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2011年6月24日金曜日
ムール貝博士が足をすべらせて地獄に落ちた話
ミス・スパンコール秘蔵のアルバムから1枚
それはエレベーターなのか?それともバナナなのか?
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どうもこう、きもちがモヤモヤして晴れきらないと首をひねっていたのだけれど、ふと、近ごろはブログといえば宣伝というか喧伝というかプロパガンダというか、よくいえば合理的、わるくいえばセルフボースト的な更新しかしていなかったことに気がついてポンと膝を叩きました。
いえ、それはそれでいいのです。お知らせできる事柄自体が四葉のクローバー並みに少ないという致命的な弱点はこのさい掃除機でゴーと吸い取ってしまうとして、発信という意味ではこれ以上なくまっとうだし、どこまでも正しい。ですよね?
しかしこのブログはちがいます。今さら何をつくろうことがありましょう。頻度で言ったらお知らせのほうがここではよほど箸休めみたいなものじゃありませんか?そもそもこのブログは一日の終わりにお茶をすすってフーとひと息つきながら、本を2、3ページぺらぺらめくるような感覚で目にふれてくれればそれに勝るよろこびはない、とおもって始めたはずなのに、告知ひとつでそのお茶をにごすなんて、われながらおこがましい話です。ピンカートン先生のくだらないツイートをみて満足している場合ではない。ムール貝博士はいったいどこへ消えたのか?
そういうわけで、このブログ本来の趣旨にのっとって、どうでもいい話をしようとおもうのです。
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行方どころかいまだに素性も知れない博士のことはさておき、日本のどこかに実在する、とあるお店でポイントカードを発行していたのです。500円で1ポイント、10ポイント貯まったらこんなサービスが、というアレですね。
そのお店の説明にはこうありました。
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1)100円お買い上げごとに、1ポイント貯まります。
2)100ポイント貯まると、次回合計額から100円値引きいたします。
3)カード代として100円いただきます。
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それでまあ、ひいふうと指折りかぞえてみたのです。
100円で1ポイントだから…100ポイント貯めるには、えーと…それで値引額が…待てよ、さいしょに100円払ってて…
……あれ?
いくら考えてもこのお店でポイントカードをつくる理由がちっとも思い浮かばないんだけれど、キツネに化かされているようなきもちになるのは気のせいだろうか…?
*
「ピス田さんピス田さん」
「あれダイゴくんひさし…ヒゲのびた?」
「このポイントカードなんですけど」
「このカードがどうしたの」
「あれ、そういえば博士は?」
「しばらく見てないけど」
「お出かけですか」
「さァ…ここにいないとすれば、そういうことになるよね」
「ものすごい他人事ぶりだ」
「あ、博士がいたほうがいいの?」
「いなくていいです」
「で、そのカードがどうしたの?」
「じつはかくかくしかじかで」
「べんりな日本語をつかうもんだな!」
「そういうわけなんですよ」
「フーム、じゃもう1回計算してみよう」
「100円で1ポイントでしょ…」
「100ポイント貯めると…」
「でもさいしょにカード代が…」
「…」
「…」
「釈然としないね」
「なんかちょっと変なかんじがするんです」
「まァいいじゃないか、1億円も引いてもらえるんだぜ」
「100億円ぶん買ったらでしょ!」
「買えばいいんだ」
「だってケーキ屋さんですよ」
「ほう。ケーキ屋のカードなのかこれは」
「口がすべった」
「散財すればいいんだよ」
「それはそうですけど…」
「イチゴみたいにちっちゃい悩みだ」
「でも肉を切らせて骨を断つというか…」
「…」
「あくびしないでくださいよ」
「だって何言ってるかよくわからないよ」
「つまりですね…」
ドカン
「うわァ」
「しっかりしろダイゴくん、博士が帰ってきただけだ」
「帰ったぞ!」
「おかえりなさい」
「長旅だった」
「何だ博士か…あいかわらず心臓に…アレ?」
「おや」
「何だ」
「博士が松葉杖をついている!」
「これか。わたしとしたことが、まったく」
「どうしたんですか一体」
「足をすべらせて地獄に落ちた」
「え?」
「足をすべらせたと言ったんだ」
「地獄に落ちたって言いましたよ」
「落ちたよ!だからこのザマだと言っとろうが!」
「足1本で済むものなんですか?」
「足1本とは何たる言い草だ。重傷だぞ」
「地獄に落ちて骨折で済む人はいないですよ、ふつう」
「骨折とは言ってない」
「じゃその足は…」
「捻挫した」
「なんて軽い代償なんだ!」
「せっかくだから湯治してきた」
「血の池は温泉じゃないですよ」
「足裏マッサージもよかった」
「針山だったんじゃないですか?」
「おみやげは閻魔せんべいだ」
「おみやげって…どうして帰ることが前提になってるんですか?」
「うるさいやつだな。何が気に食わないんだ」
「気に食わないことがあるとすれば博士が帰ってきたことですよ」
「いたぶるということを知らんのか」
「いたわるのまちがいでしょ」
「そうだった。いたぶるのはいつだってわたしだ」
「自覚してるんだ!」
「…」
「…」
「…」
「何だ、話は終わりか?」
「そうみたいですね」
「オチはどうした」
「もう落ちたでしょ。博士が。地獄に」
ミス・スパンコールさんの秘蔵写真が毎回クオリティが高くてステキです。
返信削除私はよく考えずに作った挙げ句、その恩恵にあずかる前にどこかに消えたポイントカードが山ほどあります。