2011年7月19日火曜日

それは今もまだつづいているのです



何しろえーと、ふだんからこんな調子なものですから、本人さえときどきその事実を思い出してはハッとしたりしているのだけれど、去年は僕、「オーディオビジュアル」というアルバムをリリースしているのですよね。

ああそうだったそうだった、と膝を打つ方もおりましょう。今ごろ何だと訝しがる向きもありましょう。次から次へと生き馬の目をひっこ抜いて猛進するこの忙しない時代にあって、1年も前の話などすでにひと昔です。ややもすると「懐かしい」とさえつぶやいてしまいかねません。いやまったく、忙しない。

なぜそんな話を持ち出したのかというと、じつはついこの間、敬愛するMASのヤマダタツヤ先輩から「下北沢のビレッジバンガードに小林大吾が終日かかってるコーナーがあったよ」というなんだかエイプリルフールっぽい情報が寄せられたのです。メールに添付された写真をみると、フーム、たしかにコーナーっぽくなっている…。しかしそれにしてもリリースはもう1年も前のことだし、だいたい終日かけっぱなしというのはいくらなんでも誇張がすぎるような気もします。僕らの拠点、渋谷Flying Booksでさえ、店内にエンドレスで流すことはないのです。僕だって1日中小林大吾を聴かされたら心を病むにちがいないし、遠慮なく言ってしまえばたまったもんじゃありません。

でもそこはそれ、いい機会だしせっかくなので、御大・古川耕とフラインスピンオーナーYMZと珍しく3人で連れ立って下北沢へと赴いたところ


ホントにエンドレスで流れてました。


しかもCDではなくて、書籍コーナーです。


おまけにブックレットを丸ごとコピーまでしてくれて、自由に閲覧できるようになっている!


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ヴィレッジヴァンガードの東京における総本山とも言うべき下北沢店で、目頭を熱くするどころか、予想をはるかに超えたもてなしぶりにむしろ唖然として言葉を失うチーム・オーディオビジュアルの3人…。

何しろ、こんなふうにオススメできたらいいのに、とずっと思い描いていた無茶でワガママなイメージが、そのままのかたちでここにあるのです。書籍コーナーにさりげなくあって、ブックレットを閲覧できて、そのうえ曲までエンドレスで流れている、ここまで空気を読まないトリッキーな離れ業がヴィレッジヴァンガード以外の業態でできるものだろうか?不可能です、ふつうなら!

アルバムにこめた個人的な願いを、ここまで汲んでもらえることがあるなんて思いもよりませんでした。「オーディオビジュアル」というアルバムにとって、ここまで完璧な居場所はそうそうありません。


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コーナーを設置してくださった方にお会いしてお話をうかがったところ、企画の時点で「CDのコーナーがちゃんとあるのに、何でまたわざわざ書籍のところに」と反対されたそうです。そうでしょうとも!そのきもちはよーくわかるし、おそらく誰でもそうおもうはずです。それでも是非にと推してくださったというのだから、ほんとうに頭が下がります。

そうして、いつからこれをと訊けば「もう2ヶ月くらいになります」と仰る。2ヶ月もここにあるの!?とあまりの厚待遇にふたたび口を開けたまま絶句する3人…。くわえて、「でも、売れてるから続けられてるんですよ」と気負いなくさらりと仰るのです。


きらきらと後光がさしてもう、面を上げられません。


どういうわけかお礼というよりだんだん償いみたいな気持ちになってきたけれど、いつもは苦手で腰の引けるポップをよろこんで描かせてもらいました。


プロデューサーとレーベルオーナーの2人にも手書きコメントを寄せてもらうのって、ひょっとしたら初めてじゃないだろうか?


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くどいようですけれど、リリースは去年の5月です。正直明日には撤去されていたとしても、悔いはぜんぜんありません。これ以上はむしろ身に余ります。

大江さん、本当にありがとう!


1 件のコメント:

  1. 僕も忙しなく日々が過ぎて行き、その合間をぬってドラクエⅧをプレイしています。

    下北沢のヴィレッジ…行きたいけど遠いです。
    大阪にある、某ファンの家でも大吾さんのCDは回り続けています!

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