春はばけものさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)かの清少納言がしたためたのちすぐ思い直して消したという、幻の冒頭文ですね。
Q. 大吾さんって大きい声だすイメージないのですが、今までで1番大きな声が出た時はどんな時ですか?
たしかに大声を出すことってないなあ、とひとしきり考えてふと気づいたんだけど、そもそも誰であれ大人になると大きな声を出す機会ってほとんどないですよね。それとも僕が知らないだけで、みんなわりと日常的に大声を出してたりするんだろうか。
いずれにしてもこれは僕もいろんな人に訊いてみたい質問です。「人生で一番大きな声が出た時!」
僕が今でもあれは大声だったとはっきり記憶しているのは、夜中に路上で未確認飛行生物が襲いかかってきた時です。
手に乗るくらいの大きさで、先の尖った脚がいっぱいあり、牙の並んだ大きな口から粘液を垂らすサソリみたいなエイリアンがいきなりうなじに飛びかかってきた、と当時の僕と同じように想像してみてください。夜更けの路上でチクチクゾワゾワしたかなり大きめの何かが首から背中にかけて蠢いている(けど姿は見えない)、その恐怖たるやまじで筆舌に尽くしがたいものがあります。
こういう時にAIを使えばいいんだ
夜半とはいえわりと人が行き来するエリアだったので、思わず奇声を上げてしゃがみ込んでしまったときの周囲の視線は忘れられません。挙動の理由が傍目からは全然わからないのだから、不審そのものです。でも往来でエイリアンに襲われたら誰だってああなるとおもう。なのでこれは同時にB級ホラー体験であり、すごく恥ずかしかった思い出のひとつでもあります。路上で奇声を上げてしゃがみ込むこと自体、人生ではそうそうないですからね。
恐る恐る手を伸ばしてその正体がわかったときの安堵感と言ったらなかったけれども、もし正体がわからないままあのエイリアンが姿を消していたら、とおもうとさらに震えるものがあります。姿を消してしまったらどれだけ推測を重ねてもそれを確かめる術はもうありません。なるほど…こういう不可解な体験が妖怪に置き換えられてきたんだな…と変に納得してしまったものです。
たしか以前も別の文脈でこのことを書いた気もするので、正体はこのブログを遡れば見つかります。でもわからないほうが怖いでしょう?
A. 路上で未確認飛行生物に襲われた時です。
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その391につづく!