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2008年4月5日土曜日
ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その40
けろっと忘れていましたが、4月13日のFNSR感謝祭@渋谷Flying Books、おかげさまでキャンセル待ちも含めぶじ完売したもようです。ありがとうございました!って言うとまるで終わったみたいだな。いえ、来週です。
*
菜の花のからし和えさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。せっかく春だし、今晩のおかずにしようとおもっています。
Q: 僕には宇宙という存在がどういうものなのかよくわかりません。宇宙って何なのでしょうか。いつか消えてなくなることがあるのでしょうか。また、いわゆる宇宙人はいると思いますか?
巨大な質問ですね。神のみぞ知るとはこのことです。こないだアーサー・C・クラークが亡くなったときにもちょっと考えてはみたのだけれど、あまりのスケールにまるで歯が立たず、けっきょく眠たくなって寝てしまいました。
「博士、博士!」
「おや、ひさしぶりだね」
「ごぶさたしてます」
「どうしてたの」
「博士の存在をものすごく忘れてました」
「ハゲタカに肉をついばまれてしまえ!」
「僕もさっきふと思い出してびっくりしました」
「あまりの不味さに吐き出されてしまえ」
「ええと、今日はですね」
「しかしハゲタカは気の毒だからウズラにしよう」
「質問がきてるんですよ」
「ああ、いつものな」
「宇宙って何ですか」
「YouTube?」
「いや、宇宙です」
「みたよ、PV」
「宇宙だってば。いいんですよPVは」
「宇宙…あの、星がぷかぷか浮いてるやつか」
「科学者にあるまじき言い草だ」
「ちがうの?」
「たしかにまあ、そうですけど」
「ありゃ舞台装置だよ」
「もっと科学的な話をしてくださいよ!」
「科学をなんだとおもってるんだ」
「それはこっちのセリフです」
「科学ってのはもっともらしさのことだぞ」
「その発言はたぶんレッドカードです」
「事実だからしかたない」
「めったなこと言うもんじゃないですよ」
「今までに何回教科書が訂正されてきたとおもってるんだ?」
「だからウソってわけでもないでしょう」
「丸ごと鵜呑みにするなって話さ」
「しかし舞台装置はあんまりですよ」
「だって見たことないもの。ダイゴくんあるの?」
「僕もないです」
「そうだろう?この先宇宙に飛び出す予定は?」
「飛び出すって…ないですけど、たぶん」
「ホラみろ。直接その目で見て確認できないんだとしたら、惑星とビー玉にどれだけの違いがあるっていうんだ」
「話がいちいち極端なんです」
「惑星の説明をされたほうが納得できる?」
「そりゃそうですよ」
「間近で見たわけでもないのに?」
「だって一応観測とか計算とかしてますもん」
「だれが?」
「誰って…ハッブルとか」
「ともだち?」
「とっくの昔に故人ですよ!」
「赤の他人?」
「赤の…まあそうです」
「ちなみにその計算、理解できるの?」
「できないですけど」
「何を根拠に信じこんでるのかさっぱりわからんね」
「言われてみるとそんな気もしてきました」
「もっともらしさってのはつまり、そういうことさ」
「なんか言いくるめられてる気がする」
「言いくるめてるんだよ」
「言いきった!」
「もっともらしく聞こえたろう?」
「…」
「それならこれもりっぱな科学さ」
「詭弁てご存知ですか、博士」
「知ってるとも!人類史上最も安価にして今なお最強の武器だからな」
「ひどい話だなあ」
「何を今さら」
「だってなんか釈然としないですよ」
「星がぷかぷか浮いたあの真っ暗な空間が舞台装置だとして、なにか不都合があるか?」
「とくにないです」
「舞台装置が気に入らないなら、背景でもいい」
「どっちだっていっしょですよ」
「わかったよ、じゃあこれを見てみろ」
「NASAのとこからひっぱってきた」
「みたことあります」
「アポロ11号の月面着陸だ」
「有名な1枚ですね」
「星条旗がはためいてるだろう?」
「はためいてますね」
「空気がないはずなのに?」
「あれ?」
「…」
「そういえば…」
「舞台装置にみえてきただろう?」
「いや、だってこれそんな…え?」
「…」
「ちょっと…」
「…」
「え、ホントに?」
「いや、真空でもはためきはするんだけどもね」
「なんだ、びっくりした」
「見ちゃいられん」
「ずるい!」
「実際がどうあれ、視点をゆさぶられただけでこのざまだ」
「む…」
「どうあるべきかわかったろう?」
「わかったというか、けむにまかれたというか…」
「わざわざけむにまかれに来てるのは君のほうじゃないか」
「たとえそうでも心臓にわるいです」
「気の毒なことだね」
「ということは宇宙がいつか消えてなくなるとしたら…」
「そりゃ大道具さんの撤収次第だよ」
「ってことですよね、やっぱり」
「次の舞台もあるだろうからね」
「宇宙人はどうですか?いるとおもいます?」
「いるじゃないか、目の前に」
「博士が?そうなの?たしかに人間離れしてるけど」
「いや、君もだよ」
「そういう目で見たらみんなそうですよ!」
「人間離れって、失礼なやつだな、相変わらず」
A: 舞台装置、あるいは単なる背景です。
個人的には、地球以外にも宇宙人というか、知的生命があってしかるべきだとおもいます。これだけ広いんだから地球より快適な星だってどこかにありそうなものです。だいたい地球にいる生物がぜんぶ本当に地球産かどうかだって、わかりゃしないですよ。
*
そんな菜の花のからし和えさんは、「話咲く種をまく男」を選んでくれました。悩んでくれてありがとう!
ボート 8
蝸牛 7
バミューダ 7
話咲く 7
紙屑 3
ユリイカ 3
アンジェリカ 2
腐草為蛍 2
*
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その41につづく!
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