで、「うら=心」から来ていると言います。

当人はだいぶ以前に鬼籍に入っていて、由来を知っていたかどうかも定かではないから、今となっては確かめようもありません。でも他のどんな理由よりしっくりくるし、そうおもえば急に奥行きが増してより美しくもあるから、きっとそうだったんだろうということにしています。心と書いてうらと読む、それだけでもなんだか趣がある話じゃないですか?

では「ウラ」という名前は古風だろうか?それとも耳慣れないから新鮮に聞こえるだろうか?彼女の孫たる僕は古式ゆかしい印象を持っているけれど、そうでない人もいるでしょう。

どんな名前であれ、抱く印象は人それぞれで、それがすべてです。ですよね?

あと、そうそう、僕の名前についてですが、僕自身がシワシワになりつつあるのでこうなると別にもうどっちでもいいというか、シワシワ上等ってかんじです。

どうかぶじに元気なお子さんが産まれますように!


A. むしろ僕がシワシワです。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その362につづく! 

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