ちょっとずつ猛進さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q. 5-6年ぶりにできた彼女とけんかしたときのナイスな仲直りのしかたを教えていただきたいです。
3年前にいただいた質問なので、今もその仲は続いているのか、とうにお別れしているのか、なんならその方と結婚して今や父となっていたり、仮に父となっていてもお相手が別だったり、そもそも父ではなくおふたりとも母だったりしていろいろ面目ない可能性も大いにあるとおもいますが、その後いかがお過ごしでしょうか。僕はと言えばおかげさまで3年前とほぼ同じです。
さて、世の中にはナイスな仲直りについてのアドバイスが星の数ほど散らばっているように見受けられますが、そうですね、かれこれ20年ちかくをうちの人と共にすごした僕個人の印象から申し上げるなら、そんなものはありません。どちらか一方が折れて譲るのでないかぎり、仲直りというのは常に、木枯し吹く河川敷で対峙したふたりがさんざんボカスカ殴り合ってもうこれ以上は腕が上がらないほどへとへとになり、傷だらけでぶっ倒れて喘ぎながら「…やるじゃねーか」「…おまえもな」と互いに顔を見合わせてニヤリとするみたいなことでしかないのです。
お付き合い初期はまだ気持ちに余裕があるので、持ち上がった問題を脇に寄せつつ有形無形の贈り物かなんかでなんとなくうやむやにすることもできます。しかし実際のところそれはコップに水を1滴ずつ溜めていくようなものです。最後の最後は本当に1滴未満で溢れてそれ以上はどうやっても入らなくなります。何ならあくびをするときの顔が耐えられないとかそういう豆粒レベルの話で関係が終わるでしょう。
続くときはたとえ血みどろの殺し合いになってもなぜか続くし、続かないときはどんなに愛情を注いでもなぜか続きません。恋愛とはそれが始まった太古の昔からそういうものだし、またこの先も永遠にそうでしょう。それならあれこれ考えたところで同じことです。堂々と胸を張って指をポキポキ鳴らしながら河川敷に赴いてください。手を抜いてはいけません。いつでも全力で突っ込んでいき、一発お見舞いしたり返り討ちにされたりして、また明日を迎えるのです。互いに満身創痍で手をつないでこそ辿り着く、ふたりだけの境地があると僕はおもいます。
A. 全身全霊で立ち向かうその先に真の仲直りが待っています。
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その354につづく!
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