2008年4月10日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その42


背もたれのない椅子の上から尻がずり落ち、体勢を立て直そうとおもったらそのまま床にゆっくりペタンと落ちました。

最近はこういうことがときどきあって、そのたびに何かがマズいという気がするんだけど、しかし何がマズいのかいまいちよくわからない。だって尻が落ちただけじゃないか?サルだって木から落ちるんだから、尻が椅子から落ちるのだって、そりゃ乗ってるんだから時には落ちることもあるだろうとおもう。

しかしそれならばなぜつとめて平静を装おうとするのか?

どうも何かつめたい事実から目をそむけているような気がするのです。

まあいいか。


 *


以前質問箱 その5にご登場いただいたクラッシュギャルズ(男)さんから2度目のしつもんです。こうしてみるとホントにびっくりするくらい適当なペンネームですみません。



Q: ある日総理大臣が、「日本は今月末で解散するので、めいめい好きな国へ移住してください」と発表しました。その国で暮らし、日本には戻れないという条件だったら、どの国を選びますか?



解散、というのがおかしいですね。あらァ、好きだったのに残念だわァ、という感じです。いずれまた再結成してほしい。

しかし決まったことをいつまでもくよくよ悔やんでたって仕方ないので、そうですね、僕はじゃあせっかくだし、マダガスカルに移住しようと思います。インド洋のはしっこ、モザンビークのとなりにプカッと浮かぶ大きめの島です。世界遺産に登録されたツィンギ・デ・ベマラも強烈な景観なのだけど、あの島、植生がすごくおもしろいんですよね。バオバブを筆頭に、どいつもこいつも曲者ぞろいで、そそられます。どのみち汗水たらして生きるなら、そういうのに囲まれたいです。

生きると決めたらどこでだって生きていかなくちゃいけないけど、かなうとしたらいちばんがそこ。でなければ、そうですね、やせっぽちなので寒いとこだけはだめです。アルコールもたしなまないから、体を温めるのに人一倍苦労しそうな気がするのです。それとも寒いとこいたらちゃんと脂肪がついてくれるんだろうか?それならむしろアイスランドとかに行ってみたい気持ちもあるけれど。

あとは、そうだな、なるべく日本人が行かないとこに行きます。どうかするとすぐ甘えるたちなので、そのへんはすっぱり断ち切りたいです。あきらめもつくというかね。



A: マダガスカル



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クラッシュギャルズ(男)さんからは、もうひとつ質問をいただきました。どうもありがとう!



Q: ある日総理大臣から、「日本の好きな文化施設に住んでいいよ」と言われました。美術館・博物館・図書館・劇場などなどの中から、住むとしたらどこがいいですか?



なかなか気さくな総理大臣ですね。肉屋の親父が「余ったコロッケ持ってっていいよ」と言うのに似て、好感が持てます。国の舵取りがそんなんでつとまったら、それはそれでアレだけど(何言ってるんだ?)、まあそういうことならお言葉に甘えて、博物館にしようかな。科学や歴史、人文をていねいに学べるだけでなく、インテリアとしても一級品ばかりが揃っているし、申し分ありません。どれかひとつと言われたら、富山にある魚津埋没林博物館がいいです。巨大な埋没林のすきまにはさまれて眠りたい。いい夢みれるとおもうんだよな。

でなければ浜松にある秋野不矩美術館をえらびます。藤森照信の手になる滋味ゆたかなうつくしい建築と、精神的な深みを湛える秋野不矩の絵が互いにしっとりと馴染んで醸し出す、やわらかな趣には得も言われぬものがあります。館内を裸足でぺたぺた歩く風変わりなつくりも好き。住みたいという気持ちが不謹慎に感じられるほど、凛として心地のよい美術館です。至高の料理を、それに見合った器でいただく、そんなよろこびがここにはあります。

目黒の庭園美術館なんて豪邸だし、ちょっといいですけどね。分不相応すぎて卑屈になりかねません。あと、人外のモノにも出合いそうでこわいです。



A: 秋野不矩美術館



しかしこういう、ある程度かぎられた選択肢の中からひとつ抜き出すタイプの質問は、ひとりで答えるのがもったいないなといつも思います。「好きな輸入菓子は?」というのもそうだったけど、人となりを引き出すのにうってつけというか、親しい人の意外な面をみることもありそうだし、みんなでワイワイ話せたらたのしいですよね。のらりくらりとした僕個人の回答なんて、そういう意味ではまあ、二の次ですよ。ね?



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dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)



その43につづく!

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