そういえばここ数年、クリスマス慰安旅行での狼藉ぶりしか記していなかったのでひょっとするとご存知ない、もしくはすっかりお忘れかもしれませんが、安田タイル工業の専務は元来、あの古川耕がそのスキルに舌を巻くラップ巧者であり(本当です)、ダニー・ハサウェイとディアンジェロを偏愛するトラックメイカーであり、のみならずウッドベースを爪弾きながらラップするおそらく日本で唯一の男です。
箇条書きでまとめるとこうなります。
(1)ラッパーである。
(2)トラックメイカーである。
(3)ウッドベース弾きである。
(4)専務である。
(1)か(2)のどちらかならともかく、その両方を兼ね備えたプレイヤーとなるとそう多くはありません。これだけでもちょっとしたことなのに、あまつさえそこに一抱えもあるウッドベースを持ち出してくるのだから、そんなラッパーはどこにもいないと断言してよいでしょう。本人名義によるアルバムもこれまでに4枚がリリースされています。グループの一員としてのアルバムなら10枚以上(!)になるはずです。
また一方、僕のアルバムではずっとサウンド面での整理整頓を一手に引き受けてくれています。KBDGとその作品群にとっては数少ない、欠くべからざる人物のひとりです。
先に公開した「水茎と徒花/black and white」ももちろん彼のミックスを経ているのだけれど、その候補のなかにひとつ、アタックが強くてよりヒップホップ濃度の高いバージョンがありました。リーディングを乗せるにはちょっと脂っこいので取り下げてもらいつつ、ふと思うところあって探りを入れてみたのです。
「このミックスはラップのほうがよくないですか」
「せやな」
「ラップがほしい」
「ん?」
「むしろぜんぶラップでいい」
「むむ」
「ラップバージョンが聴きたい」
「ほうか、ほんなら書くわ」
こうして生まれたのが同じビート、同じテーマでまったく異なるアプローチをとったこの「徒花と水茎/white and black」です。他所では決して味わうことのできない、リーディングとラップの似て非なるアウトプットを心ゆくまでお楽しみあそばせ!
ていうか出だしからいきなりかっこよすぎだよ!アホか!
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