2025年8月15日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その458


たけのこの佐藤さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)


Q. 身体を起こすエネルギーはないけど、眠れもしないとき、スマホをダラダラ見るのをやめたいです。代わりにできることやオススメの考え事があれば教えてください!


僕はわりと日ごろから床に寝っ転がる男なのだけれど、そんなに多くの人が日常的にコロコロと床に寝っ転がっているともおもえないので、ここでは仮にベッドでの話としておきましょう。

気が向くとすぐ床に寝っ転がる人の割合に比べれば、寝床にスマホを持ちこむ人の割合はおそらくめちゃめちゃ多そうな印象です。したがって、同じような悩みを抱く人もまためちゃめちゃ多いだろうな、と想像できます。

そしてこれを他人事のように書かざるを得ないのは、僕が寝床にスマホを置かない男だからです。

なぜと問われると、ちょっと困ります。何しろ意識的にそうしているわけでもありません。別にいいか、くらいにしか思っていないというか、なぜだろう。しいて言えば寝ることしか考えてないんじゃないだろうか。

枕元にはいつも何かしらの本があって、寝つきのわるいときは眠たくなるまで、すでに眠たいときはもっと眠たくなるまでぺらぺらとめくっています。ただ日常的にそれほど本に対する欲求が強くない場合、あまり甲斐がないのもよくわかる。それならまだスマホのほうが、となるのも無理はありません。

おもうに、おそらくスマホは僕らが自覚する以上に、安心と結びついている印象があります。

僕なんかはたまにスマホを忘れて外出してもそれほど緊迫しないというか、別に困りもしない気の毒な生き様なので、あらまあ程度で済みますが、大多数の人はそうならないでしょう。今や連絡、支払い、指定の時間や地図なんかにしても、これなくしては立ち行かない社会です。なくてよいときなどほとんどありません。

そして手元にあるのが当たり前ということは、手元にないと当然、不安に直結します。現代人にとってスマホは、特に明確なわけでもない茫漠とした不安を抑制してくれる、お守りみたいなものでもあるのです。そもそもスマホが存在しなければ抱きようのない不安でもある、という身も蓋もない話はこの際脇に寄せておきましょう。

そうなるとたとえば、本を読むといいよ、とかこんなことを考えるといいよ、というアドバイスはたぶん役にたちません。とにかくまず至近距離にスマホがないと落ち着かないし、スマホがあったらあったでそっちに気を取られて読書も考え事もへったくれもないからです。

以上を踏まえた上で、というのはつまり、スマホを至近距離に置いた上で触れずに済む、最もシンプルな解決のひとつはラジオとかポッドキャスト、もしくはオーディオブックだと僕はおもいます。

日常のお供からアカデミックなものまで、選択肢は無数にあるし、誰かの話や朗読は聞いているうちにそのままじぶんの考えごとに発展することもあるでしょう。

とりわけ僕が強調したいのは、です。耳に心地よく感じられる声というのは聞いているだけで癒され、脳汁が溢れ出すところがあります。他では聞けないような特別な話をしているわけでもないし、何なら話の印象が残らなかったりするのに、話し方とか、声の高低とか、ペースとか、ただ耳を傾けているだけで満たされることが実際あるんですよね。

なのでここはひとつ、じぶんにしっくりくる番組やパーソナリティ、もしくは朗読を探してみましょう。有用かどうかは問題ではありません。ただただ、リラックスできるかどうかです。

もしぴったりのものに出会うことができたら、自然と寝床でスマホに触れることも減るんじゃないかとおもいます。好きなアーティストのポッドキャストなんかあったら、入り口としては最高ですね。


A. じぶんに心地よい声を探してみましょう。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その459につづく!


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