ジョーズが坊主の頭部にジョブズの絵を描いたさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)
Q: うつくしさって、なんだとおもいますか?
これはたぶん、うつくしいと感じるものが増えれば増えるほど、むくむくと頭をもたげてくる疑問ですよね。風景とか宝石とか人なんかはわりと共有しやすいのに、個人差が大きくてなかなか共有しづらいものがあるのはなぜなのか、僕もノートにひとつずつ列挙しながらフームと腕組みをして考えこんだことがあります。
ためしに僕が今パッと思いつく「うつくしいもの」を順不同でずらずらと挙げてみましょう。
・ソポクレス「オイディプス王」
・桂離宮
・ブレゲのNo.160
・水洗トイレのタンク構造
・谷崎潤一郎「春琴抄」
・コンソメ
・ハンス・シャロウン「ベルリン・フィルハーモニー」
・ブラッサイ「夜のパリ」
・牛乳パックの注ぎ口
・小村雪岱「落葉」
・映画「As You Like It」の邦題「お気に召すまま」
・ニキ・ド・サンファル「ナナ」
・E=MC2
・ニーナ・シモン「I Loves You Porgy」
それからもうひとつ、大好きなマッチ棒パズルがあります。
「マッチ棒を2本動かして四角を4つにする」というものです。これは昔、出題してくれた職場の先輩と昼飯を賭けてみごと勝ち取った思い出深いパズルなのだけれど、とにかく答えが鮮やかで、解きながらそのうつくしさにため息をついた記憶があります。わかりますか?
雑多で節操がないように見えるかもしれませんが、僕にとってこれらはすべて等しく「うつくしいもの」です。かつてノートにまとめたリストはこれとはまったく違っていたはずですが、ここから導き出せそうな結論があるとすれば、それは当時も今も「それ以上足すことも引くこともできないくらい、みごとであること」になるとおもいます。(リストに挙げたコンソメ consommé は実際、フランス語で「完成された」という意味です)
足すことも引くこともできないということは言い換えれば、比べることができない、ひいては優劣も序列もない、ということです。だからたとえば「どれがいちばんうつくしいか」といった問いは、ある種のパラドックスでもあるわけですね。
あとは、そうそう、美という字は「大きな羊」からきているらしいのだけれど、僕はこの様々なノイズを包含するシンプルかつ大らかな捉え方がとても好きなので、「大きな羊であること」も基準のひとつとして忘れずに加えておきたいとおもいます。
A: それ以上足すことも引くこともできないくらいみごとであること、もしくは大きな羊であること
*
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その249につづく!
マッチ棒の答えが知りたいです。
返信削除何パターンか考えたのですが、どうもスッキリしません。
あと、コメントを投稿する時のクイズ(スパム対策のやつ)が意外と難しかったりします。
> 匿名さん
返信削除お答えしました!
すっきりしてもらえますように。