2021年3月5日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その315



ころぶハウスさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)スネに傷のある者だけが集まることで話題をかっさらうもすでに下火になりつつあるらしい招待制のSNSですね。


Q. これまで実際に見知った中で、最も珍しい苗字は何ですか?


いただく質問、というかこれまでブログ維持のために半ば力業で徴収してきた質問には僕自身が他の人にも訊いてみたいものがあって、これなんかもそのひとつですね。小鳥遊(たかなし)さんとか、ホントどこにお住まいなんだろうとおもう。

と書いて思い出したけど、あれ?

通りすがりにどっかの表札で見たことある気がしてきたな……「あーっ!いたー!」って声を上げた記憶がかすかにあるような……。でもすごい古い記憶だな……。いつだったろう……。どこかの踏切のそばで見かけた気がするんだけど……。

ただこれ、というのはえーと、珍しい姓のことですが、言うまでもなく日ごろから交流が多くて顔の広い人ほどそれに比例して増える話なので、弔問客のいない葬式を今から恐れる僕のようなタイプには向かない質問でもあります。

また難しいのは、珍しければ珍しいほど特定されやすくなってしまうので、あんまり気軽に言うのも憚られる点ですね。

僕もひとり、それはもう圧倒的に珍しい姓をお持ちの方を存じ上げているのだけれど、現時点でまだほそぼそとつながりがあって、どこにどう影響があるか想像もつかないのでうっかり「ホニャペタラ崎さんです」とか言うこともできません。

かろうじて言えそうなのはその由緒が古墳時代(!)まで遡るらしいこと(そのころからあったわけではありません、もちろん)、そして全国に200人前後しかいない(!)らしいこと、明治政府によって漢字の変更を余儀なくされたらしいこと、くらいです。

それまで見たことも聞いたこともなかったので最初は大陸系の姓なのかな、とおもったほどですが、といってそのときはまだ実際にお目にかかったことがなかったので訊ねることもできず、お会いしてようやく合点がいった次第です。誇りであると同時に重荷でもある、とそういえば仰っていましたね。

それから、今となってはあまり思い出したくもない昔のことですが、「伝(でん)」さんという人がいました。漢字が旧字だったような気もするけれど、何しろ古い話なので記憶が曖昧です。その姓自体が珍しいとおもうので、フルネームとなるとたぶん世界に一人しかいないんじゃないかとおもう。あちこちでちょいちょい見かけて誤認もざらな小林大吾とはえらい違いです。

あと、そうですね、個人的にすごく好きな姓に「小麦田」があります。名札で認識しただけなので「こむぎ」なのか「こむぎ」なのかすら判然としないのだけれど、たまたまその男性が、なんというかもう、本当に小麦田さんというかんじのドンピシャぶりでとにかく一方的に好感を抱いていたのです。色白で、ぽちゃっとしていて、ほどほどに中年で、裏表のなさそうな、目がちっちゃい、朴訥な印象の、何しろ小麦田しかないと言うほかないレベルでピタッとはまっていて、そうですね、常から小麦粉に対して並々ならぬ敬愛を注いでいる僕からすると小麦粉の妖精と言っても過言ではないくらい、非の打ち所なくパーフェクトに小麦田さんだったことを、今でもよく覚えています。

とここでふと思い立ってググってみたところ、予想もしていなかったあまりの衝撃にくわえてもいない煙草をポロリと口から落とすわたくし。

ぜ……

全国に20人だと……?

レッドデータブックに記載されてもおかしくない絶滅危惧姓じゃないか……!いまだかつてこれほど千載一遇の機を逸した経験があったろうか……?

ぐああああああこんなことなら勇気を出してお声がけして知り合いになっておけばよかった……!!!まじか!小麦田さん……!!!!


A. 「小麦田」です。


ちなみに通りすがりの表札で見かけて、行き過ぎてから「え?」と二度見した姓がひとつあります。つい写真を撮ってしまったけどそれをここに載せるわけにもいかないので、字だけ置いておきましょう。読み方は今も不明です。




質問はいつでも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
 

3 件のコメント:

  1. 昔ケーキ屋さんで働いていたので、バースデーケーキのご予約などで様々な苗字の方に出会いました。
    その中で際立って珍しくて覚えてるのが、
    「密城(みつしろ)さん」
    「巫(かんなぎ)さん」
    密城さんに関しては、字面がもうドラマチック過ぎてもしかしたらペンネーム的なやつなのかも…とすら思いました。
    二つとも由来とか由緒を否応なしに色々想像してしまう苗字ですよね。
    実はもう一つ、その珍しさに ええええ?!っと驚いた方がいたのですが、あまりの難読とみたこともない漢字だったので残念ながら忘れてしまいました。惜しい。

    ちなみに調べてみたところ土に点の漢字は「土」の異体字で、意味も読みも同じらしいです。
    土方歳三の「土」も、本当は点が付いてるんだそうです。
    苗字の話って面白いですね。

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  2. 自分は「廻り道」さんですね。
    名刺作りを依頼されて、思わず聞き直してしまいました。

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  3. > 某さん

    なるほど、予約は確かに多くの苗字と出会いますね。
    「巫」さんもめちゃめちゃカッコいいなあ!
    うらやましいぞ!


    > SHOさん

    いやいやさすがにひらがな混じりはないだろう
    と思ってググったらホントにある……!
    すごい!「廻り道」に生まれたかった!

    KBDG

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