2024年4月26日金曜日

儚く散ったちいさな花とその供養のために


さてまたひとつ、供養のために書き残しておきましょう。

本当にやむを得ない、運がなかったとしか言いようがない、誰も責められない状況でお蔵入りとなった案件がありました。電車のマナーポスターです。

マナーポスターには個人的に以前からすこし思うところがありました。これはそもそも誰のためにあるものなんだろうか?

何しろポスターを目にする圧倒的大多数の人はすでにマナーを身につけています。彼らにとってそれはわざわざ言われるまでもなく当たり前のことであり、特に啓発の意味を持ちません。

それでいて、掲げられたメッセージは「ダメ」「NO」「しないで」等々、すべからくネガティブです。マナー向上のためなんだからこれも当たり前と言えば当たり前なんだけど、これではその行為をただ非難しているだけのようにも思われます。できればこうあってほしいということを伝えるのに、非難が必要かと言ったら必ずしもそうではないはずだし、マナーを大切にしている多くの人も目にするわけだから、ポジティブとまでは言わないにしてもネガティブではない、別のアプローチがあってもいいんじゃないだろうか?

とすれば最低限の注意を喚起しつつ、マナー違反を責めない(←重要)、それでいて目を留めた人がちょっと和むようなもののほうがはるかに共有もしやすく、また結果としてメッセージも浸透しやすくなるのではないのか、何ならちょっと意味がわからないくらいのほうがよほど心に残って多くの人の日々を彩るだろうし、全方位にハッピーで丸く収まりそうな気もするのです。

そんなことを考えながらせっせとこしらえ、満を持して提出し、クライアントからもばっちり好感を得ることができ(←これも重要)、ではこれでいきましょうというまさにその絶妙なタイミングでいくつかの不幸な偶然が重なった結果、やむなく白紙となってしまったポスター案がこちらです。








今みてもわるくないし、こんなポスター貼ってあったらいいのにとしんみり思います。どこかが採用してくれてもいいんだぞ。

4 件のコメント:

  1. Twitterでこのポスター案を拝見したとき、おっしゃる通り最初はちょっと意味がわからなくて、そして「ん?」から一拍置いて「あぁ!」に変わる心地よい感覚が芽生えました。こんなポスターに街中で不意に出会えたらどんなに素敵だったろう…と残念に思います…。
    大吾さんのユーモアに出会える別のかたち、別の機会が今後また生まれることを期待します。

    返信削除
  2. これ、マジで素敵だわ
    流石です

    返信削除
  3. > 匿名さん

    そう言ってもらえただけで
    つくった甲斐はありました!
    ありがとう!


    > SHOさん

    ありがとう!
    ほめられてうれしい!


    > tktk3109さん

    ありがとう、僕もです!

    返信削除