2018年12月8日土曜日

真っ暗な電車と新しい棘、ぶりしゃぶ、丹下健三、切り込み接ぎとミカンの神様、その他もろもろについて考えるネロ少年の事後報告


そんなわけで先週末は、とこうしてのんびり振り返ることができるのも多くのミュージシャンとちがって普段はほとんどそういうことをしようともしないただのおっさんだからこそですが、御大タケウチカズタケの相伴で松山と宇和島、そして大阪を回ってまいりました。


出発当日、カズタケさんと合流するまさにその途中で電車が止まり、フッと照明が切れ、しばらく異様な静けさに包まれたときは多難な前途を暗示するようで言い知れぬ不安におののいたものです。何がこわいって、そうそうあることじゃないのに乗客の様子が微塵も変わらないことがこわい。



僕はこれまでずっと、そしてよほどのアクシデントでもないかぎりこれからもずっと、ライブを積極的に避けていくであろう性分なわけですけれども、それでもタケウチカズタケという百戦錬磨の凄腕プレイヤーといっしょにステージに立てることのありがたさとその類稀な幸運は身にしみてよくわかっています。耳を傾けてもらえるリーディングのありかたについて今も考えていられるのは、ひとえに彼がすぐそばで変わらずに支持してくれているおかげです。



とりわけこの3日間はほぼすべての時間と行動を共にしていたこともあって、僕がいま発揮できる力を余すところなく引き出してもらえたんじゃないかとおもいます。そんなひとときを一緒にすごしてくださった皆々さま、本当にありがとう!見てもらえてよかったと心からおもえる3日間でした。



松山では数年ぶりにDJ TOKNOWと再会してカレー食って丹下健三のちょっとした話なんかも聞けた(!)し、宇和島ではぶりしゃぶというディープインパクトな美味もご馳走になったし、大阪では気づいたらもう3度目になるグッシン(THE GOOD THING)のみなさまにそれはそれは温かく迎えてもらえたしでまったく、何度でも言いますが思い残すことは塵ひとつありません。



セットリスト的には数年ぶりに書いた新しい一遍なんかもありましたが、それよりもやはり、ビート抜きでカズタケさんのピアノと合わせた「棘/tweezers」に感慨深いものがありました。手漕ぎボート(Mother Tereco ver.)や処方箋(THE 3 ver.)につづく、今度はかれこれ15年越しのアップデートです。

こんなことができる日がくるなんて想像もしてなかったし、イメージ通りにきちんと披露できたことも胸に迫るものがあります。聞いてくれてありがとう。

コパルさんかっこいい写真をありがとう!

さすがに今年はちょっと意図せず人前に出すぎた感があるので、今はただただ、ルーベンスの絵の前でパトラッシュを抱き寄せるネロ少年のように穏やかな心持ちでおります。


2 件のコメント:

  1. 写真を使っていただいてありがとうございます!おもむろに眼鏡をはずしてリーディングをはじめる姿に『普段は大人し目な女子が度のキツイ眼鏡をはずすと、じつはお目々パッチリの美人さん!』ってベタな昔の漫画設定さながらのトキメキをおぼえつつ、そのご尊顔を間近でカメラに収めることができたのでよい年が越せそうです。心残りは書き下ろしの一遍のタイトルを聞き忘れていたので教えていただけませんか?次の未知なる接近遭遇までアルコール片手に動画を反芻して生きのびます。

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  2. > コパルさん

    こちらこそ2日間、本当にありがとう!眼鏡をはずすのは視界がクリアだとあちこちに気を取られて言葉が出てこなくなってしまうという身もふたもない理由からですが、ときめいてもらえて何よりです。新しい一遍はそういえばタイトルまだつけてませんでした。今のところ「wastepicker」という仮タイトルだけついています。またお目にかかれますように!

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