2015年8月6日木曜日

未開封のまま13年が経過した炭酸飲料のミステリー


僕は炭酸飲料があまり得意でないのでほとんど飲まないのだけれど、それでも年に1回くらいは無性にコーラとかそういうシュワシュワしたのをなんだか飲みたくなる日があります。

それでまあ、なんとなくそんな気になって1缶買って帰り、グラスに移してごくごくシュワーぷへーとはじける刺激で顔をしわくちゃにしながらふと、そういえばウチには未開封のまま10年以上放置している炭酸飲料の缶があったことを思い出したのです。


炭酸で十数年もたっていたら缶がパンパンに膨張しててもおかしくない気がするけれど、手に取ってみればそんな様子はどこにもありません。往時と変わらず、しんと静まり返っています。その代わり振るとチャプチャプ音がして、異様に軽い。ああ、気が抜けたんだな、気が抜けると体積も減るのか、なるほどなあ、とひとり合点して缶を元あった棚に戻します。理屈がどうあれ本人的には落着してるんだからそれでよいのです。おかげでそんなわけねえだろうと気づいて再び引っぱり出すまでしばらく時間がかかりました。

なぜ未開封の缶から炭酸が抜けるんだ。百歩ゆずって抜けたとしてもちゃぽちゃぽ大きな音がするほど中身が減るわけないじゃないか。

そうおもってキッチンスケールを取り出し、一般にそう呼ばれるところのドリスマ缶を乗せてみます。


180グラムしかない。

350ml缶なんだから、ふつうに考えたらほぼ半分の重さです。いくらなんでも半分というのは軽くなりすぎなのではないか。しかし待てよ、考えてみればコーラの重さをいちいち計ったことはないし、ひょっとしてすべての炭酸飲料が何らかの神秘的な理由によって水より軽いということも考えられなくはないのではないか。そんなわけねえだろうと一蹴するのは簡単ですが、論より証拠です。もう一度コーラを買ってきてスケールに乗せてみましょう。


390グラム。うむ、やはりそんなわけねえのであった。

というかそもそも密閉されているはずの缶からなぜ炭酸が抜けるんだ。抜けるということは密閉されていなかったということなのではないのか。百歩ゆずって抜けたとして、いや百歩はさっきゆずったな、じゃ二百歩だ、二百歩ゆずって抜けたとして、何が抜けるんだっけ?炭酸だ!炭酸がいったいどこから抜けるんだ?

よく考えろ、炭酸が抜けるということはつまり、水が蒸発できるということでもあるんじゃないのか?中身が半分になっている理由もそれで説明できる……しかしだとするとそれはつまり、あと10年くらいこのまま放置していたら中身が空になるということだ。おかしいじゃないか。密閉されている缶ジュースがなぜ空っぽになるんだ。誰も飲んでいないし穴も空いてないのに開ける前から空っぽで缶しかないなんて、そんなバカな話があるだろうか?というかだいたいいつまでこの黄色くてオロナミンCみたいな味がするはずのけったいな飲料を未開封のまま保管しつづけるつもりなんだ。

………

とまあ、こんな具合に脳内で、それぞれ異なる言い分を持つ似たようなバカが喧々諤々やりながら、真夏の夜は更けていくのです。専用の自販機が設置してあった新宿のヴァージンメガストア(今はフォーエバー21になっているところです)がなつかしく思い出されます。


【結論】たまにのむコーラはとてもおいしい。


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