2013年6月4日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その154



カメラを持って出かけると、100枚のうち5枚くらいの割合で建物の解体現場が含まれていることについ最近気がつきました。3日分の写真を整理していたら、それぞれきっちり1カ所ずつで計3カ所のそんな風景が収められていたのです。

何かが壊される過程というのは実際それだけでひとつの美を形成し得るとおもうし、ごくごく小規模な例で言えば僕も単なるオブジェと化したテレビとかラジカセとかパソコンがあると、人目を避けながらこそこそと真夜中の公園とか河川敷に運び出したのち、完膚なきまでに叩き壊してきたものです。箒とちりとりでゴミ袋にざらざら流しこめるくらい跡形もなく砕くことができればまず言うことはありません。使う道具は何といっても掛矢がベストです。なければ玄翁でガマンするほかないけれど、掛矢が大きな弧を描きながら振り下ろされるそのモーション、そのあとにつづく衝撃と粉砕音のセットには腕も心もしびれます。

もともとそういう嗜好があって、その自覚もあるのです。でも考えなしにぱちぱち撮った同じようなスナップが証拠写真みたいにこうして一堂に会すると、じぶんの性癖をあらためてまざまざと見せつけられるようできまりがわるいったらありません。無意識だからよけいに恥ずかしい。





俺たちに茄子はないさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)そういえばこういうストーリー仕立ての質問は初めてかもしれません。


Q: 休日の昼下がり、自宅でスコーンを焼いて優雅なティーブレイクと洒落込んでいたダイゴさんのところに、数回の転生を経て女になった牝フィスト・フェレスがやってきて言います。
「あたしが気に入った奴は白ひげのとこにやらないことにしてるの。さぁ一緒に行くわよ。」
行くって言ったって一体どこへ?問いかけるより早く牝フィストはダイゴさんの手首をつかもうとします。
「ちょっと待ってくれ、せめて身支度ぐらいさせてくれたっていいじゃないか。」
「荷物はあたしのハンドバックに入るくらいじゃなきゃいやよ。そうね、本を三冊くらいなら入るかしら。」
行く先が天国にしろ地獄にしろ沙婆とはこれでお別れなのだと早々に観念したダイゴさんはうなだれながら書斎に向かいます。
「早くしてね。五分で選びなさい。あたしこのあとお買い物したいの。」
牝フィストを恨めしそうに睨むダイゴさん。

さて、何を持っていくことにしますか?(こうしている間にも牝フィストのイライラは鬼灯くらいの厚さしかない繊細な堪忍袋に溜まっていきます。)


A: 遺書でしょうね。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その155につづく!


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