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2016年4月21日木曜日
同じ宅配便の不在票を1日に4枚受け取ったこと
在宅だったはずなのに、気がつくと宅配便の不在票が玄関にひらりと落ちているのです。トイレに籠っていたのか、鼻ちょうちんでうとうとしていたのか、それとも渡辺美里の「センチメンタル・カンガルー」と「恋したっていいじゃない」を2曲つづけてヘッドフォンで聴きながら熱唱していたからか、そのへんは定かではないけれど、とにかく宅配便の人が来て不在であると結論づけられたのはたしかなようです。
しかたがないから電話で再配達をお願いすると、わりとすぐに来てくれそうな感触です。そろそろ家を出なければいけない時間なのでためらいつつも、せっかく来てくれるというのだから煮卵でもこしらえて待つことにします。仮に間に合わなかったとしても煮卵ができるのだからそうムダにはなりません。
そんなこんなで卵を茹でながらぼーっとしていると、玄関のほうで何やら物音がするようです。おや、とおもって見に行くとまたもや不在票がひらりと落ちていて、目を疑います。ちょっと卵に気をとられただけで呼び鈴を聞き逃すのだから、まったく油断もすきもない。しかしこれなら間に合うとあわててサンダルをつっかけて階段を転がるように降り、どうにかこうにか宅配便のお兄さんをつかまえて荷物を受け取ることができただけよしとしましょう。まだ卵を茹でている最中だったから結果として煮卵の分だけ家を出るのが遅くなってしまったわけだけれど、おかげで明日の朝食が一品増えるのだからそれもまあよろしい。問題はそのあとです。
夜、帰宅すると玄関に見慣れた1枚の紙がひらりと落ちていて、目が飛び出ます。ひょっとして会社がちがうのかなとおもったらそれも同じで二の句が告げません。この日はすでに2枚ここで不在票を拾っているはずなのに、なぜまたここにそっくり同じものが落ちているのか?
よくよく見ると、どうやら再配達をお願いした荷物がこれで、先に受け取ったのはたまたま別の荷物がタイミングよくやってきただけだったらしい。というか、同じ会社の宅配便が1時間程度の誤差で別々に届くなんてことがそもそもあるのか?(片方がクール便とかそういうものでもない)
どうも釈然としないようだけれど、ぶつくさ言ってもしかたがありません。今度は20時〜21時の夜間指定で再配達をお願いします。
なんとなくお察しいただけるとおもいますが、今年に入ってからの僕の間の悪さはちょっと尋常ではありません。数十分、もしくは数分、ひどいときには十秒くらいの差で行き違ってばかりいます。ほんのちょっとずれていたらそれだけで何の問題もなく出会えていたはずのものを、見事なまでの間の悪さで毎回ことごとく取り逃すのです。外すならここしかないというタイミングを一寸の狂いもなくピンポイントで押さえてきます。
電車のドアは行きも帰りも目の前で閉まるし、ふと思い出してスーパーに駆け込もうとすれば目の前で電気が消えるし、ほしかったレコードは目の前で持っていかれるし(今年はそれが2回あった)、急用で家を空ければ「近くまで寄ったんだけど会える?」とめずらしく知人から連絡が入るし、トイレに入れば呼び鈴が鳴るし、風呂に入れば電話が鳴るし、ちょっと一服しにベランダに出ればもう不在票が入っているのです。そういえば信号もいつも赤な気がする。
なのでもう、20時から21時の間は何もしないと固く心に決めて、ひたすら正座でじっと待ちわびてみたのだけれど、さすがにまあ、そこまでしなくたっていいようなものだし、一服でもしようとベランダに出てふと足が止まります。まさかこの数分の間に来たりしないだろうな?もう数分、待ってみるべきだろうか?
いやいや、そうやってためらうときにかぎって、その数分のためらいのせいで取り逃したりするんだ、気にしすぎだよ、しかし今年は本当に間がわるいからなあ……まさかな……いやいやそんなことをうだうだ考えている間に一服してしまえばいいじゃないか、とネガティブな考えを払いのけつつ、ベランダに出て後ろ手に窓を閉め、煙草に火をつけ、フーと吐き出そうとしたところで、かすかにピンポンと聞こえたような気がするのです。嘘偽りなく、本当に、つい今しがた打ち消したばかりのこのタイミングで。気のせいだろうか?
実際ここまでくるともう、どんな物音もぜんぶ宅配便という気がしてなりません。しかしいまのじぶんの間のわるさレベルを考えるとたぶん気のせいではない、とあわてて点けたばかりの火を消して玄関にすっ飛んでいくと、案の定そこにはこの日だけでもう3枚くらい見たはずの紙がひらりと落ちかかっています。
ドタタタ
ガチャッ
バタン
ズデン
ゴロゴロゴロ
待っ
ちがうの、ざっ
在 宅 な ん で す……!
そんなわけで今年はもうすでに取り返しのつかない重大な行き違いが気づいていないだけでいくつかあったんじゃないのか、もうすこし具体的に言うと食パンをくわえた美少女と曲がり角でぶつかってフォーリンラブの機会をいったい何回スルーしてきたのか、考えただけでも血ヘドを吐きそうになるのです。
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