2008年8月26日火曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その66


大好きな桃が傷んで食べられなくなったばかりか、追い打ちをかけるようにドクロが浮かび上がりました。そこまでしなくたっていいじゃないか。





何かの呪いなのかもしれないけど、それにしてはタイムボカンぽくて心が和みます。



 *


花マルと黒マルさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。どうもありがとう!ミス・スパンコールによると花マルと黒マルというのはある種のハチを指してこう呼ぶらしいのだけど、誰かそう呼んでた人いますか?



Q: ダイゴさんもムール貝博士も、活動の幅がむやみに広いようにお見受けしますが、お二人にお仕事をお願いしたかったり、一緒に仕事してもらいたいときは、どうやって依頼すりゃいいのさ?



活動の幅がむやみに広い、というのはたしかにするどいご指摘です。べつに広くしているつもりは全然ないのですけれど、他とくらべて自分に足りないぶんを、別の何かでどうにかして補おうともがいたあげく、こんなことになっているのです、たぶん。自分では「それっぽく見せるスキル」ばかりが上達しているような気がして、ときどき無性にいたたまれなくなります。コピーキャットというかね。

だいたい、広いというわりには僕、今年に入ってからほとんど何もしてないですよ。年の瀬に1年を振り返るのが今からとてもこわいです。

とまあ、夏も終わるというのにあいかわらずのていたらくなので、高所での作業をのぞけば(高いところは苦手なのです)、どぶ掃除からベビーシッターまで、お仕事は幅広くなんでも承り中です。申しつけてくださればだいたい何でもできるとおもいます。ただし、普通免許は持ってないです(中型二輪はアリ)。

わけてもどぶ掃除は、ヘドロの中から10円や50円がポロポロ出てきて宝探しみたいに楽しいので大歓迎です。タクシーで来たおじいちゃんがしょっちゅう小銭を落としていく病院前なんかいいですね。以前歌舞伎町の病院前を掃除したときは、楽しすぎて1日があっという間でした。目の前に交番があるんだけど。

質問にあった肝心の依頼方法ですが、駅構内の掲示板に「XYZ」と書いたり、ニューヨークタイムズに「G13型トラクター売りたし」という広告をのせたりといった面倒な手順をふむ必要はもちろんありません。

メール1本でじゅうぶんです。届きそうなら、大声で呼んでくれてもかまいません。周囲に障害物が多いので、狼煙は避けてください。

なるべくなら犯罪に手を染めるようなことはしたくないですが、どうしてもということであれば条件次第であっさりダークサイドに転落する可能性もあります。そのへんの倫理観がぐらぐらして不安定きわまりないというか、どちらかというと希薄なので、できれば最後の手段としてとっておけるとうれしいです。

ご連絡、お待ちしています。

博士にはふつうに頼んでも働いてくれないので、僕がうまいこと知恵を絞ってやらせるつもりです。あの人をその気にさせる手なら腐るほどあるんだ!



A: メールで大丈夫です。



 *



花マルと黒マルさんは(あれ?黒マルと花マルだったかな)、だらだらとつづく詩人の刻印(ほぼ)全曲レースにも1票を投じてくれました。奥さまと、3人のお子さんも聴いてくれているんですね。うれしいです。どうもありがとう!

花マルと黒マルさんは「ユリイカ」、奥さまは「話咲く」、8歳の息子さんは「蝸牛」、4歳の娘さんは「アンジェリカ」…そして0歳の息子さん…0歳!?

「生まれたてはどうもバミューダが好きみたいですね。ウゴウゴ動きます。」

とのことなので、ここはご家族を代表して生まれたての彼の1票を採用させてください。


バミューダ 12(ウゴウゴ含む)
ボート 8
蝸牛 7
話咲く 7
アンジェリカ 4(とコロッケひとつ)
紙屑 4
ユリイカ 4
腐草為蛍 3



個人的には8歳の息子さんの行く末が気になります。



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そういうわけで、宛先はこちらです。↓

dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)



質問やお仕事の依頼はもちろん、ふつうのおたよりもこちらで受け付けています。

2008年8月22日金曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その65


更新頻度が目に見えて落ちています。まだ読んでくれている人はいるだろうか?


 *


ある俳優の名前をど忘れして、それを思い出すのにほぼ丸1日を費やしました。トムまでは出てるのに、その先がどうしても出てこないのです。ハンクスじゃないし、ウェイツじゃないし、ジョーンズでもないし、キャットでもないし、ソーヤーでもないし、ああもう!あの、アレ、最近は奇行ばかりがクローズアップされる人!ちょっとエキセントリックなところのある新興宗教サイエントロジーの信者で…(なんでこんなどうでもいいようなことは忘れないんだ?)

ということを一晩明けても悶々と考えていたのだけれど、なんの前ぶれもなくふと唐突に思い出したのはけっきょく昼をすぎてから、スーパーまで買い物に行く途中の交差点で信号待ちをしているときでした。


あ、トム・クルーズだ。


検索すればかんたんなんだろうけど、それをしてしまうと脳みそが働いてくれなくなってしまう気がするんだよな。何しろ小林大吾の脳みそだから。


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犬も歩けばボニータになるさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。おかげでブログを更新することができました。どうもありがとう!




Q: ムール貝博士に質問です。何でそんな不思議な名前をしているのでしょうか?失礼だとは重々承知しておりますが、気になって気になって夜も8時間くらいしか眠れません。どうか、お答えいただければ幸いです。



「という質問がきています」
「朝の4時だぞ」
「起きてるじゃないですか」
「豆腐屋の朝は早いんだ」
「いつから豆腐屋になったんです?」
「大豆に夢中なんだ」
「ムール貝なのに」
「なんだと。そっちこそダイゴのくせに」
「ジャイアンみたいなこと言わないでください」
「冷や奴なら帰れ」
「冷やかしのまちがいじゃないですか?」
「ビールと枝豆ならいてもいい」
「意味がさっぱりわからない」
「こっちのせりふだ」
「だってムール貝博士ってどう考えてもへんな名前ですよ」
「ダイゴだってそうとう変じゃないか」
「そんなことないですよ!」
「だいたい、どういう意味なの、その名前」
「さあ…」
「なんだ、知らないのか」
「なんか昔のドラマの役名からとったらしいですけど」
「ずいぶんてきとうだな」
「かなしくなるから言わないでください」
「意味がないってことは、べつにヘンリーとかでも良かったわけだろ」
「ヘンリーは困ります」
「消しゴムとか」
「それは人につける名前じゃないですよ」
「人っぽい名前で良かったじゃないか」
「博士はムール貝ですものね」
「人を貝みたいに言うな」
「だってムール貝博士ってどう考えてもへんな名前ですよ」
「日本人にもいるじゃないか『磯貝』とか」
「イソガイさん…たしかにいますね」
「あんな感じなんだよ」
「そう考えるとそれほどおかしな名前でもない気がしてきますね」
「ダイゴのほうがよっぽどおかしいね」
「博士より人っぽいだけマシですよ」
「まるで人のほうが上みたいな言い草だな」
「そうじゃなくて、僕が人だからです」
果たしてそうかな?
「おかしな不安の種を植え付けようとしないでくださいよ!」
「ダイゴくんが人だなんて誰が言ったんだ?」
「不文律ってものがあるんです」
「ふふふ…」
「やめてよ!そういう話じゃなかったでしょ」
「わかったわかった、わるかったよ」
「すんなり引き下がられるとそれはそれで逆に…」
「ふふふ…」
「やめてください、マジで」



A: 日本人だと『磯貝』という姓に近いものがあるようです。



 *


それから、犬も歩けばボニータになるさんは詩人の刻印(ほぼ)全曲レースにひさしぶりの1票を投じてくれました。三角バミューダですね。どうもありがとう!ひさしぶりに見たらアンジェリカの4票にコロッケがおまけでついていて自分でもびっくりしました。そういえばそんなこともあった。


バミューダ 11
ボート 8
蝸牛 7
話咲く 7
アンジェリカ 4(とコロッケひとつ)
紙屑 4
ユリイカ 4
腐草為蛍 3



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dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)

2008年8月15日金曜日

アドレナリンをぽたぽた垂らしながら帰る夜の話



スローなミサイルがとんできました。あれくらいゆっくりなら、きっとみんな受け止められるのに。


 *


うわさの "Hot Fuzz" を観てきたのです。サイダーから一瞬にして炭酸が抜かれたような、すさまじいカタルシス!大好きな映画でありました。帰り道は全身の毛穴からアドレナリンをぽたぽた垂らしながら歩いていた気がする。エクスタシーのさきには、魂の解放からくる落涙があるのだと、生まれてはじめて知りました。感動した。

何度も何度も「マジで?」と自問してみたんだけれど、やっぱりこれ人生における大好きな映画10本のうちに入ってしまうとおもう。あえてランク外に置いても、勝手に入ってきちゃう感じがする。そういう映画です。

しかしこの感覚というか喜びは何かに似ているな、とおもってずっと考えてたんだけれど、「ギャラクシークエスト」なんですよね、たぶん。カタルシスの量が段違いではあるんだけど、これも大好き。

なんだろう?僕はいったい、何に心を動かされるのだ?


まあいいや。


あとで妹に「おもしろくなかったらおれが金返すからぜったい観てきて!」とメールをしたら、逆に「おもしろくなかったらあたしがお金返すから、バットマン ダークナイトを観て!」という返事をよこしてきました。

薮をつついてヘビを出してしまった気がする。

故ヒース・レジャーの演技に鬼気迫るものがあるらしいのだけれど、僕ヒース・レジャーのことをあんまり知らないのでそんなこと言われても困る。

でも「リトル・ミス・サンシャイン」も彼女に言われて観に行くことができたし、今回も観に行こうとおもっているのです。

あれ?そういえばあのときも「おもしろくなかったらあたしが返金」と言われたな。なんて即物的な勧め方だ。



 *



あと1年ぶりにレコーディングしてました。ひとりで。


というたぶんここではいちばん大事だと思われる話を、立ち小便のようにそそくさと済ませて今日はおしまいです。

夏のピークだ。

2008年8月9日土曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その64


お暑うございます。なんとなく夏休み的な雰囲気がそこはかとなく漂っているようですが、いかがお過ごしでしょうか。宮本武蔵の書いた「五輪書」って、オリンピックの本じゃないですよね?


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木工用ジェイムズボンドさんからの質問です(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています)。DIYのための007ですね。



Q: 桜井小塚さんについて詳しく教えてください。彼女はどこに行ってしまったのでしょう?




「詩人の刻印」は手にしていないけれど、「2/8,000,000」は愛読してくれている、そんな方もいるんですね。うれしいです。どうもありがとう。今や息も絶え絶えとは言え、ブログもつづけてみるものです。

ご存じない方がほとんどだとおもうので簡単にせつめいしておくと、「桜井小塚」というのは詩に対する現在の僕のスタンスを決定づけた詩人であり、心の姉のような存在です。彼女がいなかったら今の僕はいないと言い切ってしまってよいでしょう。詩集「2/8,000,000」は、その存在を記録として書きとどめておきたいというコンセプトでつくられています。僕がこの名を借りて「詩人の遺書」というホームページを立ち上げていたのは、かれこれ7、8年前の話です。そんなに経ってなかったかな。それとももっと前だったかな。


しかしこれはみごとに虚を衝く質問です。


桜井小塚はどこへ行ったのか?


誤解をおそれずに言うと、彼女に対する憧れと尊敬の念は、今も最上のものとして1ミリたりとも揺らぐことはありません。言葉をいっさい信用せず、それでいて詩という形式で何ができるかを常に模索しつづけ、ペンを握れば大胆なまでに贅肉をそぎ落とし、最短2行で世界を描くという職人芸はやはり、今もって僕が追い求めるところのひとつのかたちです。今読み返してみても、完成されているとつくづくおもう。

そんなふうに100%桜井小塚フォロワーであった僕が彼女と距離を置くことになったのはもちろん、新宿スポークンワーズスラム(SSWS)に足を運ぶようになってからです。フラインスピンレコーズというちょっといびつな音楽レーベルが誕生するきっかけにもなったイベントですね。

当時は距離を置くつもりなんかぜんぜんなかったけれど、いざ言葉を声に出してみたら、それまで桜井小塚を手本にして自分がやってきたこととはあまりに勝手がちがっていてひどく戸惑いました。言葉を声に出して耳に届けるということはつまり、「文字を味わう」という視覚的な効果にも気を配っていたそれまでのスタンスとは、必然的に重心が大きくずれるということでもあったのです。

書いたものをただ声に出すようなことはしたくない。やるからには、何故やるのかを突き詰めたいし、その先にどんな世界があるのかを見極めたい。「なんとなく」では次にすすむべき方向さえ見えてこないし、その行為が自慰の殻をやぶることは決してありません。べつに自慰だっていいとおもうけど、それを意識しているのとしていないのとでは露出狂とストリッパーくらいのちがいがあります。僕はストリッパーのほうがいい。

それは僕が桜井小塚から受け継いだおおきな哲学のひとつです。逆説的な話になりますが、彼女のようになりたいとつよく願ったがゆえにこそ、今のこの隔たりがあるのだと僕は認識しています。その姿勢は今に至るまで一貫していて、ブレは一切ありません。

つまり桜井小塚はこつ然と姿を消したわけではないし、むしろその精神なら今も厳然とここにあります。それは「書き方」の話ではなく、「生き方」の話なのです。

これで答えになっていますか?



A: 桜井小塚は今も息災です。





数百冊しか世に出ていないぺらぺらの詩集を久しぶりに読み返すまで僕もすっかり忘れていたのだけれど、そういえばムール貝博士の初出は「詩人の刻印」ではなく、その2年前に出た「2/8,000,000」でありました。単なる脇役だったのに、ずいぶん出世したものです。



 *



dr.moule*gmail.com(*を@に替えてね)

2008年8月5日火曜日

雨漏りみたいにしてできる夏の飲みもの


だからどうしたと言われてしまえばそれまでの話なのだけれど、夏は水出しコーヒーです。

6時間くらいかけてぽたぽたと、気長に抽出するのです。1回に100グラムちかく使って1リットル強のコーヒーをつくるんだけど、ことによるとまいにち飲みきってしまいます。そうなるとひと月で3キロの豆がなくなる計算になり、

馬鹿じゃないの?

とさすがにちょっと思わないでもないです。





どうせならポタポタやってる写真撮ればよかった。


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いよいよ書くことがなくなってきた上に、精神的にもかなりディープなところまで沈みつつあるので(情緒不安定で他人に迷惑をかけています)、どうしたものかなあとボンヤリ悩んでいたら、思いもかけない質問をいただいたので次回はそれにお答えします。


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そんなことより、カズタケさんが野球観戦中に体験したミラクルエピソードがとてもおもしろかったので、今日はそちらをおすすめします。もう読まれましたか?

じぶんに向かって飛んできたファウルボールをキャッチするよりも、はるかに低い確率でしか起こり得ない奇跡とは?

よく考えたらそんなに食べたくもないスタミナ丼を手に立ち尽くす、茫然自失のタケウチカズタケ。

今年いちばんのすべらない話、認定です。


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ああ、あとそうだ、また古いコップがウチの子になりました。

寵愛というきもちがだんだんわかってきたような気がします。

2008年8月1日金曜日

柳の下には2皿のウニが


水曜日は渋谷宇田川町にある、おいしい魚がたんのうできると評判の定食屋で、タケウチカズタケのアルバム「UNDER THE WILLOW -PANDA-」(UTW)の慰労会が行われました。集合時間の2時間前にとつぜんフラインスピンオーナーから「どうせヒマでしょ?」とミもフタもない電話で呼びつけられたので、どうも合コンの数合わせに呼ばれたようなきもちが拭えません。

詩人の刻印のときは僕のためというよりもむしろ、古川プロデューサーに感謝のきもちを表したいという意味合いが大きかったので、多少分不相応でもゴージャスな一席をもうけることになったわけだけれど(僕のためならそのへんの天ぷら屋でじゅうぶんです)、今回は一転してとにかく「好物のウニを口いっぱいにほおばりたい」というタケウチカズタケのストレートな意向から、山盛りのウニをためつすがめつ、愛でては唸り舌鼓を打つ、じつに和やかな会と相成りました。




ちがいのわかる男



そして僕はその帰り道、次のUTWのためにドラッグストアへと向かいました。タケウチカズタケの音楽とドラッグストアにいったい何の関連性があるのか?その謎はいずれ明らかにされることでしょう。




 *



おまけ:詩人の刻印慰労会にて


そわそわして羽ばたく古川プロデューサー



そわそわして羽ばたくタカツキ