ある種の鳥には托卵といういっぷう変わった習性があります。よく知られているのはカッコウです。他の鳥の巣に卵を生みつけて、じぶんの代わりにヒナを育ててもらうのですね。Aという鳥が卵を託すのは必ずBという鳥に決まっていますが、CならD、EならFという具合で他にも多くのバリエーションがあります。いずれにしても托卵をする鳥の辞書に「子育て」の項はありません。生んだら生みっぱなしです。
しかし勝手にBの巣で卵を生むといっても、その色や形がBの卵と明らかに異なれば、Bは当然それを育ててくれません。そのためAは気の遠くなる時間と数えきれない世代交代をくり返しながら、やがてじぶんの生む卵にめちゃリアルな偽装をほどこすまでになりました。ようするに色も形もBの卵そっくりの卵を生みつけるのです。「AにはB」と組み合わせが決まっているのはここに理由があります。
1968年にヴィックラーが著した生物学の古典「擬態」には、その度肝を抜く相似ぶりが載っているので引っぱり出してみましょう。種ごとに2つずつ並んでいますが、右が托卵をする側、左がされる側です。
前田敦子VSキンタロー。の比ではないことがよくわかりますね。
また托卵は、鳥に特有の習性というわけではありません。魚や昆虫、果ては閑静な住宅街に並ぶ自動販売機にも、これと同じような例をみることができます。
その一例
形といい大きさといい、みごとな擬態にぐうの音も出ません。何をしれっと一緒になって冷えてるんだこいつは?
返信削除そんな無責任な…!
と思いつつ、「めちゃリアルな偽装」という表現に思わず笑いました。とてもおもしろいですね。
以前私はキットカットの缶が紛れ込んでいるのをみたことあります。
> もよよさん
返信削除のど渇いたな、キットカットでも飲むか
というわけではないんでしょうね、やっぱり。