挑発的な軍手
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こんにゃく指輪さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)
Q: いつでも飄々としたイメージのある大吾さんですが、これまでひどい目にあって取り乱したことはありますか?ちなみにわたしが「あぁ、なんてひどい目に」と感じたのは、取り乱しはしませんでしたが、信号無視の車が突っ込んできたときです。元気に生きているので大丈夫です。
うわあー!と一瞬取り乱しましたが、元気に生きているそうなのであまり騒がないでおきましょう。ご無事で何よりです。というかご無事で済むわけがないけれど、人生における不毛の象徴とも言うべきパンドラ的質問箱にこうしておたよりいただけるくらいには回復されて何よりです。「賢いハンス号」(※ピス田助手の手記 21を参照のこと)みたいに気配りに長けた車が量産されたら誰もこんな目に遭わなくて済むのにとおもいます。それにしても災難でしたね……。
事故といえば僕もバイクに乗っていて何度かトラックにはねられたことがあります。いちばんひどかったのは、全身が宙を舞って5メートルくらい吹っ飛んだときです。バイク(XJR400)は一目で廃車とわかるほどぐしゃぐしゃになりましたが、代わりに身体のほうは無意識にミラクルな受け身をとったらしく「あいたたた」くらいのダメージで済みました。起き上がって周りを見渡すと数十メートル先にたまたまホンダか何かの代理店があったので、てくてく歩いていって事情を説明し(「すみません、今そこでバイクが大破しちゃったんですけど」)、そのまま廃車の手続きをお願いした記憶があります。
ただ、取り乱した記憶はありません。どちらかというと呆然として「あらー……」というかんじです。身体はおもいのほかぴんぴんしていたし、実際「あらー……」くらいしか言うことなかったとおもう。
取り乱したことがあるとすれば、いつだったか海中でカツオノエボシに巻きつかれたときですね。ググってもらうとわかりますが、海で絶対に遭遇したくない猛毒生物のひとつです。何しろ僕は当時この恐ろしい生き物のことを知らなかったし、何が何だかわからない状態で海中でいきなり上半身を激痛が襲う恐怖といったらまったく筆舌に尽くしがたいものがあります。青いビニール紐みたいのが身体に巻きついてるのはわかるんだけど、パッと見それが生き物だとは判別しづらいせいで余計に混乱するのです。原因不明の激痛というだけで震え上がるのに、陸から離れた海中で自由もきかないのだから、そのままぶくぶく沈んでもおかしくありません。「死ぬ場合もある」と後日知って、「あらー……よかった、死ななくて」としみじみおもいました。死ななくてよかったです。
A: カツオノエボシに巻きつかれたことがあります。
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質問はいまも24時間無責任に受け付けています。
dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)
その235につづく!
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