2009年3月22日日曜日

音楽界のナショナル・ジオグラフィックとは


世界中のヴァイナルディガーが全幅の信頼をよせる当代随一の雑誌、「WAX POETICS」!いまの僕にとっては、170円を手に近所の駄菓子屋までジャンプを買いに走った少年のころと寸分たがわぬきもちで、その発売を心待ちにしているただひとつの雑誌がこれなのです。

個人的永久保存記事↓

シビれて気絶してしまう…。なんて美しい紙面なの!


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基本的にはレアグルーヴという言葉で大雑把にくくることもできそうな、ソウル、ジャズ、レゲエ、ファンクといった黒人音楽からのアプローチによるレコード文化再考、というのが雑誌のスタンスなのだけれど、歴史に埋もれつつあるアーティストの完璧なディスコグラフィや貴重なインタビューが毎号はちきれんばかりにつめこまれていて、収められた記事がどれも胸焼けするくらい濃密です。内容の驚異的な充実ぶりにくわえて、資料的価値がめちゃめちゃ高い!

新旧の音楽家をおなじ俎上に並べてあらたな価値観を模索するアグレッシヴな姿勢とその革新的なコンセプト(プラス情熱)には、帽子を脱いで敬礼したくなるくらいの説得力があります。

とりわけ写真がハイクオリティで、なかにはめったにお目にかかれないヴィンテージものもあって、生肉を前にしたオオカミのように音楽的唾液腺がいやというほど刺激されます。音楽界のナショナル・ジオグラフィックと呼んでも言いすぎではないと心底おもう。

なぜって内容以前にただただ雑誌としてじつにまっとうなスタンスを貫き通しているし(かくあるべしというかんじ)、興味がなくても惹きつけてしまうだけの哲学と、根拠と、それらに裏打ちされた自信が骨組みとしてしっかりとある。


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多くの雑誌が淘汰されて書店のラックにもぴゅうぴゅうとすきま風が吹くこのご時世だし、ましてや今どき洋雑誌の翻訳なんてそんなのぜったいありえないと高を括っていただけに、だからその日本版が創刊されると知ったときは、どれほど心躍ったことでしょう。


そうして人知れずいそいそと買ってよろこんでいたら、ついこないだ、いまはなき "FADER JAPAN" で詩人の刻印を紹介してくれていたライターの河野さんが日本版の編集に携わっていることを知りました。まじで!

そういうわけで万人受けする雑誌ではとてもないにもかかわらず、ここで触れずにおくわけにはどうしてもいかないのです。応援する理由がまた増えた!


そういえばNYにあるWAXPOETICS本部のドキュメンタリーを映像でみたけど(NHKスペシャルでやってたなんて知らなかった!)、これもすごくおもしろかったです。NHKに取り上げられるってそれだけでもその意義がわかるというものでしょう?


今号の特集記事(抜粋)

・Bill Withers
・WATTSTAX
・Les McCann
・Q-TIP
・MF DOOM
・レコードの洗いかた

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