2015年8月29日土曜日

謎めく失恋ソング「Hot Water Pressure Washer」のこと


御大タケウチカズタケが椎名純平さんと「Hot Water Pressure Washer」をカバーするというので、おふたりの行脚公演「Solo Solo TOUR 2015」@新宿カブキラウンジにお邪魔してきたのです。


椎名純平 feat. タケウチカズタケ による世界が聴けるよろ〜こびー、つたーえらーれるーなら〜(大好きなの……)、とそのままこの日の様子を文章がモニターからはみ出す勢いで書きつらねたいのは山々なのだけれど、一介のへぼ朗読者にすぎない僕にはちょっと荷が勝ちすぎるような気もするので、ひさしぶりに聴く「Sounds Like A Lovesong」から始まってもはや円熟の域に達しつつあるタケウチカズタケの「midnight theme」や、純平さんのアイズレーAt Your Bestカバーとかチャップリン「smile」のアカペラ(!)、そしておふたりによる松田聖子天国のキッスカバー(!)あたりに目頭を熱くしつつ、ここはぐっとこらえて本題に入るといたしましょう。よくよく思い返すとえらいラインナップだな……。


先日のオントローロでも披露しましたが、小数点花手鑑に収められている「ダイヤモンド鉱/hot water pressure washer」にはタケウチカズタケによるリミックスが存在します。このリミックスのいわゆる元ネタとも言うべき原曲が、「Hot Water Pressure Washer」です。

「いや、じつはここだけの話やねんけど」とタケウチカズタケは声を潜めて打ち明けます。「70年代にアメリカの……どこやったかな、まあ活動してた無名のコーラスグループにそういう曲があんのよ
「ええー!ホントですか」
「まじでまじで」

古いソウルミュージックに同じタイトルの曲があるからそれをリミックスに使ってみた、という経緯はそれだけみればちょっと粋な話だし、実際そういう例は多くあるからとくべつ不思議もないのですが、問題はそのタイトルがHot Water Pressure Washer(温水高圧洗浄機)」であるという点です。そんな歌が実在したなんて偶然が果たしてあるものだろうか?いくらなんでもピンポイントすぎるじゃないか?ググってもそれらしい情報は出てこないし、だいたい仮にあったとしてそれはいったい何を歌った曲なんだ?と素朴な疑問を矢継ぎ早にぶつけてはみたものの、本人が頑なにそう言い張る以上は僕としても受け入れるほかありません。

「いや……でも、やっぱりなあ」
「何?」
「おかしくないですか」
「何が?」
「だって高圧洗浄機ですよ」
「そうやねん、奇遇というかね
「そういう設定なんでしょ?」
「いやいやいや、え、なんで?」
「高圧洗浄機の歌なんですか?」
「いやいや、失恋ソング」
「はあ、失恋……え?失恋?
「そうそう」
「何を言ってるのかわからない」
「なんでよ」
「歌なんですよね?」
「もちろん」
「どんな歌詞なんですか?」
「歌詞ならダイゴくんのPCに入ってるでしょ」
「え?」
「いや、入ってるんじゃないの」
「なんで?」
「そんな気がするわ」
「だって僕、知らないですよそんな歌」
「うん、まあそうなんやけども」
「入ってるわけないじゃないですか」
「入ってるから、絶対」
「入ってな……うわっ入ってた!
「あんねんなーそういうことって」

聴いたこともないはずの古い曲の歌詞がなぜ僕のPCに入っているのか僕にもさっぱりわかりませんが、わからないことに目くじらを立ててもしかたがありません。せっかくなのでその歌詞をここに載せておきましょう。たしかに高圧洗浄機をモチーフにした失恋ソングです。


<対訳>

ふたりで暮らしてたあのころ
きみは地球でぼくは月だった
ぼくはきみにすべてを捧げた
きみはぼくの金を持って逃げた

ムダなことなんて何ひとつない
人生は山と谷の連続だ
最新の高圧洗浄機を買おう
顔を洗って出直すために

何はなくとも高圧洗浄機
温水仕様の高圧洗浄機
さっぱりするぜ
温水仕様の高圧洗浄機


とまあそんなわけで椎名純平&タケウチカズタケによるこの謎めいた失恋ソングのカバー(あくまで実在すると言い張る原曲のカバーです)を歌舞伎町で聴いてきたんだけれど、むちゃくちゃカッコよかったです。今後もちょいちょいカバーするそうなので、おふたりをフォローしてたらまたどこかで聴けるかも!


というかそんならせめてその前に「ダイヤモンド鉱」のリミックスを出せ!という話なんですけれども、じつは半年くらい前にそのことを議論していたら、そこからなぜかオントローロの開催に話が転がっていってしまったのです。人生なにがどこでどう転ぶかわからないもんですね。(しみじみ)

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