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2008年11月26日水曜日
度肝を抜くクレイジーなお寺のつくりかた
年賀状キャンペーン実施中です(12月1日まで)。女子率上がってます。なんかホッとするな。
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日本建築には懸造(かけづくり)という、1000年以上の歴史をもった伝統的な工法があるのです。斜面や段差のある土地につくられる、テラスのような構造で、いちばん有名なところでいうと清水寺がそれにあたります。崖側にせり出したあの出っぱり舞台のことです。
もちろん懸造自体とてもすぐれた技術だし、それだけでもじゅうぶん感嘆に値するものなのだけれど、ここから常識をとっぱらい、想像力をさらに目いっぱい押し広げて極端に応用すると、こうなります。↓
おお…かなりむちゃなことになっておる。
「四方懸造」です。この大胆にして奇抜きわまりない、というかクレイジーすれすれの発想はどうだ!360度を懸造で囲めばたしかにこういうことになるわけだし、そりゃファンタスティックに現実離れもしようというものけれど、しかしなんてイルなんだろう。やっちゃった感まるだしで、胸を射抜かれます。こんな建築物がホントにあったら、それだけで生きる愉しみがひとつ増えるというものです。でしょう?
じつはホントにあるのです。
ええー!
1000年前から今もそこに鎮座する日本で唯一の「四方懸造」、二代広重の筆にも描かれた笠森観音の威風堂々たる姿とその異観を君は目にしたことがあるか?
どうやら400年くらい前に火事で焼失して(わかる気がする)、いちど建て直されているらしいのだけれど(それでも400年前だ!)、本堂には1000年前の床板がたぶん当時の状態そのままに(!)のこされています。足を踏み入れればウエハースのようにサックリと床が抜けるばかりか岩に叩きつけられて死んじゃうので、当然立入禁止です。部屋をのぞきこむことしかできません。でも1000年前にはだれかがそこを歩いていたとおもうとやっぱり胸を打たれるものがあります。だって平安の時代だぜ!
柱が多すぎて割り箸のようだ…。
近くで見ても何がどうなっているのかさっぱりわからない。
十数メートル(あるいはもっと)の高さはゆうにある廻廊たるや…
なんかもう寺の眺めじゃない。
まちがいなく、日本が世界に誇れる建築物のひとつです。奇想にもほどがあるし、今もふつうに拝観できることが奇跡だとおもう。こんなに多くの人がお参りしてバラバラ分解したりしないんだろうか?雨ざらしで朽ちたりしないんだろうか?21世紀に建てられる住宅の多くは数十年もてば幸運というくらい耐久性が低いっていうのに、いったいどんな魔法をかけるとこんなむちゃな建築が可能になるんだ?
しかしここを拝観するためだけにわざわざ遠くから泊まりがけで足を運ぶとしてもその価値はあります。本当に。どこ探したって他にこんな場所ないんだから!
場所はこのへん
おまけ:大きなクスノキから生えるダイゴくん
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