年末年始を溺愛する僕にとって、大晦日と元旦はそれ自体が神様であり、また一年待ちこがれた刹那の恋人でもあります。できれば新年を迎えるその晩は、右腕に大晦日、左腕に元旦を抱きながらピロートークなかんじで一晩中イチャついていたいのです。ときどき目が合って互いに微笑みながら「こいつぅ」とか言っておでこをコツンとやりたいし、くすぐったりくすぐられたりしてキャッキャとたわむれたい。念を押しておきますが、大晦日と元旦を恋人に見立てての話です。
ところがここ数年、たしか2010年あたりが境だったとおもいますが、まったくその余裕がありません。元旦どころか三が日、なんなら松の内までの正月というか蜜月が、射抜かれた矢のごとく飛び去っていきます。昔はひとりでコタツに潜りながらテレビにかぶりつき、ゆく年くる年まで静止画のように身じろぎひとつせず新年を迎えて、腹が鳴ったらモチのひとつでも焼き、気が向けば静まり返った往来でシャボン玉を吹いたりしていたのに、いったいどこで何がどうしてしまったというのだろう?今ではひと息つくのはちょうど今ごろ、それこそ松の内が明けるころです。
失われた青春は、そもそも青春なんかありゃしなかったので、もうないと言われても痛くも痒くもないけれど、失われた年末年始には今も未練を断ち切れずにいます。率直に言って、あれ、ひょっとしてこれもう人生の折り返し地点過ぎてんじゃねえの、と気づいてハッとするようなお年頃の大人がのたまうことではありません。でも言いたい。何もかもが無に等しかったあのころの大晦日と元旦が恋しい。
大晦日に早稲田で見かけたオナガ
というような話をそういえば毎年しているような気もしますが、あけましておめでとうございます。世間一般的にはここらで今年の抱負とか、控えている今後の予定とかで景気よく年頭のエントリを飾ったりするんでしょうが、ここにそんなものはありません。しいて言えば向こう一年、カレンダーが「未定」の2文字でみっちり埋められて、どこにもオフの日が見当たらないくらいです。
そういえばどうにかこうにか乗り越えた恒例の年賀状キャンペーンはありがたいことに前の年の倍近い、そして過去10年で最も多い(!)応募がありました。1年前のブログを読み返すと「トラックで次から次へとどしどし運ばれてきて、これ以上はもう部屋に入らないよ!と悲鳴を上げるくらい多数(当社比)のご応募」とあったので、その倍となるとこれはもう相当な数になります。ここだけの話、キャンペーンも10年目なので当選枚数をこっそり倍くらいに増やしていたのだけれど、結果として倍率がいつもと同じなのだからご応募くださったみなさまには面目次第もありません。どうかこれにこりず、またお付き合いくださいますように……!
というかろくに活動もしていないのになぜここにきて最多数なのか、出ないはずのアルバムが出た年より多いじゃねえか、と頭に湧き出る大量のクエスチョンマークを足で脇によけつつ、本年もまたやってんだかやってないんだかなかんじでゆるっとお付き合いいただければ幸いです。
ここまで書き散らかして思い出しましたが、1月15日(日)に銀座煉瓦画廊にて、言葉を生業とする人とそうでない人がそれぞれ言葉を持ち寄ってシンプルに詠み上げる「BOOKWORM」というリーディングイベントがあります。主宰である山崎円城さんとはたしか10年以上前にフリーペーパーで対談させてもらったのが最初……だった……ような気がする……んだけれど、その後も折々にご挨拶しつつ、イベントでご一緒するのはこれが初めてです。僕もひとつふたつ、アカペラで詠みます。入場はフリーだそうなので、どいつもこいつも至近距離にいる大事な人の首根っこ引っつかんで銀座に押し寄せるといいよ!
言葉の日BOOKWORM 🌿— toto (@totonote) 2016年12月27日
出演者2(50音順)tao(imaginion)タカツキ(Suika)トト(Peacenic)toto(Suika) 曲がる、ミズノミカ(みかとやす) 山崎円城(F.I.B JOURNAL)https://t.co/udAnEeCWCN
その後の予定は未定が隙間なく目いっぱいつめこまれて大忙しです。
あけましておめでとうございます。
返信削除今年もたくさんのご活躍を影ながら応援させていただきます。
今年の年末年始は過去最長(泣)の4連休だったのでが、あっという間に終わってしまいました。
もう来年のお正月が待ち遠しいですね。
> 匿名さん
返信削除あけましておめでとうございます。
過去最長の4連休!
それは他の誰より貴重で愛おしい休日でしたね……
身を切られるような別れのつらさ、お察しします。
どうかその甲斐ある日々に満ちた1年になりますように!