2012年12月4日火曜日

「甘酸っぱいこどもたち」と呼ぶべき時代の話



秋に色づく桜の葉が好きなのです。赤でもなく黄でもなく、そのどちらもがほどよい塩梅で混じり合って人肌みたいに温かくまろやかな色合いは目にもやさしい、と寒気が来るたびにいつもおもう。桜は咲かない秋もいい。そう感慨にひたっていたのもしかしちょっと前の話で、どちらかといえばもう年の瀬です。梢にわさわさと賑わっていた桜の葉もすでに心許ない。声ばかりが聞こえていた鵯の姿も今やすっかり丸見えです。小春日和に登った木をおりた途端に冬なのだから、これはもうちょっとした浦島効果と言わざるを得ますまい。

思い出したようにひょっこり更新したからといって格別「聞いてー!」というほどのニュースがあるわけでもありません。それはもう、例によって例のごとくです。忘れたころにやってくるという意味では災いと同じだし、かえって更新されないほうが心安らかと言うこともできましょう。うっちゃれば忘れられるというだけで、そもそも人の記憶にのこるような身空でもなし、ときどき息災のしるしをぺたりと残しておけば…


(めんどくさくなってきた)


更新されなかったひと月ふた月の間にもあれやこれやとあったような気がしないでもないけれど、過ぎたことは忘れてかりんとうの話でもしましょうか




このブログをさかのぼること4年以上前(!)、甘鯛のポワレ教授がムール貝博士を訪ねた折に、みやげとして山脇製菓の「レーズン&かりんとう」を持参したことがありました。この投稿に書かれた「今後の予定」が今もそれほど変わっていないことにはひとまず目をつぶっていただきたい。

初めて口にふくんだときのおどろきは今でもよくおぼえているけれど、この「レーズン&かりんとう」はそれまで「甘い」か「そんなに甘くない」のどちらかでしかなかった(←暴論)かりんとうのありように「甘酸っぱい」という概念をもちこんだエポックメイキンな一品でした。

ここにその秘密があるよ!)

何より感心したのは、目新しさ偏重でレーズンという舶来の食材におもねるのではなく、あくまでかりんとうという本来の立ち位置をきっちりキープしていたことです。見た目も味も誰が食べたってかりんとうなのに、かつてこんなフルーティな味わいがあったろうか?レーズンとシナモンも脇役であることをわきまえているだけでなく、主役のさらなる魅力を引き出しています。そもそも僕はかりんとうを好んでカリポリかじるほうではなかったのです(←重要)。新しきを取り入れつつも頑なほど伝統に則っている、それでいて新規のファンを獲得するほどのおいしさに仕上げてしまう…これが新世紀のかりんとうでなくてなんだというのだ!

…という、他にもそんな例があるかどうかたしかめてもいない超局所的ラブコールから数年……。スーパーではあまりみかけることのなかった「レーズン&かりんとう」も最近ではわりとあちこちで見かけるようになりました。すくなくとも池袋界隈では今やハイブリッドなかりんとうとして新たにクラシック認定されたと言ってよいでしょう。


しかし伝説はまだつづいていたのです。


「レーズン&かりんとう」が次世代のかりんとう界を担う気高きプリンスとするならば、その麗しきプリンセス候補として今秋にお目見えしたのがこれだ!




温州みかんかりんとう」…!

もはや「甘酸っぱいこどもたち」とでも呼ぶべきかりんとうの新時代到来を確信しないわけにはいきますまい。

期待を裏切らないブレンドの塩梅もさることながら、ときどきフワッと口中に満ちる蜜柑の爽やかな香りといったらないのです。数ある果実のなかから温州みかんを選ぶあたりが和に寄らず洋に媚びずでまたうまいじゃありませんか。包装のデザインも洗練の度合いがさりげなくて可愛いし、この存在を知った翌日に直営店まで行って2袋買ったさらに翌日また買いに走る始末です。すごいぞ山脇製菓!

考え方とその結実ぶりで言ったら東洋水産のマルちゃん正麺にだってひけをとらない画期的かつ庶民的でハッピーなブレイクスルーだとおもう。ホントに。

ちょっと目先を変えただけで「新しい!」と言い張る安直な向きにはこのかりんとうをベシッと袋ごと投げつけてやりたい。焼きドーナツなんて、揚げずに焼いた時点でドーナツじゃないんだよ!



そういうわけで、年明けのお年賀にはこいつを方々にばらまこうと企んでいるのです。冷えますねしかし。


3 件のコメント:

  1. 山脇製菓のレーズンかりんとうについては全くもって同じ気持ちです。私もかりんとう、そしてレーズンも苦手だったのに、これだけはおいしい!おいしすぎて手がとまらず、カロリーが怖い禁断のお菓子です。この記事を読んで、さっそく近所のスーパーに走ったところ、温州みかんかりんとうも置いてありました。たしかにこれもおいしい!…また危険が増えました…。

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  2. はな@関西2012年12月5日 18:06

    お久しぶりです。
    残念ながらかりんとうはそれほど好きでなく、
    レーズンは苦手なのですが、なんだかおいしそうですね。
    みかんは大好きなので、そちらから試してみたいです。

    ところで先日、小林大吾さんが現れ、
    「…好き!」と再確認する夢を見ました
    恋でしょうか。ドキドキ。

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  3. > miwaさん

    直販店にはレーズン&かりんとうのお得な「こわれ」もありました。山脇製菓が天下をとる日もちかそうだなあ。最近は抹茶が好きです。


    > はなちゃん

    僕もそれほどかりんとうには積極的でもないんですけどねえ。僕だって改めて確認するまでもなくはなちゃんをだいじにおもっています、もちろん!

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