2021年5月7日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その325


さんま1/2さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)メスになったりオスになったりする忙しない秋刀魚のことですね。


Q. 2017年、何か変化はこの世界で起きるでしょうか。


今が2021年であることなどおかまいなしに、というかちょうど前回の質問のすぐそばにあったのでお答えしますが、そうですね、2017年といえばドナルド・トランプが世界中の予想を一刀両断に覆してアメリカ第45代大統領にごろごろどすんと落石よろしく就任した年です。

とにかくやることなすことすべてが型破りな大統領だったとはいえ、本当に大統領として任期を全うしたのでともすると忘れられがちですが、ドナルド・トランプが大統領になるというのはアメリカ国民でさえ100%ジョークでしかないような話でした。

何しろそこから遡ること17年前、今から数えるともう21年前ですが、アメリカにおけるちびまる子ちゃんともいうべき国民的アニメ「シンプソンズ(The Simpsons)」において、そのころすでにぶっ飛んだ富豪として知られていたドナルド・トランプが大統領としてあれこれやらかした国を立て直すエピソードが存在するくらいです。

つまり2000年当時は、それくらいあり得ない話だったわけですね。

世界は変わった、と誰もがおもったし、僕もおもいました。おもいましたが、4年たった今僕がこの話を持ち出すのは、当時とちょっと印象がちがうからです。

まちがいなく変化ではありました。でも実際のところ、当時感じていたように破壊的かつ終末的な変化というより、瞬間的にはどれだけ劇的であっても、実はこれくらいの変化ならどの時代もごくふつうにあるのではないか?と今はおもうのです。

僕個人の印象にのこっている世界の変化(天災を除く)を振り返ってみると、たぶん最初の記憶はベルリンの壁の崩壊です。それから湾岸戦争ですね。地下鉄サリン事件からの超絶大騒動も丸ノ内線がわりと身近だったこともあってかなり生々しく覚えているし、911なんかは深夜、友人からの電話で今すぐテレビをつけろと叩き起こされたものです。

今にしておもえば、というのは当時まだ中学生だった僕個人の視点だからですが、ベルリンの壁の崩壊は明らかに世界を揺るがす劇的な事件です。

当時もし僕が大人だったら「やべえ、世界まじやべえ」とアパートの部屋でひとりざわついていたとおもいますが、当時の僕は「めっちゃ壁壊してる!気持ちよさそう!」と無邪気にどきどきしていたくらいで、ことの重大性がいまいちピンときていなかったし、とりたてて日常に変化もなかったし、じっさい今の僕には何ひとつ影響を及ぼしていません。

急に思い出したけど、ソビエト連邦の崩壊もあったのに、そういえばこれもぜんぜん記憶にありません。ソ連のことで僕がおぼえているのは落合信彦の「ゴルバチョフ暗殺」という一冊がめちゃめちゃおもしろかったことくらいです。ソ連のことをほとんど何も知らないのにおもしろかったんだから、よっぽどだったんでしょうね。

いずれにしてもリアルタイムで経験していながら、印象としてはどれも教科書で学ぶような歴史的な出来事のひとつにすぎません。それでいうと「ご一新」と呼ばれた明治維新なんかは本当に日本を観念から文化に至るまで根こそぎ植え変えてそれこそ破壊的だったとおもうけれど、僕らにとってはむしろそのおかげで今があるほど昔むかしの話です。ですよね?

こう書くとどれもそう大したことではないように聞こえてしまうかもしれませんが、そうではなくて、ここで僕が言いたいのは「世界はつねに変化しつづけている」ということと、「僕らの日々は僕らがおもうよりもずっと頑丈である」ということです。

僕らの日々は僕らがおもうよりもずっと頑丈である。

そしてそれをざっくりと言い換えるなら、「明日も必ず日は昇る」ということになります。

もし生きて今ここにいるのなら、たぶんそれがすべてだろうと、今の僕はおもうのです。いまだに収束の気配が見えないパンデミックの渦中である、今このときでさえも。


A. 起きたし、今も起きているし、また起きるでしょう。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その326につづく! 

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