2023年2月24日金曜日

アグロー案内 VOL.4と少年ジャンプの発売日に共通すること


さて、一部のプラットフォームではなぜか1週間くらい前から試聴どころか全曲フル尺で配信されていて関係者一同膝から崩れ落ちたというアグロー案内 VOL.4がいよいよ今晩0時にリリースとなります。人を迎えに行ったら迎えるこちら側にその人がいるような気分です。一体われわれはこれから何を迎えるというのか?

しかし配信開始を2月25日(土)と設定し、実際にそう告知した以上、仮にApple MusicやYouTube Musicなんかでとっくに全曲配信されていようとあくまでリリースは今晩0時です。断固としてそう主張せねばなりません。楽しみですね。

(リリースから遡ること1週間前)
「もう配信されてるっぽいんやけど…」
「なんですって」
「どういうことやねん」
「黙っときましょう」

たとえば少年ジャンプです。ジャンプと言ったら今も昔も発売は毎週月曜であり、今でこそ巻末の次号予告にも月曜発売と書かれていますが、僕が子どものころは火曜発売とありました。どこでも月曜には売られていたので早売りとは言えないとおもうけど、とにかく正式には火曜発売ということになっていたのです。

そしてまた、大っぴらには言えませんでしたが土曜に早売りをする店もありました。最も大胆不敵なケースでは、よりによって集英社のすぐ近所で金曜に売る店がごく最近まで存在していたくらいです。豪胆にもほどがある。

つまり土曜に配信のところを金曜の24時と解釈するのは、本来火曜発売だったジャンプを月曜に売るようなことであり、もしそれよりもずっと早く配信されているとすればそれはジャンプをこっそり金曜に売るようなことである、ということです。世の中にはそういうことが往々にしてあります。それでなくとも人を煙に巻くところのある作品なのに、リリースそのものがこうもとっ散らかるあたり、実にアグロー案内らしいと申せましょう。

予定ではVOL.4に収録された、風変わりな新作掌編についてすこし触れるつもりだったんだけど、それはまた次回にお話しいたします。

いずれにしても数時間後には端から端まで全面的に解禁です。どうか楽しんでもらえますように。

2023年2月17日金曜日

いったい何がそんなに革命的だったのか?


音楽に合わせてリーディングをするとき、僕はかなり几帳面に言葉を配置していくタイプです。曲の長さよりもむしろBPMに言葉数を規定されているところがあります。五七調では全然ないし厳密でもないけれど、このテンポなら文字数はこれくらい、とざっくり決まっている点では短歌や俳句にも近いかもしれません。水を流すように読むのではなく、石を置くように読む感じ、と言ったらいいだろうか。小節単位という意味ではラップと同じですね。

きっちりと配置していく以上、自由度は実のところそんなに高くありません。その是非とかありようはさておき、それはひとつの確固たるスタイルとして定着していました。新しい「ジョシュア」と向き合うまでは。

新しく提示されたトラックは、テンポがオリジナルと全然ちがっていました。同じ発語で寄り添うにはテンポが速すぎるし、発語をトラックに合わせるには遅すぎて間伸びするのです。帯に短し襷に長しと言うほかない。

これを自然に、かつきっちりとリズムに添わせるためには、テキストにおける明確な区切りでもあった小節をスルーしなくてはなりません。要はオリジナルのリーディングを分解して、ゼロに戻す、ということです。これは自分でトラックをこしらえ、できたらそれに合わせて詩を書いてきた僕にとって、完全に想定外の状況になります。ビートに合わせて書いてたんだから、テンポが変われば小節単位が無意味になるのは当然です。

意識しないとオリジナルと同じように読んでしまうので、てにをはとか、ワンフレーズで区切りながら、どこにどう乗せるかを決めていきます。今まで経験したことのない、気の遠くなるような作業です。全部やり終えたら、今度はそれを参考にその配置のまま、自然にひと息で読むことを何度も繰り返していきます。

ぜんっぜんそんなふうには聴こえないとおもうけど、そうして出来上がったのが新しいジョシュアです。

そしてこれができたということはつまり、ビートに合わせて書くことなく、何ならビートを聴く前に書いておいたテキストであっても、あとからぴったり添わせることができることを意味します。率直に言ってこれは、今までやってきたことが根底から覆ってしまうほどの衝撃です。ぐあああああ何だよもっと早く教えてくれよ、20年費やしちゃったよ!!!!!!!10年前に気づいてたらあとアルバム4、5枚分は書けてたよ!!!!!と床をゴロゴロのたうち回るほどの衝撃です。

待って待って、本当にそうなのか…?どれだけ好きに書き散らかしても、あとから上手いこと乗せられるなんて、そんなことあるのか…?

という疑問を今さら失うものなど何もない安田タイル工業の新しいタイル製品で2つほど検証してみましたが、今のところ本当に、非の打ちどころなくできています。もはや疑う余地はありません。もうビートに合わせて書く必要は ま っ た く な い 。

20年もの長い年月を経て、いま僕のリーディングはフェーズ2へと移行しています。そのきっかけとなった濫觴こそがアグロー案内 VOL.4に収録された、「ジョシュア2023/fishing ghost revamped」です。

や、聴いてもピンと来ないだろうなとは思うんですけど。

2023年2月10日金曜日

配信日の訂正とトラックリストの公開

僕は昔から誤字とか脱字、文章のてにをはにわりと神経を使うタイプです。1文字2文字をミスったところで全体としては何の影響もないとわかってはいるのだけれど、直せるなら気づいた時点で直す習性があります。

ところがそんな習性がここ数年、だいぶゆるやかになってきているのです。たとえばこないだ新しいトートバッグのデザインをTRINCHに、あっ

そうだ今トートバッグが全品500〜700円OFFです。そうだったそうだった、よかったら見てみてね。


そこで「博愛の超強力接着剤モチダイン」をうっかり「博愛の超協力接着剤モチダイン」としてしまったことにしばらくしてから気づいたのだけれど、あわてて直すどころか「博愛なんだからむしろ協力でいいじゃないか」とそのまま放置している始末です。大らかになったものだとおもう。

なぜ藪から棒にこんな話をしているのかというと先週、満を持して発表したアグロー案内 VOL.4の配信日に誤りがあったからであり、さらに言うとそれを、来週訂正すればいいかと放置して今日になったからです。誰にも気づかれないくらい多くの人にご覧いただいているのに、不甲斐ないことでまことに申し訳ありません。改めてお知らせすると、

アグロー案内 VOL.4の配信開始は2月25日(土)の0時です。


そして肝心のトラックリストはこちらになります。


アグロー案内における主人公が山本和男であるのは今さら申し上げるまでもないとして、次に注目してほしいのはやはり「ジョシュア」の2023年版…と言ってももともとがライブ用にこしらえた一編だったので、実際にはこれが初の正式なリリースとなります。感無量というほかありません。

そしてこれは僕にとってこれまでの20年とはフェーズが完全に変わった、掛け値なしにエポックメイキングな一編です。

ふつうにリーディングをしているように聴こえるとおもうけど、ふつうにリーディングをしているように聴こえることがまずすごい。何しろトラックがオリジナルとまったく異なるアプローチだったので、これまでのやり方ではリーディングをどうやっても合わせられなかったのです。まさかワンフレーズずつ位置を探りながら録音することから始めるとは思わなかった。

しかし結果として、まるで初めからこうだったかのように自然でとても美しい、完璧な一編に仕上がっています。

どう聴いてもそんな特別なことをしたようにはとても聴こえないこの一編がなぜ僕にとって革命とも言えるほどに画期的だったのか、これができると一体何が変わるのか、それはまた次回に改めてお話ししましょう。

たぶん数人しか興味ないとおもうけど、数人いてくれれば十分です。

2023年2月3日金曜日

そして来る「アグロー案内 VOL.4」のこと

もう確定していつでも発信してよい情報をいつ解禁したらよいのだろうと考えてしまうのです。あんまり早いと本人も忘れてしまうし、更新できる情報もべつにないので、後がもちません。当たり前すぎて誰も気づいてないから僕が言いますけど、告知にはその期待感を維持するだけの継続的な活動が必要とされるのです。

いつでも解禁していいよと言われてからあんまり無沙汰でも冥利がわるい。しかし今この時点で発信したらそのあと1ヶ月をどうもたせたらよいのかわからない。そんなやるせない逡巡を振り払ってのお知らせです。アグロー案内 VOL.4のリリースが正式に決定いたしました。


配信日は2月25日(金)の午前0時です。

またこのVOL.4は、VOL.3の時点でなんとなく予想されたものとはちょっと様相が異なります。と言ってもそんな大層なことでは全然ないんだけれど、それでもこの組み合わせになるのは僕も予想していなかった。

すでに予告というか呟いたこともあるので念のためここでお伝えしておくと、「棘」の新しいバージョンは含まれません。言うまでもなくこれは、シリーズがさらに先へと続くことの布石と保証でもあります。

なぜそうなったかというと、手探りでおそるおそる進めていた一編がこれ以上ないほど美しい着地を見たからです。また、きわめてイルな新作が含まれます。まさかこうくるとは思わなかった、中毒性の高い一編です。そしてもちろんメインディッシュとして、山本和男シリーズの新作もあります。

「アグロー案内」の片翼を担うタケウチカズタケはこのVOL.4を「挑戦的」と表現していましたが、僕も同感です。その理由についてはまた改めて、トラックリストと共にお伝えしましょう。

リーディングと音楽で何がどこまでできるのか、ますますおもしろくなる予感に満ちたアグロー案内 VOL.4、刮目してお待ちあそばせ!